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発言危うし、雷公さん

朝日がカーテンから、西東の顔を照す。


アコと共に朝から病院に出掛ける用意を済ませると天界に行く前にいつものコンビニに立ち寄る。


アコは御菓子におにぎり、ゴーラと即座にカゴに入れていく。

買い物が終わり外に出るとアコが腰に手を当て買ったばかりの缶ゴーラを一気に飲み始める。

アコは朝からお日様のしたをウキウキだ。

しかし……アコのノリノリな現実は直ぐに苦しみに変わる。


「ガフッゲホっゲホ」


ーーまぁ、いきなり炭酸水一気とかしたらそうなるよなぁ。


「大丈夫?無茶しないで」


「西東、理不尽よ!なんで牛乳は一気飲みが許されるのに、ゴーラは赦されないのよ!」


「無茶言わないでよ、炭酸水なんだから仕方ないじゃないか?」


「つまり?炭酸がなければ言い訳ね」


「安易だよ、炭酸がないゴーラなんて甘いだけの液体だよ?早い話がかき氷シロップを一気したいの?」


アコの表情が悲しそうに変わる。

「西東、雨見たいに何とかしてよ」


「無理だよ、それより早く行こうか」


病院に着くと取り合えず退院手続きを済ませて、病室に移動する。


病室には昨日より遥かに顔色がいい雷公鳴神こと雷様がベットに横になっていた。

西東とアコに気づいた雷様が西東とアコに深々とベットの上から頭を下げる。


「話を聞き、申し訳ない気持ちでいっぱいに御座います。此度の御恩、幾ら感謝してもしきれませぬ、本当にありがとうございました。感謝いたします」


「あの、頭を上げてください。あと午後には退院が決まりましたので其れまでに服をどうぞ」


「あの?この御召し物はいったい?」

西東が紙袋から取り出した服を見た雷様がそう訪ねると西東が優しく微笑む。


「すみません、少しデザインが古いですよね。僕の母の使ってた物なので」


「そんな大切な物を、御借りして宜しいのですか?」


西東が頷き、部屋の外に出る。

アコが着替えを手伝うと言うのでアコに全てを任せた。


一人部屋の外で西東は今は亡き母の事を少しだけ思い出していた。


「入っていいわよ!」


アコがそう言い西東を中に呼び入れた。


西東の前には水色のワンピースをきて優しく微笑む雷様の姿が見えた。


「サイズは大丈夫そうですね。よかった」


「なによ!ニヤニヤして、此だから西東のエッチ!スケベ!根性なしの意気地無し!」


「いやいや、違うから!それに最後の何?」


そんな二人の会話を聞いてた雷様が楽しそうに笑った。


「仲が宜しいのですね。まるで兄妹きょうだい見たい、むしろ恋人さんなのかしら?」


「いや、アハハ、自己紹介がまだでしたね。僕は西東と言います。此方が前切 アコ」


「よろしくです。雷公鳴神様」


「私は、雷公鳴神、雷と稲妻の天候神です」


自己紹介が始まったとき、バタバタと廊下を走る音が鳴り響く。

勢いよく開けられた扉の先には男が額に汗をかき、息を切らしてそこにたっていた。


ーーこの男こそ、雷様の相方として有名な風神様だ。


「ごめんよ!雷ちゃん、出張で直ぐに帰れなくて、家にも天候管理事務所にも居ないし、入院したって聞いてから直ぐに来たんだ!」


「アナタ?落ち着いて、人前ですよ。それより此方の西東様に助けていただいたの」


「それはそれは、ありがとうございます。雷公鳴神の夫の風神こと、風伯ふうはく 級長津彦命しなつひこのみことと申します。風伯とお呼び下さい」


風伯さんに後の事を任せる事になり、何故こんな事になったのかを雷公に聞いて驚いた。


閉じ込められた日、雷公は雨降らし達に「少し寝るわ、何かあったら起こしてね」といいながら所長室で寝始めた。


そして眼が覚めると扉が開かなくなっていたのだ。


「あの?雷で脱出すればよかったんじゃ?」


西東の言葉にため息を吐く雷公。


「雷を使えば建物も書類も吹き飛ぶわ、それに雨降らしと雨坊主も焼肉とハンバーグになっちゃうし?」


意外にデンジャラスな例えに少し驚いたがどうやら心配ないらしい。


退院して外に出ると雷公がアコと西東にニッコリ笑いかけた。


「子供は、一姫二太郎がいいやね?きっと素敵なお父さんとお母さんになるわよ。アコちゃん頑張ってね。何かあればいつでもきてね」


気まずそうに風伯が雷公を車に乗せる、深々と頭を下げると二人は帰っていった。


そして残された西東とアコ。


ーーアコと雷公さんが二人きりの時に何を話したかは、わからないが触らぬ神に祟りなしだな。


「西東……さっきの聞いてたら?」


「まぁ」


「その、あり得ないわよね。私と西東よ?」


アコが誤魔化そうとしているのがわかったので直ぐに西東もそれにのる。


「そうだよね、僕とアコがないない。アハハ、全く何を考えたのかな雷公さん」


「……そう……私とは無いのね……!」


アコに久々に出る殺気。


西東は一瞬構えたがアコは小さな声で西東に「しゃがんで、目を瞑って……はやく」


西東はドキドキしながらその場でしゃがみ目を瞑った。

そして西東の前にアコが移動してくる。

眼鏡を優しくとるアコ。


「まだ目を瞑ってて、いいわね」


そして「開けていいわよ」優しい声でそう言われ目を開けた西東。

そんな西東の前にニコニコと笑うアコ。


「行くわよ?目潰し」


「え?ギャアァァァァァァ」


「西東、次にあんな酷いこと言ったら、舌を引っこ抜いてやるからね!覚えときなさい 」


そしてアコが車椅子を病院から無理なり借りてくるとアコが西東を車椅子に乗せて眼には、タオルを巻く。


「西東は私が居ないと何にも出来ないんだから、口答えは無しよ。さあ帰るわよ」


ーーアコの顔は見えないが分かることがある。普通は口答えで目を潰さないし、僕は既に天鬼だから痛覚を遮断したが普通はやらない!


口に出さなかったのは今しゃべると本当に舌まで抜かれそうだったからだ。


人生初の車椅子は人災?天災?どちらにしてもアコによる怪我でした。

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