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色々と複雑です……

 天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)閻魔天湯卯覇えんまてんゆづは本来ならば、有り得ない組合わせであった。


 天界の第三勢力の天御中主神。

 地獄の支配者である閻魔天湯卯覇。


 そして、それにより動いた天界第一勢力の神父派と武神に対する不満の有るもの達。

 そんな彼らを纏めるのが、一人の天鬼と言う事実。


 全てが常識とは異なり、動き出す運命の歯車が組合わさり回り始めると瞬く間に加速していく。


「なんか、凄いことになったな、まさか、ゆづちゃん(閻魔天)がきてくれるなんて」


「任せるのじゃ! 妾が味方すれば、武神の神兵など恐れる必要はないのじゃ」


 そう口にする閻魔天は、西東に笑いかける。

 それに続くかのように、コガノエとクルノが頷く。


ーー


 この事態に肝を冷やしていたのは、武神の最高位である、真武大帝しんぶたいていであった。


 予想外の閻魔天の参戦は力が拮抗していた武神派と天御中主神派のバランスを一気に崩しさり、更に取り込むはずであった、神父派の天兵達も天御中主神の方へと流れ、戦力差は倍以上に膨らんでいたのだ。


「まさか、あの忌々しい、小娘(閻魔天)がしゃしゃり出てくるなんぞ、予想外だ!」


 真武大帝しんぶたいていの言葉に皆が頷くことすら出来ず、微動だに動く事すらしなかった。


「誰か! すぐに、齊天大聖せいてんたいせいに手紙を届けよ!」


ーー齊天大聖。


 言わずと知れた神仙、孫悟空であり、真武大帝しんぶたいていと同じ古く、中国の地神の一人であり。


ーー


「ふふふ、あの猿神の為に、今まで三蔵の魂を隠しておいた正解だったわ」


 そう口にした真武大帝は、すぐに西東達の足止めを開始したのだ。


 戦力差がひらく中で真武大帝の力と同等の神々がいる天御中主神派を相手にするのは得策ではなかった。

 その為、武神派は、齊天大聖が来るまでの時間稼ぎをする事を決めたのであった。


 しかし、武神派の予想よりも遥かに早く進軍してくる西東達に、苦戦を強いられていたのだ。

 更に閻魔天の存在は、神兵の恐怖心を煽り、全てを引き飛ばす風伯、更に全てを焼き払う鳴神の二人に、武神派の神兵は、成す統べなく、逃げ出していた。


「なんか、すごいなぁ? 風伯さんも鳴神さんも」


 呆気にとられながら、二人の戦いを見つめる西東。


「彼らは元々強いのよ、何せ、雷神と風神ですからね」


 そう言い笑っていた天御中主神の表情がゆっくりと変わった。


 西東達の目の前に浮かぶ黒雲こくうんの中に一ヵ所光輝く雲があり、更にその雲の上に立ち人影が見えたのであった。


 そんな黒雲が一気に空を覆い隠すように拡がっていく。

 そして、空から西東達に対して声が響いた。


「失礼だが、天御中主神殿とお見受けするが、如何かな?」


「如何にも、私が天御中主神である! そなたの名は!」


「此れは失礼した。此度の戦、訳あって、新武大帝に肩入れするわ、神仙、『齊天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくう』申し訳ないが、この先には通せぬ!」


 西東は、まさかの孫悟空に驚きを隠せずにいた。

 更に、齊天大聖せいてんたいせいの後ろには、複数の影がうごめいていたのであった。


 伝説の神仙、孫悟空が西東達の前に立ちはだかったのであった。

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