5.ミンテ家の日常
アインハルトとの日課である決闘を終えて家に帰ってきた。
家に帰りつくと家事をしていたクリスティさんが出迎えてくれる。
「あら、ふふふ、お帰り。まただいぶ服が汚れてるわね~あっちで体をふいてから着替えてきなさい」
「はい、母さん!」
「わかりました!クリスティさん」
ナードさんから助けてもらってからの3年間はずっとナード家にお世話になっている。
もともと4人住んでも広く感じるほど大きい家だったため、一人増えた所で問題はなかったらしい。
そうして、家に入ると
「きゅきゅ!!」
「お~ハム郎!!いい子で待ってたか~」
「きゅ~!きゅ!」
バカにすんじゃねとでも言いたそうな顔ですごむハム郎であったが、それに気づかない光はハム郎の頭を撫でる。
「きゅ~」
撫でられて気持ちよさそうにするハム郎はそんなことで俺はほだされないぞ!
とでも言いたそうだが残念ながら気持ちよさに負けて頬は緩んでいた。
そうやって、ハム郎をひとしきり撫でた後、アインハルトと共に体を拭き、クリスティさんが入れてくれたお茶を飲んで一段落する。
「あ~、訓練後のこの一杯が至福だわ~」
光は何気にこのお茶をかなり気に入っている。
この世界にもお茶があるらしく、ミンテ村では紅茶のようなお茶を栽培しており、かなりうまい。
地球にいたころのアールグレイのような品種でスッキリとして飲みやすさが売りのようだ。
「ヒカル、飲み終わったらトレシアと一緒にみんなで父さんの畑手伝いに行こうぜ」
「わかった」
この3年間はだいたい朝に決闘を行って、お茶を飲んで一休憩するとナードさんの畑を手伝ったり、狩りに行ったりすることが多い。
ここの地域は日本のように四季があり、今は春のため外に出て活動する頻度が高い。
冬になると大雪が降るのでまきを切りに行ったり、部屋でみんなと過ごすことが多くなる。
俺は日本ではあまり雪が積もらないところにいたから、雪が積もって皆で雪ダルマ?っぽいを作って楽しかったな。
そして、ハム郎にはまたお留守番をしてもらい、アインハルトと畑に向かった。
畑に三人で向かうと畑作業をしているナードさんが見えてきた
「父さん~!」
「お~よく来てくれた!ぜひ手伝ってくれ!これも良い訓練になるからな!手を抜いたらお仕置きだぞ!ガハハハハ!」
相変わらずナードさんはとても元気で、後ろから太陽光に照らされていたからか、非常に光って見えた
「トレシアは農具の整備、アインハルトとヒカルは一緒に肥料をまいてくれ!」
「「はい!」」
そう元気に返事をしたら、さっそく作業の開始だ。
植えてある苗にかからないようにうまく肥料をまいて、まき終わると土をかぶせていく。
ナードさんの畑はかなり農地がでかく、腰を曲げたり立ったり座ったりを繰り返す。
訓練しているとはいえ、これだけでも結構重労働だ。
数時間後、山のようにあった肥料を皆でまき終った。
「ふ~終わったぜ~!疲れたなヒカル」
「そうだな」
そうするとトレシアが水を持ってきてくれた
「お疲れ様~!二人とも体力あるからどんどん作業が進んでいったね~」
「おうよ!妹よ!アインハルト様にかかれば一瞬よ!」
「ヒカルがいてこそだけどね~」
「なんだと妹よ~!」
そういうと、汚れた手でトレシアを追い掛け回すアインハルトであった
「お兄ちゃん!汚いよ!」
「触られたくなかったら、大人しく捕まれ〜!」
「ふふ、何年たっても仲いいな」
自分たちが畑作業をしているうちに畑まで移動してきていたクリスティさんが軽食を準備してくれていたみたいで、ナードさんも含めてみんなで休憩しながら食べる。
「やっぱりクリスティさんのサンドイッチめちゃくちゃ美味しいです!」
「あら、ありがとう」
むしゃむしゃと勢いよく食べているとパンくずが光のあごについていたみたいで
「あら、ヒカルパンくずがついてるわよ」
クリスティさんが顔を近づけてパンくずを取ってくれた。
近づいたことで、クリスティさんのいい匂いを感じる。
「す、すみません!」
そうやってクリスティさんと至近距離で顔を合わせれば
(やっぱりすっごい美人だな…)
とまじまじと見つめてしまう。
バシッ!
「いで!何すんだよアインハルト!」
「ヒカル、そんな顔で俺の母さんを見んじゃねぇ」
「ちげぇよ!そんなんじゃねぇし!」
「ガハハハハ!ヒカルも男の子だな!確かにクリスティはこの村一の美人で有名だからな!私もいい妻をもらったことよ!」
「もう!そんなこと言わないで、恥ずかしいわ」
そんなやり取りをしながら、なぜか光はトレシアには頬を膨らませて睨まれる始末であった。
俺そんなに何か悪いことしたっけ…
そうして、楽しい休憩の時間は終わり、各自次の作業に移っていった
◇◆◇
「よーし!これで今日の作業は終わりだ!みんな帰るぞ~!」
「終わったー!ヒカル、かえろーぜー!」
「りょーかーい!」
畑作業が終わった後はみんなで一緒に家に帰る。
時刻はすでに夕方になり、茜色のきれいな夕日が地平線にゆっくりと沈んでいく頃だった。
ナードさんとクリスティさん、アインハルトが子ども時代の面白エピソードで盛り上がる中、トレシアが近づいてきて光に話しかけてきた。
「ヒ、ヒカルはやっぱり美人な人が好みだったりするの?べ、別に何がどうとかじゃないんだけど、聞いてみたいなーと思って」
「そ、そうだねーま、まぁそういう所はあったり、なかったりするかもー…」
光は内心、トレシアもアインハルトと同じ理由で怒っているのだと勘違いしていた。
トレシアは母に似て、この世界でもかなり美人できれいなタイプではあったのだが…
「そ、そーだよねー、変なこと聞いちゃった!ごめん!」
「だ、大丈夫だよー、むしろこっちこそごめん!」
ふー、何とか怒られずにすんだ…と胸をなでおろす光であったが、
顔を赤らめるトレシアには全く気づいてはいなかった。
「ヒカル、やっぱりかっこいいな…」
ボソッというトレシアの声は光には聞こえなかった。
そうこうしているうちに家にたどりつき、夕飯の時間となる。




