再会の日
中に入るとそこは人工的に掘られた洞窟のような場所に出た。
それと同時くらいに直ぐに男も出てきた。
ずっとこの森に住んでいたがこんな場所があったとは、驚いた。
「へぇ~私が暮らしてた森にこんな空間があったなんてね。」
「一応言っておくがここは森の地下だ、私たちの先祖がこの地に安寧を求め作ったのだ。」
「今なんて?」
私たちだって?
「あぁ。やっと姿を見せられる。」
男は仮面の後ろに手を回して装着部分を外す。
遂に素顔を見てやれるのだ。
カランと仮面が地面に落ちる。
男の顔を見て私は既視感を覚えた。
確かどこかの書物だったか、だが何の書物だったかよく思い出せない。
「どこかで見た顔ね。」
男は口角を上げて笑った。
「そうだろうな、なぜならこの顔はこの地の先住民である証拠なのだから!」
私はその言葉を聞いて完全に思い出した。
この男の目の色は右が黄色で左が緑。
この特異な目を持つものはこの地にもともと住んでいた先住民であると。
「博識な者ならこの顔を見ればわかるだろう?」
「ええしっかり思い出せたわ。」
しかし先住民がなぜ?過去の仕返しでもしようというのか?
「なんで正体を現した?って感じの顔だな。」
男はよく私の顔ですべてを見透かした言動をする。
今もまた図星を付かれた。
私はこんなに顔に出やすい人間だったか?確かに人と関わることなんて今まであまりなかったが。
「そろそろ『本質』を話そうと思ってな。」
ここは中央に大きなスペースがありそこから放射線状におそらく道があるのだろうか、まるでパノプティコンだが両開き型の門が付いているため監視というより移動の利便性を考えての設計なのだろう。
「本質?」
「そうだ、とりあえず私の部屋に来てもらおう。」
男が門を開くと圧縮されていた空気が一気に通り過ぎて、同時に土の匂いも鼻腔に入ってきた。
門の向こうは土でできた通路が延々と続いてるかのような不気味さがある。
通路には上から吊るされたランタンの明るさがほんのりとあるため歩くのに苦労はしないだろう。
「私もここに戻るのは久しぶりでな、ちゃんと部屋を覚えているかどうか。」
男は自嘲気味に笑った、ここに来れたことを喜んでいるようだ。
唯顔が見れるだけで先程と印象はまるで違う。
さっきは何かを企んでいるのかと常に疑わざるを得なかった。だが今はその笑みには、やはり邪を感じない。
「ああそうだ──ここだ。」
男がドアを開けると暖かな空間が見えた。スペースとしては狭いが、壁には花柄の壁紙で囲まれていて床はフローリングが敷かれていて、土だらけの洞窟とのギャップが大きすぎる。
「さ、入って。」
何故か男の声すら優しくなったかと錯覚する。
「懐かしい──」
男は感傷に浸っている。
「で?私は急いでるの、さっさと話すこと話してよ。」
そう私は今焦っているペラをすぐに助けないといけない。もしペラに何かあれば私はもうこの世にいられない。
「え?─ああそのことかそれなら探してる子はここにいるよ。」
───は?
私の心は大分揺さぶられた。予想していない答えだった。
「ここにいるってどういうことよ!」
「そのままの意味だ、この場所で何不自由なく生きてるはずだ。」
ペラがここに?なら早く場所を聞き出さないと!
「どこにいるのよ!」
私がいくら声を荒げても男は淡々とした調子で返事をする。
「その子はここの隣の部屋にいる。」
男は会いたければさっさと行けば?と言った様子で言う。
すぐに部屋を出て右のドアを開くと、知らない親子がこちらをきょとんとした顔で見つめていた。
反対側だったのかと思ったのと同時に「失礼しました!」と一言で謝りすぐに左のドアを開ける。
「どうしたの~?」
そこには館で常に見ていたのんびりとしたペラの姿があった。
「よかった!無事だったのね!」
すぐにペラに頭と背中に手を回し抱き着く。無事なことに安堵して涙まで流れてきた。
ペラは涙を流す私を戸惑うでもなく不思議そうに見つめていた。
「本当によかった!」
なんどもその言葉を繰り返す。開けっ放しのドアから洞窟内に私の泣き声が響いていた。




