ルナティックに愛されて・・・・・・みる?
満月+鬼畜王子+初恋ショコラ=なお話。
鬼畜王子が残念な子になっておりますが、気にしないwww
sideゆう
「こんばんは」
「いらっしゃい、ゆうちゃん。涼しいから入りましょうね」
午後7時。彼との約束の時間に私は彼の家を訪れる。
いつものお家デートだと家に帰る時間なんだけども、今日だけは特別。
今夜は十五夜。しかも満月。今度満月が見れるのは東京オリンピックが終わった翌年なんだって。
これは今見るしかないよね?って事で昨日の夕方、私の母親に彼が一緒にお月見を見たいと直訴して母を攻略。
遅くても10時には戻ってくるようにって約束をさせられている。
家を出る前に、宿題も明日の用意もしてある。なので、帰れば寝るだけ。
最近の彼は、お肌のゴールデンタイムに起きている事を凄く嫌がる。
その時間帯のドラマは全て録画にして週末まとめて見ている。
友達とは話題がちょっと合わないけれども、なんとなくお肌の調子がいい気がする。
規則正しい生活って重要なんだって最近痛感しているのは彼には内緒。
私はおばさんに促されてリビングに通される。彼の家のリビングは南向きが中央になるので外に出ないでお月見ができる。
ススキに栗に里芋・柿。それからお月見団子。クラッシックな洋館にディスプレイされている和の装飾。
似つかわしいとも思えるのに、不思議な位に馴染んでいるのは、庭に秋の七草が植えられているからだろうか?
「秋の七草……ですよね?」
「そうよ。この時期に咲いていたら風流かなって家を建てた時に植えたの。ちょっと素敵でしょ?」
彼の家に緑のカーテンは、風船葛で可愛い種をこないだおすそ分けして貰ったのだ。
来年は私の家でも挑戦したいなぁ。栽培方法はもう聞いてあるから、後は実践あるのみ。
「そう言えば、彼は?」
「あきら?ごめんね。今お風呂に入っているの。さっき買い物を頼んで汗を掻いたって言ってたから」
お風呂?人が来ているのにちょっとそれはずるくない?
こうやって、世間的には遅い時間にお邪魔している私達は相変わらず世間では清い交際というらしい。
時々ハグしたり、キスしたり。手の方は気が付いたら、恋人繋ぎになっていた。
恋人繋ぎすると……そういう関係なんでしょ?って言われるけど、私達は曖昧に誤魔化していた。
高校生だからとかどうとかいうつもりはないけれども、そう言う事って秘めておいた方がいいと思うの。
なんでも明け透けでオープンでいいというのもどうなんだろう?
こんな考え方は私と彼だけなのかな?彼の方も、ずっと一緒にいたいから興味本位でそういう関係になりたくないって言ってくれる。
それだけ、彼に想われているのなら、そんな彼に見合う彼女にならないとね。
見えないところで私なりに女子力を上げているつもりなんだけども……上がっているのかな?
リビングの窓の側に座ってぼんやりと月を眺める。
月のウサギも楽しく餅つきをしているのだろうか?
狼男がいるとしたなら、世界のどこかで華麗に変身しているのだろうか?
満月の日には生まれる子供って多いんだっけ?どうだったけ?
これだけ輝いているのに、惑星じゃないのも寂しいなぁ……。
「ゆう、いらっしゃい」
長袖のTシャツとハーフパンツ姿という、今まで見た事のないラフな姿の彼に見惚れてしまう。
神様、どうして彼は何を着せてもカッコいいのでしょうか?
私の目がラブフィルターが掛かっているから勝手にそう見えてしまうのでしょうか?
お風呂上がりでしっとりと濡れた彼の髪がどうもセクシーに見えてしまうのですが。
普段の彼の髪の毛は、サラサラで癖のない髪。綺麗な髪は水も滴ると更に好感度増すんですね。
彼のどこを見ていいのか分からなくなってしまい、私は元見ていた月に目線を変える。
「ゆう、そこでもいいけど。俺の部屋に来ない?俺の部屋でもお月見できるよ。おいで」
私は彼に手を引かれて彼の部屋に行く為に階段を上る。
そういえば、彼とお付き合いを始めてもうすぐ1年。彼の部屋には始めてお邪魔するかも。
そんなことに気が付いて私はドキドキしてしまってどうにもならなくなってしまった。
このまま心臓止まったらどうしよう。せめて一度はウェディングドレス着たいからそれは困る。
私の頭の中はいろんな事がぐるぐる回っていた。
sideあきら
「ちょっと、あきら!!アレ買ってきてよ。アレ!!」
いつものように俺を下僕のごとく扱う母さんの一言。今日のアレは一体何だ?
