神父の願い。神父の上司あらわる?
神父は無事に救出され、直ぐに天界にて、治療を施された。
全身に痛々しい程の傷があったが命に別状は無かった。
神父救出後に次々に明らかになった、武神による、天界に対するクーデターの全容。
その事実に、神父は天界の更に上にある世界、神界に急ぎ向かうのであった。
神界に着いた神父は巨大な門を潜り、中に待つ、五智如来の前に膝を付いた。
ーー 五智如来
ーー中心『大日如来』
ーー東『阿閦如来』
ーー南『宝生如来』
ーー西『阿弥陀如来』
ーー北『不空成就如来』
大日如来を筆頭に、東西南北を統治する、神界の最高位である。
本来ならば、年に1度、神王への昇格をするものがいる際にのみ、姿を現す。
また、武神達も、大日如来の判断の元に神の名を与えられている。
ーー
本来ならば、神父であろうと簡単には会うことは赦されない天界から見た神である。
神父は五智如来に挨拶を済ませると本題を語った。
武神の新たなる筆頭が必用であることと、それ以前に武神を筆頭とする、神軍が必要か否かを五智如来の判断に委ねに来たのだ。
「今回の一件は、私の監督不行き届きであり、どんな罰も御請致します」
頭を下げる神父。
『今回の一件、我等にも責任がある、神父よ、ソナタの罪を問う気はない、此れからも神父としての責務を果たすがよい』
「はい、有り難き御言葉です」
『後の武神達の管理者には、弁財天を据える事にする、此方から、弁財天には、おって話すので案ずるな、以上だ』
「御意」
神父は、挨拶をしてから、天界に戻って行った。
神父は天界に戻って直ぐに、天御中主神、閻魔天、七福神の元に行き礼を済ませる。
その足で神父は、下界へとやって来ていた。
今回の一件で、地上に被害が無いかを確かめる目的が一つ、そして、もう一つは、西東とアコを訪ねる為であった。
西東の家に着いた神父は、チャイムを鳴らす。
「はーい、どちら様、あれ! 神父さん。もう出歩いて大丈夫なんですか」
玄関を開くとたっていた神父の姿に驚く西東。
「大丈夫です、御心配を御掛けしました。本当にすみません。西東さん」
神父の声を聞いたアコが台所からバタバタと足音を鳴らし走ってくる。
「神父様! もう、大丈夫なんですな」
「はい、大丈夫ですよ。アコ」
それから西東とアコは、神父を家の中に招くと御茶を飲みながら話をした。
「つまり、弁財天さんが次の武神の筆頭役になるんですか」
「西東さん、そうなりますね」
「つまり? 武神の音楽隊もできるのね? パレードとかもあるかな?」
話がズレないようにアコを誘導しながら西東と神父は話を進める。
「それと、多くの神兵がこの一件で亡くなりました」
「待ってください? 天界人が死んだんですか!」
西東が驚くのも無理は無かった、自分達の戦いの中で傷つけた者もその中に含まれていると察したからである。
神父は自分一人が居なくなる事で天界が麻痺するとは、考えていなかった。
しかし、お仕置きされた、下界人の蘇生でいっぱいいっぱいになっていた天界に、戦闘で運ばれてくる天界人まで賄うことが叶わなかったのだ。
「私の責任です、私の治癒の力に頼りすぎていた天界がこうなる事を予想しなかった、寧ろ軽んじていました」
「仕方ないですよ、今回の一件は、余りに急でしたし」
「私は天界の王を天御中主神に譲る事を伝えてきました。五智如来様にも、帰り際の挨拶に話しました」
微笑みながらそう話す神父。
「それって」
西東が喋ろうとした瞬間。
「それって! 瓶のゴーラが街からなくなるってことですよね! 一大事じゃないですか!」
悲しみにくれるアコを西東が宥めながら話を再開する。
「それって、天界の方は大丈夫なんですか?」
「私の神父と言う名は、『甦生神』の呼びなですから、此れからは甦生神として働くつもりです」
話を終えると神父は天界に帰っていった。
神父は、最後の仕事と証して、西東とアコ、ケルルロッテに新たな神兵の試験官を頼みに来たのだ。
西東とアコは、神父の頼みを聞きそれを了承した。
西東とアコの試験官を勤めるのは三日後である。




