7.スラム街の路地裏と、怪しい影
仲間たちと別れ、再び夜の帳が下りたゲーム内のスラム街。
「はぁ……商業ギルドに出禁にされたからには、もう裏ルートで素材や薬品を流通させるしかないのかな……」
僕は溜め息をつきながら、薄暗い路地裏の石畳を歩いていた。
商業ギルドから追い出された僕は、正規のショップで調合用のフラスコや薬草を購入することすら拒否される状態になっていたのだ。
「おい、異界の旅人……」
物陰から声をかけてきたのは、いつものスラムのNPCたちだった。
「これ、受け取ってくれ。あんたがいつもタダでポーションや肉をくれるから、スラムの仲間で集めたんだ」
手渡されたのは、湿原の奥地でしか採れない湿った薬草と、怪しく光る不気味な鉱石の破片だった。
『——NPC(スラム住民)から【暗闇草】×5、【紫毒石の欠片】×2 を譲渡されました』
「えっ、いいの!? ありがとう!」
正規のルートが閉ざされた代わりに、僕が夜な夜な配り歩いた青汁ポーションの恩恵が、思わぬ「闇の素材供給ルート」となって返ってきたのだ。
「ふん、相変わらずお人好しのバカね」
頭上から声がして見上げると、屋根の庇の上に猫耳の少女・ミーアが腰掛けていた。干し肉をあげて以来、彼女は僕の「夜活」を遠くから監視するようになっている。
「ミーア! 今日も元気そうだね」
「別に。あんたが自警団に捕まって牢屋にぶち込まれないか、見物しに来ただけよ」
ツンと横を向くミーア。だが、彼女はスッと細い指で路地裏の奥を指差した。
「……奥の『骨骨堂』に行きなよ。あんたみたいに街を追われた変人が集まる場所だから」
「え……?」




