キマイラ・エンカウント ~ガキンチョを救って死んだ俺が、異世界で魔王の手先になった訳~
『──お前を、その苦しみから解放できる』
謎の『バケモノ』から、知り合いのガキンチョを救った俺だったが、代わりに自分が死にかけていた。
謎の『オッサン』からそう言われて、もうどう考えても助からない俺は、自分を殺す事を『オッサン』に願った。
つまらない人生だったが、最後にガキンチョを救えた事で帳消しに……なるなんて思えなかった。後悔する事が、いくらでも出て来る自分に驚く。
もし『次』があるのなら……出来るだけ後悔しない様にしたい、そう考えながら俺は死んだ。
『次』に気付いた時、俺は『異世界』の『亜人』たちが住む貧しい村に転生していた。
貧しくも気の良い村人たちに囲まれ、幸せに過ごしていた俺だったのだが。
ある日、村に攻め寄せてきた『人間』たちに、村人たちを皆殺しにされてしまう。
そしてその『人間』たちの中に、俺はあの『オッサン』の姿を見つけた。
『勇者』の取り巻きの一人として。
村人たちの復讐の為、『勇者』を殺す為に、俺は『魔王軍』へと身を投じた。