裏切りのケルルロッテ?
ケルルロッテが駄菓子屋に姿を現してから三日ほどたった日の朝、天界から一通の封筒に入れられた手紙がアコ宛に届けられた。
差出人はケルルロッテであった。
「何かしら?もしかして、この前の事を謝る手紙かな?」
手紙を手に透かしてみたり、封筒の隙間を覗いたりと、アコは落ち着かない様子であった。
「開封しないの手紙?」
一人でバタバタと足をばたつかせ、ごろごろと転がるアコに西東が尋ねるとアコは少し不安げに西東に頷いた。
「僕もいるんだから大丈夫だよ」
「はぁ、そうね、ありがとう西東、取り合えず開けてみるわ」
封筒の中には一枚の手紙が入っており内容はアコに衝撃を与えた。
ーー
『アコへ、この手紙を読んでもし、不快に感じたら、許してください。
今、私は西東さんとアコの監視を命じられました。
そして、私はこの手紙を書きながら天界の立場と親友としての立場、両方の気持ちに整理できずにいます。
もし、叶うなら、またアコと素のままで笑って話したい、西東さんとアコと一緒にご飯を食べたり声を出して笑いたい。
アコ、私はずっと貴女のライバルであり、親友でありたい』
ーー
手紙には、涙のあとがあり、ケルルロッテの辛い思いが其処からも伝わってくるようであった。
「西東……ケルケルが、泣いてたんだ……私の為に泣いたんだ」
アコの声が震える、ケルルロッテはアコにとってもライバルであり、親友であった。
そんな二人は互いの強さも性格も知り尽くしている、それ故に涙の重さはアコが一番理解していた。
「西東、私……」
そう口にした瞬間、西東が立ち上がりリビングに向かった。
「あ、西東……」
「アコ、天界に行く前にご飯だけ食べてこう、二人で行くから食べたら急いで向かうよ」
「西東、さすがだよ、ありがとう」
アコは一人でも向かう気だったようだが、実際に一人で行っても相手にしてもらえないだろう。
ーーいざとなれば、強行突破かな?
「最近の西東はなんか……頼りになるよね」
「え、そうかな?まぁ、頼りに成らないよりいいよね」
互いのぎこちない会話に笑ってしまいそうになる西東とアコ。
「さぁ、行こう。ケルルロッテにアコの気持ちをぶつけてあげないとね」
「そうよ!一人で悩んで勝手に苦しむケルルロッテにきっちりお仕置きよ!」
西東とアコは食事を済ませるとそのまま天界へと飛ぶのであった。
ーー
それと同時刻、天界の刑務所を襲撃する者達の姿があった。
襲撃者達は天界に拘束されている罪人達を奪還するとそのまま姿を消したのだ。
その中の一人に、ケルルロッテの姿があり、刑務所からは、風伯と雷公、そして、 禍津日神と悪樓と言った日本の忘れ神の中でも一番外に出してはならない神々を解放したのである。
ーー
西東達が天界に着くと天界は騒然としていた。
直ぐに西東とアコの元に天兵が現れると神父と 真武大帝の待つ会議室に呼ばれることになったのだ。
そして、ケルルロッテの手引きにより、罪人 逃げた事、更にその罪人の中には西東と深く関のあるものが含まれている事実を告げられるのであった。
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