月夜の寝顔
アコ退院3週間目、アコが完全に復活していた。
街中に結界を貼る西東。
その先には久々にチェーンソーを振るうアコの姿があり、更に可愛そうな被害者が普段の三割増しにお仕置きをされている。
「アコ、あんまりやり過ぎるなよ?天界の人達も蘇生が大変になるから」
「わかったわよ!もう、久々にお仕置きしてるのにノリが悪いわね?」
そう言うとアコは、まったくと言う表情を浮かべている。
「いや、お仕置きを楽しまれても困るんだけど」
そんな西東とアコの元にその日の夜、天界から手紙が届く。
手紙を持ってきたのはケルルロッテであった。
「此方、天界からの昇格式の案内になりますわ、既に能力は天鬼ですが名目的には、まだ天使扱いなのでちゃんと参加して下さいね御二人とも宜しいわね?」
そう言うとケルルロッテは他の人にも手紙を届けると言いあっさり帰っていった。
「天鬼ってこんな事もするのか?なんか厄介だな」
「むしろ、信頼と期待の証よ。数いる天鬼の中でも昇格式の手紙を託されるのは僅かだから、次期、神官もしくは神兵のどちらかを期待されてるって証なのよ」
「へぇ?アコは因みにどっちになりたいの」
「私が目指すのは!神様つまり、神王ランクよ。そして愛ある破壊神として伝説になるのよ!」
ーーむしろ、破壊神は神王より神兵の気がするが?
「そうなんだ?アコに負けないように頑張らないとなぁ」
そう言うとアコは少し嫌そうな顔をした。
「西東…… あんまり頑張らないでよ…… あんまり頑張ったら西東まで神様になっちゃうじゃない……」
「あはは、やっぱりらしくないよね、僕が神様とかさ」
「違うわよ…… 西東が神様になって、私も神様になったら…… 一緒にいれないじゃない」
「何でさ?雷公さんと風拍さんは神様だけど夫婦だったじゃないか?」
「神が夫婦になるのは、余りよくないのよ。神様って力がありすぎるからさ、同じ場所にずっとはいれないのよ」
「つまり、天界の神は織姫と彦星って訳なんだね」
「私、最近変なんだよね、西東が拐われた時も、地獄に行っちゃった時もさ、入院して死にかけてる時も、西東の事ばっかり考えてた…… 」
アコの言葉に西東の鼓動は高鳴り早くなる。
「アコ、ううん。前切 アコさん!俺と付き合ってください!
本当は今言うべきじゃないとないと思うでも、今言わなかったらずっと言えないかも知れない。
そんなの嫌なんだ!俺は前切 アコが好きだ!ずっと一緒にいたいんだ」
その言葉にアコは動揺した。
そして、下を向いた。
「バカじゃないの…… なに本気で熱くなってるの…… しかも、俺とか、らしくないから…… 」
予想外の反応……
西東の表情はそれでも優しくアコを見つめていた。
アコの顔は泣き顔になり、ゆっくりと西東を見つめた。
「西東から言うなんて…… 生意気よ、だから付き合ってあげない…… 西東、よく聞きなさい。いいわね」
西東が頷く。
「私は西東が好きよ…… だから特別に付き合ってあげてもいいわよ!でも私を振ったり裏切ったりしたら赦さないから!赦さないんだから…… あと俺って言うのは禁止…… 西東らしくないもん」
「喜んで付き合わせて貰います。よろしくねアコ」
「よろしく、大輝…… 」
アコに名前を呼ばれた瞬間、西東は今までにない程の鼓動の高鳴りを感じた。
「今日だけ…… 今日だけだからね、明日からは、また西東なんだから……」
そう言うとアコは顔をそらした。
「アコ?もう一回だけ呼んで欲しいかも、何てね」
「だ…… 大輝…… 君…… 」
照れるアコがそう言った瞬間、西東はアコに口づけをした。
「西東の…… スケベ…… やっぱり西東はエッチよ」
「僕も自分からキスする何て今までの人生なら考えられなかったよ」
「西東…… 好き…… 」
その日、二人は初めて心と体が結ばれたのであった。
月の光が優しく照らす二人の寝顔は幸せに溢れていた。




