西東大輝の輝き
夜が明ける、日の出を拝むようにして、天御中主神が太陽に向かい一礼をする。
その後ろから他の神々も、太陽に一礼をしていく。
余りに凄まじい光景であった。
全ての礼が終わると天御中主神は西東とアコに近づいて行く。
「御早う、西東さん、アコさん、よく眠れましたか?」
「はい、確りと眠れました」
「私も大丈夫です。眠れました」
「それは良かった。ならば、直ぐに天界に行き、神父殿をお助けしようではないか」
意気込む天御中主神の言葉にやる気になる神々、しかしそんな神々に西東は待ったをかけた。
「待って下さい、これは、力任せに行っても成功しません」
西東は大将を立てるべきだと口にしたのだ。
神々は、それに対して、天御中主神をやはり大将にと言う者が多くいたが、西東の考えは違った。
「アコを大将にします。アコは天使から天鬼になったばかりですが、閻魔天との一戦もあり、名が知られていますから」
そして、副将に西東、その後ろに神々を付けることで西東はアコの力を最大限に引き出したのだ。
そして、アコが天界、更に下界に声をあげる。
「私は今から、神々の助けを借りて! 神父様を神兵達の元から救出する。今神父様の無い天界をみよ! この状況になにもしない、武神達の言うことは聞けない、金も自由も無くなる天界を私は望まない!」
西東に言われて、簡単な宣戦布告をするアコ。
そこに味方の神々の部下達が次々に『俺もやるぞ』『私も戦う』『僕だって!』と大声をあげる。
西東は皆をわざとバラけさせ、天界の至る所に配置したのだ。
誰かが立ち上がると少なくとも誰かは付いていく。
心理である、西東の考えは辺り、給金すら、まともに払えなくなった原因が武神達にあるとわかるや否や、次々に協力者が集まりだしたのである。
その光景に天御中主神はも、驚いていたが更に皆を動かしたのは、アコの最後の一言であり、予想外の人物の協力にあった。
その一言は『西東大輝を大将として、神々の協力を得た。今立ち上がらなければ! 西東を敵に回すことになると思ってほしい!』
ーーその言葉に反応した者も多かったのが悲しかった……。
そんな言葉を更に恐ろしくしたのは……。
「妾もその祭りに加わってやろう! 西東には、妾も1度敗北を味あわされたのでな、どうせ参加するなら勝つ方にいきたいからのぉ」
閻魔天湯卯覇の登場と鶴の一声と言わんばかりの発言の内容に皆が表情を変える。
閻魔天が参戦を表明すると直ぐに、コガノエとクルノの率いる鬼兵達が次々に天界に姿を現したのだ。
「久しぶり、御兄さん。クルノだよ、逢いたかったでしょ? アコに飽きたらいつでも、僕の元にきていいんだからな」
「こら、クルノ、今は遊びに来たのではありませんよ? 仕事なんですから、確りと殺りますよ」
そう言うコガノエ、クルノは、全軍に直ぐ、武神達に向けて進軍させるのであった。
「アハハハハハハ、どうじゃ! 西東よ、妾が協力するならば! 敗北はない、まあ……このまま天界が終わっても地獄的には構わないのじゃが、御主には、借りがあるでな!」
そんな、閻魔天の行動に驚かされる天御中主神達、そして、地獄の軍隊を動かしてまで協力する閻魔天達の表情は何かを求める物で無いことはすぐに理解できた。
「ほんに、西東大輝、名前に偽りなしよのぉ、西東の大きな輝きに皆がひきよせられているようじゃ」
天御中主神はそう言い自分達の天兵を動かすのであった。




