勝負の行方、スサノヲ現る!
新武大帝の動きを止めた、船には大きく〔 宝 〕の文字が刻まれ、琵琶三線笛に太鼓、先程迄の殺伐とした雰囲気を一気に一掃し流れる祭りばやし、皆の動きが止まる。
「久しいねぇ、 天 中 元気してたかい」
威勢よく、天御中主神に喋りかける女。
「無理をいってすまなかったのぉ弁天」
「なに、構わんさ、旧友の切なる頼みを無下にするは、福の神に非ず、此度の呼び声に、感化され馳せ参じたのみさね」
西東達の前に現れた船は〔 宝船 〕七福神の物であった。
ーー七福神。
『弁財天』
『恵比寿』
『大黒天』
『毘沙門天』
『福禄寿』
『寿老人』
『布袋僧侶』
七人の福の神を七福神と呼ぶ。
恵比寿、弁財天、布袋、大黒天は富をもたらし、毘沙門天は、勝負ごとを司る。
寿老人は、人々の末永い幸せと長生きを与え、福禄寿は子孫繁栄を願う者に子宝を授ける。
そんな七福神の中には、異国の神『シヴァ』の異名を持つ大黒天、更に勝負の神であり、四天王の一人、毘沙門天、弁財天も、天界の守護者の一角を担う存在であった。
ーー
新武大帝は、黙ったまま、下を向いていた。
玄奘三蔵を使い、呼び寄せた齊天大聖孫悟空と、その仲間が後ろから、睨みを聞かせ、左右に風伯と鳴神、地上には西東に天御中主神と閻魔天の軍団、そして、目の前に七福神、全てが詰んでいた。
そして、弁財天が口を開いた。
「新武大帝よ! 今より全ての権限を剥奪するものとする! 何か申し開きがあれば言うがよい!」
新武大帝は、黙ったまま、まるで脱け殻のようになっていた。
新武大帝は、連行され神神裁と言う、神々が神を裁く裁判に掛けられる事が即座に決まった。
そんな最中、姿を現した男達に、天御中主神の表情が一変する。
禍津日神と悪樓を後ろに従え、スサノヲが姿を現したのだ。
そして、スサノヲの肩に乗せられていたのは、紛れもなく神父であった。
「派手な祭りだなぁ! 愉快愉快、だが、祭りは終わりだ」
そう口にしたスサノヲが、新武大帝の城を呼び指す、そして、一瞬で城を倒壊させ、中にいた新武大帝の部下を一掃したのだ。
「貴様! 何て事を!」
声を荒げる天御中主神。
「悪い芽は早めに取り除くに限る、あと、禍津日神と悪樓は、今回、神父を救うために已む無く外に出たそうだから、罪にはとわないでくれ、監獄に戻るそうだから」
そう言い残し、神父と禍津日神、悪樓をその場に残しスサノヲは、姿を消したのであった。
不本意な結果であったが、本来の神父救出と新武大帝の失脚が叶い、天御中主神は、それをよしとするのであった。




