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二人の共同作業はソース味?

二人の顔に当たる太陽の光、西東が目覚めるとアコも眠そうな目を必死に擦りながら目を覚ました。


「おはよう…… 西東…… その、いい朝ね」


「あ、うん。いい朝だね…… はは」


二人の間には少しぎこちない空気が流れていた。

チラチラと西東の顔を見るアコ。

その視線に気付きながらも中々目を合わせられない西東。


「あ、私はモーニングゴーラ入れてきてあげる」

そう言うと、バタバタと階段を慌てて降りるアコ。


「あ、僕が…… 」


西東は自分が『入れるよ』っといいかけたがやめることにした。


ーーせっかくアコが入れてくれるなら喜んで頂こう。


アコが慌てて戻ってくる。

手に持たれたお盆には、アコの愛用のゴーラ専用の特大グラスと西東のマグカップが乗っていた。


西東が自分のマグを取ろうとする。

するとアコが西東のマグを先に取る。


「此方は私の…… 西東は私のグラスの方を使って、間違えちゃっただけだから、勘違いしないでね」


少し照れくさそうなアコの表情がすごく愛くるしいかった。


「なら頂くね」

西東がゴーラを飲んだ瞬間……


ーーなんだろう…… ゴーラって確かに甘いけど、こんなにジャリジャリする程甘かったっけ……


「あのアコ?このゴーラ…… 」


「美味しくない?神父様はいつも誉めてくれたんだけど、「男は皆甘い生活に憧れます」って言って3杯は飲むのよ」


「はは、美味しいけど、少し僕には甘すぎるかも……」


「わかった、次からは1袋少な目にするね」


ーーん?1袋……1袋ォォォ!


「アコ…… 因みに此れは何袋なの?」


「神父様と同じ3袋よ?」


西東は自分が次は糖尿病になるのではないかと思いながら、アコの作ってくれた特製ゴーラを飲み干した。


そこから始まった糖病生活……

甘過ぎる味噌汁に小豆の混ぜご飯……既におはぎ状態のおにぎりと砂糖を使った和え物、どれも歯が無くなるかと思う程に激甘であり、西東はアコに隠れてブラック珈琲をがぶ飲みする生活サイクルに陥っていた。


ーーこの生活が始まり三日目…… 限界だ。


「西東?私の料理、やっぱり美味しくない…… ケルケルに必死に習ったんだけどやっぱりダメかな」


アコは西東がいない間に度々、ケルルロッテに頼み料理を習っていたのだ。

作り方をマスターしてから神父特製レシピと照らし合わせ作っていたと教えてくれた。


「アコ、神父さんのレシピ見せて」


「いいよ、はい…… 」


『神父様の大切な人に作ってあげてほしいメニュー』


ーー既にイヤな予感がする。


『煮物を作る際に、醤油大さじ3杯、味醂大さじ3杯、だし汁800CC、砂糖5袋。油揚げ等の食材を適当に煮込む。

カラメルが具材に絡んだら出来上がり』


一枚目を破り捨てる。


「アアァァァ、西東!神父様から貰った大切なレシピが」


二枚目。


『拉麺。難易度高め。先ずはスープ作りです。豚骨や鶏ガラ、野菜、臭み消しのハーブ等を圧力鍋に入れて一時間程煮込む一旦蓋を開けて灰汁を抜く。

そして再度煮込んでストックを完成させる。

次に市販の麺を茹でる茹ですぎ注意!麺がベチャベチャになると全てが台無しになります。

そして、ストックを丼に入れ割下にする。

最後に熱々の出汁と砂糖を二袋入れてから麺を絡ませる。

その際にスープが麺に絡み付いているかを確める。

足りない場合はもう1袋砂糖を足す』


二枚目をビリビリに破る。


「ひえぇぇぇ!西東」


残りは見ないで縦に破り捨てる。


「酷いよ…… 西東……」


「此れはアコの料理じゃない、それに僕は神父じゃない、僕はアコの料理がすごく食べたいんだ。だからこんなレシピ要らないんだ」


「何よ…… 頑張って作ったのよ、甘い過ぎるけど…… 西東が食べてくれたから我慢したのよ!私バカみたいじゃない…… 」


アコが涙を浮かべる。


「アコ、僕にもエプロン貸してよ。料理は苦手だけど良かったら野菜の切り方から教えてよ」


西東の予想外の言葉にアコが涙を拭いた。

「しょうがないわね、私の女子力を見せてあげるわ」


それから二人でキャベツを刻み、水で溶いた小麦粉に揚げ玉と紅生姜、少量の油、ネギにアコのイカを使ったお菓子等を交ぜてから、油をひいて熱したフライパンで豚肉を伸ばして焼いていく。


そして混ぜた生地を流し込む。

薄めに焼いて、気泡が浮かび上がったらフライ返しでひっくり返す。


生地が重すぎると上手くひっくり返せないので薄めにムラなく焼くのがコツだ。

裏返したら少量の油を生地の下に流し込む。

下面が面がカリカリになったら出来上がりだ。


『『アコと西東特製!なんちゃって、カリカリお好み焼き』』


「ってなんか恥ずかしいな、でもすごく楽しかったよ」


「さぁ、『ひょっと子ソース』をかけて食べましょう」


アコがソースとマヨネーズ、鰹節をかけていく。

残念ながら青のりは無かったので千切りにした青ネギをトッピングする。


「「いただきます」」


「「うまぁいィィィ」」


二人は三日ぶりに砂糖を使わない食事をするのであった。

勿論、二人のゴーラも普通のゴーラに氷を浮かべた物であった。

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