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西東の指と、アコのハサミ

西東は困惑していた。

風伯の話が正しければ、アコは神父を裏切り武神の仲間になった事になるからだ。

そんな西東に向かってアコが走り込んでくる。

そして、西東の手を掴み自分の後ろに移動させたのだ。


「西東、何で固まってんのよ、風伯!アンタは私達で捕まえるわ」


「さっきの逃がさないって話は?」

「風伯の事よ!せっかくのチャンスだったのに、西東固まってるし、まぁいいわ!風伯覚悟しなさい」


西東が困ったように立ち尽くしていると、ケルルロッテが姿を現し全てを説明してくれた。


風伯は天界の神父派を消滅させて故き日ノ本を復活させようとしたのだ、その為に余り意思を表に出さない天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を代表としたのだ。

事実最高神でありながら、天照大神達より知名度が低いその為、力をつけるまで武神達はその存在すら気づいていなかった。

神父は天御中主神がそんな大それた事はしないと考えずっと警戒していた。

そして、風伯の裏取りがとれたと同時に反逆罪で捕らえる筈だった。

そんな中に風伯から西東への接触があり、様子を見る為に全員待機となったのだ。

そして、西東の様子がおかしい事に気付いたアコが神父に「西東が風伯と接触後に様子がおかしい」っと連絡したのだ。


そして、神父から武神の党首である、真武大帝しんぶたいていに連絡がいき。

風伯邸の周りに待機していた部隊が一気に制圧を開始したのだ。


「全部バレてましたか…… なら仕方ないですね」

風伯が手を上にあげる。

「投降する」


「え ?」っとアコが驚いた顔をする。


「悪かったね、西東さん、本当に君の才能を天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)様は認められている、最後に頼れるのは天御中主神様だけだ、忘れないでくれ西東さん…… 」


そう言うと風伯、雷公供に反逆の罪で武神達の手により連れられていった。

雷公鳴神は、何が起きたか理解していなかった 。

風伯も鳴神は関係無いと訴えたが武神達は訴えを斥けて、二人を連行していったのだ。

申し訳なさそうにする風伯と其れを見つめながら後ろに繋がれる雷公。


其れを悲しそうに見つめるアコは、西東の方を静かに見つめているのであった。

そんなアコは西東に一つ質問をした。


「あの時、何で私を見て固まってたの?」

「いやぁ、今そんな質問しなくてもいいんじゃ?」

そう言うとアコは西東を睨み付けた。

更にとても小さい声で西東に聞こえるように囁いた。

「秘密が出来た…… 付き合ったばかりなのに…… 1ヶ月記念とかしたかったのに…… 秘密があるなんで…… 悲しいなぁ……」


その言葉に西東は大きいため息を吐きながらアコに全てをうち明けた。

風伯の話を聞いてアコが神父派か武神派なのかが分からなくなった事や、アコが飛び込んできた際に神父が捕まったと言われて動揺した事などを全て語った。


しかし、アコは全てある意味真実だと言った。

実際にアコは何処にも属していない、仕事がお仕置き人と言う事は、よくある事で其から神官に上がるか神兵になるかで未来も変わると笑っていた。


次に神父が捕まった話だが、西東への危険人物特定委員会の遣り方が許せないといい、怒りのままに暴れ、落ち着いてから捕まり裁判、天界の長であっても赦されないと判決がでて有罪、1日拘束と言う結果になっていたのだ。

つまり風伯は嘘はついていなかったが、真実もいっていなかったのだとわかった。

そして、西東は最後に、「なぜ固まってたの?」っと言う質問だけが答えられなかった。 一瞬アコが裏切ったのかもと思った自分が悲しくも情けなかった。


真実を言うまで一時間程かかり、真実を伝えるとアコは西東の頭をポンっと軽く叩いた。

「これから私を絶対に疑えないくらい信用させてあげるんだから」っとアコに自信満々に言われた。

西東は全てが終わったと少しだけホッとしていた。

そんな西東にアコが手を差し出した。

西東もとりあえず手をアコに差し出すとアコが西東の手を確りと掴み自身の方に引き寄せ、耳元で優しく囁いた。


「嘘つきは、指が無くなるんだって…… 私を裏切るとどうなるか教えといてあげるわ、西東……」


西東はアコがまだ怒っていると気付いたが既に遅かった…… アコが片手にハサミを取りだし、西東の指にあてる…… 西東の表情は徐々に強張った物になるがアコは其れを見て微笑んだ、そして、指に刃先が当たった瞬間であった。


「西東?私は約束を守ってほしいから、私に指を切断させるような事しないでね? 約束だからね」


そう言うとアコはハサミをしまった。


西東には、まだ確かめたいことが山積みであったがそれよりもアコを疑った自分の事を赦せなかった事は言うまでもない。

読んでいただきありがとうございます。

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