到着!館への帰還
物語はどんどん展開していくべきだろうね。
館はいつもの通り厳かな雰囲気を保ち、そこにあった。
ペラは久しぶりに帰ってこれたことを喜んでいる。
今にでも舞を踊ろうかという感じだ。なんなら小躍りしている。
「俺はちらっとしか見てなかったが、こう見ると立派なもんだな・・・」
ギルは感心したように目を丸くして見つめている。
「そりゃあそうでしょうよ!あらゆる技術者の粋を集めたのだから!」
つい褒められていい気になる。
・・・しかし何故?さっきの戦いで壊れた入口のドアが直っている。確かにさっきは中に入れないにしても、ドアは壊されていたはず。
まあ、それだけなら未来とフレンが直したのかなとも考えれたけど、壁に付いていた刃物による傷跡も綺麗に無くなっているのはどういうこと?
壁の修復なんて簡単にできるわけが無い。
「どうしたんだ?お前は喜ばないのか?」
ギルは私の顔を覗き込んできた。急にそういう事は心臓に悪い。危うく吃驚して声をあげるところだった。威厳を保つために、そんなみっともない姿を見せるわけにはいかない。
「え、ええそうね・・・ちょっと考えてたのよ!」
私は何もなかった風を装うのを頑張った。
ギルがニヤニヤしてこちらを見ていたのが、なんとも不愉快で今すぐにでも蹴り倒したかった。
私は怖いものには耐性があると思う。
いくつも怖い小説やお話を見聞きしてきたが怖がった記憶がない。ただ吃驚するのとは話が別、急に出てくるのは怖いとかそういうのとは関係ないと考えている。
・・・って今そんなこと考えてる場合か!思考がジャックされた気分だわ。
「ただいま~」
「ただいま!」
ペラと同時にただいまを言った。なんかそうなりそうな予感はしたけど、
暫く私たちの声が響いて静謐になった。
あれ?静寂?外にいた軍勢もいなくなってたから、てっきり勝ったものと思ったけど。
もしかして負けた可能性あるか?
いやいやありえない。きっとこの館は広いから声が聞こえないか、遠くにいて来るのに時間がかかっているのでは?そうに違いない。
「どうした?ここにいるんだろ?」
まったく能天気ね。内心焦ってる私が馬鹿みたい。
そんな私のわずかな不安は不要だった。
「ああ、戻って来ていたか。」
呼びかけてから五分ほど経過したときに未来が出てきた。
「わーい!未来~」
ペラは嬉しそうに満面の笑みで未来に抱き着く。
少しの嫉妬心を抑えながら、私も労いの言葉をかけるとしようか。
「よかった。無事だったのね?」
「その通りだ。あんな生半可共に負けるわけが無いだろう。」
私が怪我はしてないか聞くと、「かすり傷一つもついていないよ。万が一、怪我をしたとてとっくに治している。」と自信満々だった。
「それより聞きたいことがある。なぜそいつが共にいる?」
まあそうなるよね。
「実は・・・」
「待て!」
私が事のあらましを説明しようとすると、後ろから怒声とも思えるほどの大声が発せられた。
「その件については俺がきちんと説明しよう。」
ギルはさっき私たちにした話を未来にも聞かせた。
「はあ、なるほど。で?・・・シラリア、こいつの話は信頼できるか?」
「問題ないわ、嘘は言っていない。それにあの帝国がこちらに照準を向けている可能性も捨てきれない以上、やるしかないのよ。」
そう、今回ギルの提案に手を貸すことになったのはそれが一番の理由。
ギルに任せて失敗した場合、次の矛先がこちらに向く可能性がほぼ確実。
それなら最初からギルと共闘して悪を滅する方がいいと考えたから。
確かにこの館にいる限り敵は入ってこれない。つまり安全ではあるが、今後一切外に出れない。
又は、戦闘をしなければ外に出られないのは非常に面倒なの。
「今敵を叩かなければ、我々が迷惑を受けることは必定なのよ。だからこそキルナプールに対して、多少の知識を持っているギルに協力してあげるのが最適なのよ。」
私は眉間に皴を寄せ、厳かな雰囲気を出して伝えた。
未来はしばらく考え込んでいたが不意に「ふっ」と笑った。
「シラリアには何かあると思っていたが、まさかこんな面白いことになるとは。わかった、やろう。」
未来は賛同してくれた。その後も「実に面白い」と呟いていた。
しかし私はまた何かを忘れてる気がする。
「あれ?そういえばフレンは~?」
・・・
・・・
・・・
あ、忘れてた。
ペラの一切の悪意のない発言に私と未来の動きが止まる。
「そういえば!未来!フレンは何処?無事?」
未来はその発言に顔を俯いた。
珍しく歯切れの悪い未来にもう一度問いただす。
「フレンは無事?」
「・・・一応な。」
「どういうこと?あの時フレンは館の中にいたはず、怪我をするわけがないでしょう?」
未来はバツが悪そうに私から少し距離を取った。
「・・・今は安静にしている。一旦落ち着ける部屋に移動しよう、そこで何が起きたかを話す。」
楽しんでもらえましたかね?過去の話も手直ししないとなと、思いながらも時間が足りません。




