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神父派?西東の知らない天界図

西東が、解放され家に帰るとアコが心配そうに玄関で待っていた。


「ずっと待ってたの?」

「ずっとじゃない、少し前からだよ」


そう答えたアコの足は靴下のままであり、西東が連れていかれた際に家の中から出てきた時の状態であった。


「アコの少しは、長いんだな、ありがとうアコ。ただいま」

そう言い西東はアコを抱きしめた。

「ちょっと、西東…… もう、取り合えず中に入ろう」

「そうだね、ごめん」


「いやあ、見てて此方が赤面しそうですねぇ」

そんな二人の後ろから突如声をかけてきた者がいた。


見た目は、14歳くらいの男の子で、時代劇に使うようなかさを被っている、見るからに下界の者ではない事は西東とアコには容易に理解できた。


「君は誰だい?」

西東は相手のペースになる前に自分のペースに相手を誘い込もうと直ぐに話しかけた。


「こいつは失礼致しました。あっしは、アナジの寒多かんたと申します、早い話が北風で御座いやす。今回は風伯様に言われまして、御二人様を屋敷にお招きにあがらせて、いただきやした」


「風伯って、風神様だよね?雷公鳴神さんの旦那さんだよね」


「ハイ、間違いありやせん。あっしは、風伯様に西東のアニキとアコの姉御をお連れするように言われやした」


詳しく話を聞くと以前、風伯の妻である鳴神が世話になったので、是非に御礼をしたいと言う事であった。


西東は、少し悩んだが寒多の余りの勢いに根負けして疲れた身体を必死に動かしアコと供に風伯の屋敷に向かう事にしたのだった。

風伯の屋敷は、とにかく巨大であった。

建物だけなら閻魔寮に比毛を取らないのではないかと感じる程であった。


正面の門には風神、雷神の銅像が建てられており、まるで浅草に居るような雰囲気の中、屋敷の中に入っていく。


「いらっしゃい西東さん、アコさん」

「御待ちしてましたわ。良かった来ないかとおもってたのよ」


明るく西東とアコを出迎えてくれたのは、風伯と鳴神の二人であった。


「すみません、この度はお招きにあがり感謝致します」

「お招き感謝致します。風伯様、鳴神様」


挨拶を済ませると四人は直ぐにゲストルームに向かい、料理が出来るまで会話を楽しんだ。

そんな楽しい会話の中、西東は天界について二人に質問することにしたのだ。


「実は、此処に来る前に天界の危険人物として、拘束されていたんです」

西東の言葉に二人が驚いた顔をした。


西東は有りのままを話続けた。

最後には、閻魔天を呼び出したと知ると二人は更に驚いていた。

そして、食事を済ませたあと、風伯が西東に二人で話があると言いバルコニーに呼び出した。


「悪いね、西東さん。中では話しづらい事なんだ」

「構いません、それでお話って?」

「西東さん、貴方は間違いなく危険人物だ」


風伯のいきなりの発言に一瞬耳を疑った。

不思議そうに風伯を見る西東に対して風伯は、今の天界が幾つかの勢力に分かれている事を告げる。


一つは、神父派の存在、天界の蘇生とお仕置きの権限を持つ天界最大勢力だ。


二つ目は、 天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)が束ねる日本の神々からなる勢力であり、天照大神アマテラスオオミカミなども属している勢力である。


三つ目は、武神の勢力。神の名を与えられた者達から成る軍隊であり、数では神父派を大きく上回る。


そして、問題はこの三勢力の力が拮抗している中に現れた西東の存在であると風伯に西東はハッキリと言われたのだ。


「西東さんが神父派だと思われている今、貴方はバランスを崩しかねないジョーカーのような存在なのです」

大袈裟おおげさですよ、それに何で僕なんかを?」

「西東さんを捕らえた、危険人物特定委員会、通称『危人定きじんてい』は、武神派の手の者です」


西東は今までの話を聞きある質問をした。

「風伯さんと鳴神さんは?」


「……」

「私達は 天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)様の元にいます」


西東はこの食事に招かれたのが単なる御礼で無いことに気づいたのであった。

読んでいただきありがとうございます。

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