「何ですか?玲子さん?」
「ゆうちゃん来るんでしょう?アレ買ってきなさいよ。あんたの好きなアレ」
母さんと言うと最近あり得ない勢いで怒られるので、名前の玲子さんと呼んでいる。
これで機嫌が良くなるんだから安上がりと言えばそこまで。単純でおめでたい人だ。
しかし、アレってなんだ?お菓子か?ジュースか?アイスか?
それとも……避妊具って言いたいのか?俺はまだやれるだけの責任力はない。
よってそれは違う事は確実だ。
「アレと言ったらアレよお。初恋ショコラ。私とパパさんの分も買ってきて」
お財布から5千円札を抜いて俺に渡す。そんなに金いらないんだけど。
「玲子さん。こんなにお金要りませんけど?」
「うーん、最近アルバイトしててお小遣い上げてないじゃない?なんとなくあげたくなったからお釣りあげる」
本当にこの人はいい加減というか、思いつきというか。あっけらかんとしている所は嫌いじゃないけど。
絶対、彼女にはしたくない。これだけは声を大にして言えるぜ。
「分かったよ。とりあえず行ってくるよ。ってか、もっと早く言えよ」
「うーん、諭さんとラブラブしながらお月見したくって。夫婦仲がいいっていいでしょ?」
これまた言い切られた。確かに、夫婦仲が冷え切っているよりはいいですが、あなた達は単なるバカップルです。
息子の前でイチャつくのはいい加減辞めて欲しいものですが……。
「あー、はいはい。帰ったら風呂入るからね。その間にゆうが来たらよろしく」
「その位、母さんだって接待できます。とっと行け。あきらゴ~」
俺はフライングドックの犬じゃねぇ。そんな突っ込みは口に出さずに俺は玄関のドアを開けた。
無事にミッションが終わって、ダッシュで風呂に入ったつもりだが、ゆうとの約束の時間には遅れてしまった。
急いでタオルドライをしながらリビングに向かうと、ぼんやりと月を眺めている彼女の姿。
その視界に移る月にどんな思いを巡らせているのだろう?まさか目玉焼き食べたいとかないだろうな?
「ゆう?いらっしゃい」
俺は彼女の背後から声をかける。俺の姿はガラス越しに映っていたと思うのだが、それすら気がつかなかったようだ。
彼女は俺をマジマジと見つめている。今の俺の姿……長袖Tシャツにハーフパンツ。
思い切りラフな服装だ。学校のジャージに次いでラフな服装だろう。穴があったら入りたい位恥ずかしい。
こんな格好見せたくなかったけど、仕方ない。俺は開き直ることにした。
まだしっとりと濡れている髪をガシガシと乾かす。寝るまでに乾けばいいや。
ふと足元にいる彼女を見ると、彼女はプイと窓の先の月に目線を移した。
なんだ?その行動は?俺の脚が見えてるの……そんなに嫌か?それとも日焼けが薄らいで白いからか?
男としてはあまり毛深くないから脛に僅かしかないそれが自分としてはコンプレックスだったりするのだが。
もしかしてそれが嫌なのか?だったら、つるつるに脱毛するぞ。その位のお金使っても惜しくはない。
なんでそっぽを向いたのか、俺の部屋に連れて行ってからゆっくり聞くとしよう。
「ゆう?そこでもいいけど。俺の部屋に来ない?俺の部屋でもお月見できるよ?おいで」
俺は彼女の手を引いて階段を上って自分の部屋に連れ込むのだった。
そういえば、今までのデートは全てリビングでのデートだったなぁと今更ながら思い出した。
それを意識すると次第に俺も緊張してしまう。彼女も同じなのだろうか?
