廻る運命
風伯の真っ直ぐに西東の目をみる。
「神父派は既に中にも亀裂が入り始めています。今からでも遅くない、西東さん。私達と来ませんか?」
「生憎ですが、僕の力は神父の力によるものです、その誘いにのっても力にはなれないですよ」
「西東さん、神の力を甘く見てはいけませんよ。神父がそうであるように天御中主神様は、日本における最高神です。つまりは貴方に今のまま、いえ、今以上の力を御約束しましょう」
「何故、そこまで僕にこだわるんですか? 他にもいい人材は要るでしょ?」
「西東さん、貴方は全てが偶然だと思いますか?出来すぎてるとは感じませんか?」
「どういう事ですか?」
「貴方は本来、人から神に上がる存在だった。普通に死んでさえ、いたならばその力は神として、生まれ変わる素質があったっと言っているんだ」
西東は理解に苦しんだ、風伯の言う事を整理する。
本来は死んで神仏になる者もいるが、西東の場合は時代が悪くそれは望めない、その為、西東が死んだ後に魂を時代を超えて、天御中主神が、本来は転生させる筈だった。
しかし、アコの登場が全てを狂わせたのだ。そして、風伯は更に西東を悩ませる一言を口にした。
「西東さんの魂は今、何処にあるんですかね?何度も死に戻るのは天界人なら普通ですが、肉体がその場で再生するなど聞いたことがありません」
西東は自分の魂が何処にあるかなど考えた事もなかった。
西東はアコが現れた時の事を思い出す。
ーー
ーーアコは、いきなり現れたんだ、普段不良達に金を取られていた僕は、その日それを断りにいく事を決めたんだ。
今考えたら、あの日刺されて僕は、死んでたかも知れないのか?だとすれば、僕が死ぬのを故意に止めたとも考えられるんじゃないか?
西東の頭の中でいろんな考えが溢れだしていく。
「少し、アコと話がしたいんだけど?いいですか」
「構いません、時間も遅いので、今日は泊まっていってください。ですがくれぐれも今の話は内密にお願いします」
「ありがとうございます」
西東は風伯に頭をさげる。
バルコニーから室内に入ると、直ぐに部屋に案内された。
御風呂は大浴場を使うように言われた。
アコと部屋の中に二人きり、西東はアコに勇気を出して口にした一言。
「アコ…… 初めてあった日の事覚えてる?」
その言葉にアコは、少し戸惑いながら反応する。
「覚えてるわよ…… どうしたの急に?」
「いや、少しあの日の事が気になってさ、あの日、アコは何であの場所にいたんだろうって」
…………暫しの沈黙が流れる。
「あの時か…… いったい何を言われたの?」
西東はアコの言葉に更に疑いを強める事になった。
「何も言われてないよ、アコとの出会いを聞かれて、ふと、何でアコがあの場所に居たのかなって思ってさ」
「あの日のお仕置きがアイツらだっただけよ、偶然西東がいただけよ」
「偶然か…… そうか、そうだよね」
ーーアコは何かを隠してる…… アコのあの顔はそう言う時の顔だ……
そんな時、部屋の扉が叩かれ、「湯殿の用意が出来ましたのでお入り下さい」と声をかけられた。
二人はそのまま、風呂に向かう、そんな時、アコが忘れ物をしたといい部屋に急いで走っていく。
アコは直ぐに戻ってくると二人はそのまま風呂に向かうのだった。
無言の二人。
御風呂は男と女で別々になっており、西東はそのまま、風呂に向かう。
アコは何かを言おうとしてそれをやめたように見えた。
風呂は露天風呂になっており、中はとても広く湯気が空に向かってあがっていく。
西東は静かに身体を洗いながら、心を落ちけていた。
ーーアコは、何をいいかけたんだ!くそ、ワケわかんない……
考えながら湯の中に身体をつける西東。
そんな西東の耳に確かに聞こえる大勢の足音、西東は急ぎ風呂から上がり服を着る、その時慌てて風伯が西東の元に走ってきたのだ。
「西東さん!直ぐに逃げるんだ、武人の兵が直ぐ下まで来ている」
予想外の状況であった。
更に風伯から西東に新たな事実が伝えられる。
「神父が捕らえられた…… 早く、皆が予想だにしない展開です、 天御中主神様の元に、時間は、この風伯と鳴神が引き受けます!」
「風伯さん!アコは?」
その時、露天風呂の扉が吹き飛ばされる。西東は即座に結界を作り出した。
「凄いね西東? 本当にビックリ、でも逃がす気はないわ!」
西東の前に現れたのは、笑顔のアコであった。
読んでいただきありがとうございます。
感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。
ブックマークなども宜しければお願い致します。




