ゲスイ西東とアコの不意打ち
神父が拘束された天界に初めての朝がやってくる。
以前と状況とは、違い神父は、前もって仕事を片付ける様な事はしていなかった。
その事実は天界を一気に驚愕させるほどの問題を山積みにしたのである。
最初に出てきた問題は、蘇生の問題であった。
殆どを一人の力で治癒していた神父が居なくなり次々に送られてくるお仕置きされた罪人に直ぐに態様できなくなっていた。
態様が追い付かなくなるとお仕置きリストの更新が止まり、蘇生出来ないのでお仕置きした扱いに成らず、リストからは名前も消えない。
お仕置き人達がそれに気付き、天界に押し寄せるも態様出来ないので門前払い状態になる。と言った事が既に起きていたのだ。
二日目に入ると更なる問題が浮上する。
この日は、給金の受渡日であり、前日までのお仕置きが給金に成る筈だったが、神父の暗号化されたデータを解析できなかった給金事務所が給金を正しく配分出来なかったのだ。
ある者は満額を、ある者は、お仕置きと違い少額、最悪のケースである受け取れない者まで現れていたのだ。
そんな、神父が拘束されたことを知らない下界で働くお仕置き人達が次々に『神父と話をさせろ』と騒ぎ出す。
そんなお仕置き人達に『神父が無実の罪で捕まったせいで天界は、終わる』と言う噂が一気に広まっていったのだ。
勿論、自然な噂ではなかった。
天御中主神派の者達が、アコに言われて流した噂であったが、給金が貰えないと言う状況下に起こった、疑心暗鬼により噂は瞬く間に広がっていったのだ。
更に噂に尾びれがつき始める『武神と神兵が神父を拘束したのは天界のお仕置き人を一掃する為だ』それは今までの小競り合いにより、与えされた印象であり、それを仄めかす様に仕向けたのは西東のアイディアであった。
風伯と鳴神が拘束された際の神兵の態度や言動から、武神側と天兵側とで温度差が有ることを感じたからこそのアイディアであり、それは的を得る形になったのである。
お仕置き人だけでなく、天兵側にも伝わる噂、それは武神に対して抱いてきた、不満を更に掻き立てる物であった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
西東の部屋で御茶を飲む、アコと西東。
「うまくいくかなぁ?」
「西東の考えたゲスイ作戦なら上手くいくわよ」
「ゲスイって、まぁ、確かにそうかもね? でも、味方は多いに限るし、天兵の動きが鈍るだけでも、作戦の成功率はあがるからね」
「西東ってさ? 案外残酷よね?」
「なんか、今日のアコの一言一言が痛いんだけど……」
「誉めてるのよ、いざとなれば誰よりも頼りに成るんだから」
そう言うとアコが西東の肩に寄っ掛かる。
「私さ、すごく幸せなんだ、だから……終わらせたくない、西東と此れからも笑ってたいの……」
「アコ……」
「それに神父様がいないと……西東を叩きった時に困るし」
そう言い可愛く笑って見せるアコ。
「え! それ本気?」
「西東が私から逃げないように足を叩き斬りたくなっても、生えてこなかったら一緒に歩る来たいときに、歩けなくなっちゃうもんね」
「アコらしいな、でも逃げたりしないよ。ずっと一緒にいよう。明日はいよいよ作戦結構だしね」
「うん、此れからも宜しくね……大輝……」
アコの不意打ちに顔を赤くする西東、そんな二人は明日の朝、神父救出作戦に参加する。
読んで下さりありがとうございます。(*^^*)