「とりあえずソファーに座って」
俺は彼女を部屋にあるソファーに座るように促した。
今日のお月見の為に普段はクローゼットの前にあるソファーを今日は窓の側に移してある。
窓からはまん丸い月が雲ひとつない状態で俺達を照らしている。
「きれいだね」
「あぁ、きれいだ。今年の満月の様にまん丸なのは今度は8年後なんだよな」
「そうだね。テレビでもそんな事言っていたね」
月をうっとりと眺める彼女が月に心を奪われているのが俺には癪に障る。
「ゆう?先月の満月はなんだったっけ?」
「先月はブルームーンでしょ?スーパームーンじゃないよね?」
「そう。スーパームーンは6月だったぞ」
先月の満月はデートの帰りにブルームーンを眺めながら帰ったこと忘れてなかったんだね。
俺は彼女の頭を数回撫でる。彼女が俺に寄りそう。
「どの月もいいけど、日本だからかな。中秋の月が一番愛着があるな」
「そうだね、こういう時は日本人で良かったって思う」
彼女がそう言って月を眺める。彼女のその考えは俺も納得できる。
こうやって季節感のあるものを愛でるのもまたいいものだ。
「ゆう?ルナティックって分かる?」
「分かるよ。狂気でしょう?」
「そう、語源が月だって知ってる?」
「そうなの?あぁ、そうか、ルナは月だものね」
「そう言う事」
俺はそう言うと、彼女の肩を抱きよせて更に密着させる。
「この満月を見ると狂気ってのは分かるような気がするな」
「あっ、あきら?」
彼女がちょっと焦っているけど、気にしない。彼女の心が月に向かうのはもう限界だ。
こんなに気が狂う位彼女を思っているのに、彼女が違うものに心を奪われるのは許せない。
こんな気持ちもある意味で狂気なのだろうと俺は自覚をする。
これが狂気ならそれでも構わない。その位今の俺は彼女が欲しい。
ゆうは俺に見惚れていればいい。他の男も他のモノもその目に移して欲しくない。
俺は彼女をきつく抱きしめる。
「あきら?どうしたの?」
「愛してる。月に狂わされた俺でも愛してくれるかい?」
いつもなら、何らかの答えをくれる彼女なのに、今日は返事をくれない。
引かれちゃったかな。俺の狂気に恐怖を抱いたのだろうか?
「どんなあきらでも……私も愛してる。怖くないよ。年に一度位そんな時があってもいいと思う」
彼女はそう答えると真っ赤になって俯いてしまった。
彼女の長い髪の毛から見える首が扇情的に俺を煽る。
もう一度抱き締めてから、頬にキスをする。徐々に唇を這わせるようにキスをしながら首筋に辿りつく。
俺は初めて彼女の首筋にキスを落す。彼女の首も唇と同じように甘く感じる。
やっぱり今日の俺は月に狂わされたのかもしれない。
もっとその甘さを感じたくて、ほんの少しだけ吸い上げた。
微かに残るその証が俺の征服欲を満たしてくれた。
「ゆうは俺のモノ。誰にも……満月にも渡さない」
耳元で囁いて更にきつく抱きしめる。鼻腔一杯に広がる彼女の匂いがたまらない。
俺は再び首筋に唇を寄せようとした。
「明日は体育だからこれ以上はダメ」
彼女に止められてしまった。仕方ない、今日はこれで止めておこう。
「ごめん、怖がらせたな。これで機嫌直してくれない?」
部屋に置いてあるミニ冷蔵庫から初恋ショコラを取り出す。
「今日は……食べるだけ?」
彼女が上目遣いで聞いてくる。今までの俺の行動と今日の俺の行動を考えたらそういうよな。
やっぱりやり過ぎたか。でもキス位はさせてくれないかな。
「そうだな……樹みたいなキスならいいだろう?」
ってか、画面に向かって奴はキス顔しているだけだけどな。
確か男の子の純情編とか言って枕相手に練習してるんだ。
アレはアイドルだから成立するもんで、リアルにしてるって知られたら逃げ出すんじゃないかな。
「絶対?だったら……キスはいいよ」
彼女は俺の目をジッと見ながら答えてくれる。絶対に今の俺は試されている事だけは分かる。
「そんなに言うのなら、証明しましょう」
俺は顔を傾けて、彼女の唇に合わせるだけのキスをする。
「なっ?本当はもっと大人なキスしたいけど、今日の俺は月に狂わされてるから……これでいいかも」
「本当に怖かったんだよ……あきらは好きだけど」
そっか。ちゃんと彼女の事……考えてなかったな。ごめんな。
今日の初恋ショコラは甘さよりもほろ苦く感じた。
「ゆう?けーきとぼくのキス、どっちが好き?」
俺はいつもと同じように彼女に聞いてみる。今日はキスはないだろうな……。
「今日はどっちも嫌。あきらが一番好きだから」
彼女の腕が俺をふんわりと包み込む。
女の子はこういう時は強いものなのかな?何となくそんな事を思った。
「そういう時は、ちゃんと最初から言って下さい。体の準備もあるんです」
「へっ?」
「あきらはお風呂入ったんでしょ?私はまだお風呂入ってないもの」
今日の俺はデリカシーが足りなかったようだ。まだまだ修行が足りないな。
俺は彼女の顔を見て微笑む。
「折角だから、月の光に酔いながら愛を語らいませんか?」
「しょうがないな。今回だけだから」
俺達はどちらともなく腕を回して互いの存在を感じ合うのだった。
暴走して怒られちゃいました。たまにはそれでいいかなって。
蒼い衝動で突っ走ってはいけません。それを止めたゆうは偉い。
ゆうもやればできる子です。
ついにあきらの親の名前が発覚です。捻り?一切ありませんwww




