表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/89

流れを変える者と涙を流す者

 齊天大聖は、 如意金箍棒にょいきんこぼうを手に西東達を睨みつけるようにその目を下に向ける。


 そんな光景に天御中主神が声を荒げる。


「貴様が異国の神であることは理解した! ならば、どのような私情が在ろうと、日ノ本の戦に関わる事は、禁忌で在ろう!」


 その言葉に、口をグッと閉じる齊天大聖。


「貴公達には、わかるまい! 我は日ノ本に囚われし師を助けんが為、この身を罪神まで落とす覚悟!」


 そう口にした齊天大聖の後ろから更に三人の人影が姿を現す。


 天蓬元帥てんぽうげんすい猪八戒ちょはっかい


捲簾大将けんれんたいしょう沙悟浄さごじょう


 玉龍ぎょくりゅう八部天龍はちぶてんりゅう白龍はくりゅう


「悟空、話は無駄だ! 互いの考えが相容れぬ今、言葉が何の役にたつ! 既に覚悟は決めた身、この猪八戒が奴等を食い止めて見せるわ!」


 そう口にする男は、自身を猪八戒と名乗り、手に得物を握り西東達に睨みを効かす。

 その後ろに構える、沙悟浄と白龍もまた、戦う覚悟を決めているといった顔付きに、天御中主神陣に緊張が走る。


 西東は、皆が殺気だつ中、話を冷静に分析していた。


「貴方達の言う師とは、 「玄奘三蔵(げんじょうさんぞう) 」と言う名ではないですか」


「おい! (・・)をつけぬか!」


 西東の言葉に怒りを露にする、悟空と猪八戒、そんな中、沙悟浄が一人冷静に西東の問いに答えた。


「如何にも、我らが師は、玄奘三蔵様です」


 西東は、その言葉に納得したように頷いた。


真武大帝しんぶたいていは、貴方達の師である、玄奘三蔵法師様を人質にしていると言うことですね」


 沙悟浄は静かに頷いた。


 二人のやり取りに訳が解らず、頭を傾げるアコ、そして、天御中主神達、そんな中、更に会話が続けられる。


「玄奘三蔵法師様を助けたいなら、僕達に協力してもらえませんか」


「申し訳ないが、新武大帝に三蔵様の魂を握られている以上、それは、出来かねます」


 沙悟浄が下を向きそう答えた時であった。痺れを切らした新武大帝が反対の空に姿を現したのだ。


「何をしておるか! 貴様等の師を助けたくないのか?」


 そう口にする新武大帝の手には、鎖に吊るされたかごが握られており、その中に透き通った人の形をした光が見える。


「三蔵様!」

「御師匠様」

「御師匠!」


 孫悟空達が声をあげる。

 それを見て笑う新武大帝。


「あれが新武大帝! あの手に握られたかごが三蔵法師で間違いないんですね!」


 西東の言葉に頷く一同。


 下卑た笑みを浮かべる新武大帝は、両者が殺し合うのを今か今かと待ちわびているかの様に高みの見物をしに来たのだ。


「そうですか、あれが三蔵法師様」


 西東は、そう言うと一気に天高く飛び上がり、かごに対して上下、四方に結界を造り出すと吊るされていた鎖と籠を結界を使い切り放したのである。


「風伯さん! 籠を早く!」


 西東の言葉に風伯が籠を受け止める。更に鳴神が雷を使い新武大帝の動きを封じたのだ。


 籠は、地上に降りてきた孫悟空達に直ぐに渡される、そして、籠が開かれると玄奘三蔵がその姿を一時的に現したのだ。


 それは一瞬であり、涙を流す孫悟空達に対して三蔵は、ただ微笑み手をあわし、礼をすると光は塵になり消えていった。


「三蔵様ァァァ!」


「御師匠ォォォ……」


 各自が涙を流し別れを惜しむ中、新武大帝は、予期せぬ状況にその姿を消そうとしていた。


 そんな中、現れた1隻の大空を進む巨大な船が新武大帝の退路を塞いだのであった。


 皆は、驚いていたが天御中主神は、その光景一人笑っていたのであった。


 

読んでくださりありがとうございます。(*≧∀≦*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