四十八 ミタリアの特殊能力
私とリチャード様は王都から離れた獣化研究所に来ている。研究所でさっき受けた特殊能力検査の結果を、応接間でリチャード様と二人待っていた。
「なぁ、ミタリア。所長と助手が水晶玉に移されたミタリアの特殊能力を見て、かなり驚いていたが……闇属性とはそれほど貴重な特殊能力なのだな」
……ほんとうに闇属性ならね。
「もしそうなら貴重かもしれませんけど……。リチャード様、まだ私の特殊能力が闇属性とは限らないのではないでしょうか……」
「どうして、そう思ったんだ?」
「ただ、なんとなくです」
(私の特殊能力が特殊なら……もっとあの二人は深刻にならない? 何故か私の特殊能力を見た助手の人は、笑みを噛み締めてメモっていたもの)
「俺はミタリアの特殊能力が闇でも気にしないぞ。ミタリアを守る力を身に付けて強くなるから、安心して俺に守られろ」
「本当ですか嬉しい。ありがとうございます、リチャード様」
応接室で二人でたわいもない話をしながら、まったり桃のコンポートを食べて、果実水を飲んでいた。突如、隣に座る王子があっ、と何か思い出したのかじっと私を見はじめた。
(えっ、なに?)
「リチャード様? そんなにじっくり私の顔を見て、なんですか?」
「ん、いや、兎の手紙に書いてあった事をなミタリアに城に帰ってから聞くか、いま応接間で聞くか考えている」
「兎の手紙? あ、リリネ君が持ってきたあの手紙の事ですか?」
「そうだ。あの手紙に転生者がどうとか書いてあったろ? 普通なら聞き慣れない言葉でそれはなんだ? と気にするところ。ミタリアは気にもせずにスルーしていたから、もしかして転生者の事を何か知っているのかな? って、気になっている」
鋭い……私はその転生者なんです。
この乙女ゲームが好きで、異世界に来る前の私にとってこのゲームは癒しだった。
(転生者か……王子に聞かれたらなんて伝える? 上手く説明できるといいのだけど……)
しばらく王子はどちらにするか悩み。
「決めた、城に戻って俺の部屋でじっくり聞く事にした。ミタリア、今日は城の客間に泊まっていけ」
「えっ、泊まるのですか」
心配するな、両親には早馬を送ると王子は言ってくれた。学園は今日から三連休だからいいけど……
……私に少し困ることがある。それは最近になって王子に触れらると……お腹のアザが前よりも熱くなって体が変になる。突拍子もなく王子に触れたくなったり、王子に触られたくなってしまう。
(自分だけ、その、モヤモヤしてしまうから……恥ずかしいやらなんやら照れてしまう)
「ミタリア、泊まっていくだろう?」
「は、はい……でも、リチャード様の執務は忙しくないんですか?」
「執務? それは大丈夫だ。学園に入ったから学業に専念しろと父上に言われてな。それなりにこなせる量になった……既に休み中の執務は昨日のうちにリルと済ませてある」
まぁ、空いた時間は読書か騎士団との稽古に使う。
私との、昼寝の時間にしてもいいな。と言ってくれた。
+
応接間の扉が開き。デンス所長と助手が戻って来た。所長が手に持つ封筒の中に、私たちの特殊能力検査の結果が書いてあるのだろう。
「リチャード様、ミタリア様、特殊能力検査の結果が出ましたので、お渡しいたします」
一人ずつに封筒が渡された。この中に私の特殊能力が何か書かれているんだ。王子は早速、紙を出して検査の結果を確認し始めて、私もと検査結果の紙を取り出して確認する。
「えっ?」
思わず検査結果に驚き声を出してしまった。
えっ、これほんとなの? 私の特殊能力は兎さんが教えてくれた闇属性ではなかった。
――全く別物。
私の特殊能力は『オフトゥン召喚』と『癒し』(オフトゥンの上のみ効果あり)って……この特殊能力って、王子専用にしか見えないのですが。




