最高神は、絶対神
風伯、鳴神拘束から一晩が明けた朝、西東は神父が釈放されたと聞き、アコと供に天界を訪れていた。
いつもの様に神父の部屋の扉を開き中に入ると普段より疲れた様子の神父が椅子に腰掛けていた。
「やあ、西東さんにアコじゃないですか?こんな朝早くからどうしました」
まるで何事もなかったかのように喋る神父の声は普段より、テンションが低く疲れているのがよくわかる。
「僕の為にすみませんでした」
西東は自分の為に神父が怒った事実をアコから聞いていたので罪悪感にも似た感覚に苛まれながら神父に頭を下げた。
それを見たアコも西東に続いて頭を下げる。
二人の行動を見た神父は少しだけ微笑むと立ち上がった。
「今|御茶(紅茶)をいれます、少し待ってくださいね」っと神父が言うと慌ててアコが神父に代わり御茶を入れに向かった。
神父はアコが御茶を入れに行くのを見て優しく笑った。
「西東さん、アコはいい娘でしょ、とても不器用ですが真っ直ぐなんですって、もう西東さんは、御存じですよね。ははは」
「アコはスゴくいい娘です。こんな僕の為に泣いてくれて、怒ってくれて、笑ってくれるんです。こんな感情は正直、初めてです」
二人の会話は何処と無く寂しく聞こえる、神父も西東も互いに言いたいことを全て出し切れていないと互いに理解していた。
そんな空気を一掃するようにアコが御茶を入れたトレーを持ち戻ってきた。
テーブルに並べられた御茶と御茶菓子、神父の前に出されたティーカップに積まれた角砂糖のタワー、見た瞬間、西東の血糖値が一瞬跳ね上がったようにすら感じる凄まじい量であった。
西東の御茶には、その場でアコが角砂糖を一つ入れる、もう一つをソーサーに置いて西東の前に置かれた。
「はい、西東は何時も砂糖スプーン一杯だから、足りなかったら調節してね?角砂糖だと…… スプーン一杯ってわからないから……ごめんね」
そう言い渡された御茶を受け取る西東、それを見ていた神父が「結婚する際は呼んでくださいね。私が神父を勤めてあげますよ」っといきなり発言した。
「な、わ、私と西東が、け、結婚……」
顔を真っ赤にして今にも湯気が吹き出しそうなアコ、それを見て真っ赤になる西東、そんな二人を微笑ましく見る神父。
少し熱すぎるティータイムとなった。
ティータイムが終わると西東は神父に天御中主神について質問をした。
西東は天御中主神の事を風伯からしか聞いていなかったからだ、しかし神父はその質問に少し顔をしかめる。
「西東さん、天御中主神の事を知りたいとはどういう事かおしえてもらえたすか?」
神父の質問に西東は昨晩の風伯の言動を素直に話した。
すると神父は大きな溜め息を吐きテーブルに両肘をついてうつ向いた。
「天御中主神は本来ならば、天界を統べる程の力を有した神なんです」
「そんなに凄い神様なんですか?」
「ええ、ですが絶対神だからこそ欲が無いのです、その為なのか?肩書きを嫌い、表には出てこない存在なのです、ですが今回の1件で1度会いに行かねば成らないと思っていたところです」
その言葉に西東は立ち上がった。
「神父さん、僕も一緒にいけませんか!」
そう口にした西東に神父はただ一言。
「ダメです」っと静かに答えたのであった。
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