病室は大騒ぎ?
西東の日々が豹変し毎日をアコの御見舞いとお仕置きに費やすようになった。
そんな中、アコの手術を知りケルルロッテも度々アコの元を訪れている事をよつ葉さんから西東は教えられる。
「ケルルロッテが来てくれてるのは聞いてましたが、そんなに頻繁に来てくれてたんですね」
「ええ、西東さんと違って朝方に良くいらっしゃいます。お陰でウチのオノ君が早番ばかり希望して困っちゃうくらいですよ。うふふ」
「なんか、すみません?朝から晩まで御迷惑をお掛けしてしまい」
「いえいえ、寧ろオノ君がケルルロッテさんをデートに誘ってたので、不謹慎と叱っておきました!安心してください」
やり遂げた顔を見せる よつ葉さん 。
「西東ーー!私をほっといて、浮気だよ」
「今いくよ。少しまってアコ、其れよりアコの熱はどうですか?」
「本人は元気なのが救いですが、やはり術後の熱は余りよろしく無いですね、あ、悪いって意味じゃないですよ」
アコは昨晩高熱を出した、朝には下がり始めたが、やはり手術のせいもあり、体力はかなり落ちている事を懸念された。
「西東さん?今日もお仕事にいかれるんですか、最近ずっと働き通しに見えますが?御自身の御体にも気を使ってあげて下さいね。アコさんには西東さんが必要なんですからね」
よつ葉さんに釘を刺されつつ、アコの元に行く。
「せっかく朝から来てくれたのに酷いわよ、西東」
ベットに横に成りながらアコが西東に、はにかんで見せる。
「ごめんね。でも、今日はアコとずっと居るつもりだから」
「お仕置きはいいの、私のせいで大変なんでしょ?無理に私の側に居なくてもいいんだよ」
アコが少し悲しそうにそう口にする。
西東に迷惑を掛けたくないとアコが必死に強がっているのは西東じゃなくても直ぐに気付く事だろう。
西東の返答をそわそわと待っているアコ。
そんな姿が愛くるしくて顔を赤くしてしまう西東。
そんな二人の元に病室の扉が開く音が耳に入る。
「アコ!来てあげましたわよ。あら、西東さん御早う御座います。お邪魔だったかしら?」
ケルルロッテの言葉に二人が首を同時に振る。
それを見て笑いを堪えるケルルロッテ。
「さっき下で、オノさんからアコが熱を出したと聞いて驚きましたが大丈夫そうで何よりです」
アコはケルルロッテの言葉に嬉しそうに「ありがとうケルケル、やっぱりケルケルは私の親友ね」と言うとケルルロッテが少し恥ずかしそうに下を向く。
「失礼します」そう言い扉が開かれる。
クーウェンさんと一緒に鬼退治に参加した三名がアコの御見舞いに来たのだ。
「お久し振りです。御加減は大丈夫ですか?」そう聞くクーウェンにアコが「大丈夫よ、少し熱が出ただけよ」と答える。
皆がアコの廻りに集まり楽しそうに会話を始める。
しかし、次の瞬間室内に緊張が走る。
病室の扉を開き現れたのは、コガノエとクルノ、そして閻魔天 湯卯覇の三名であった。
「失礼いたします。アコさん、閻魔様がどうしても一緒に行くと聞かなかったもので…… 此れは皆様、御揃いで……」
コガノエが1度出直そうと考えた瞬間後ろから閻魔天が前に飛び出した。
「アコよ!見舞いに来たぞよ。無事で何よりじゃ」
「チビ閻魔、来てくれたの?嬉しいけど、あんたが原因なのよ」
「それは御互い様じゃ!妾も長い人生で心臓部に傷を刻まれたのは初めてじゃったしのぉ、西東のアコを思う気持ちには感服した」
アコは西東が閻魔天と戦った事を知らされていなかった。
更に閻魔天から試験二日目の事実を聞いたクーウェンと共に来た三人の内の二人が大声をあげる。
「西東さんのせいだったのですか!」
「赦せん!いくら何でも赦せん!」
サザナミ=ソウヤとカラマ=クレメリオが怒りを露にする。
「やめてください!病室ですよ!」と止めるヒサギ。
アコは其れを見て笑っていた。
「西東、責任とって相手してあげたら?」
アコの言葉にその場に居た全員が顔を見合わせる。
「面白いのぉ!中庭からならアコの病室からみえるしのぉ?やってはどうだ西東よ、審判は妾がしてやる」
「いやいや、やりませんよ」
「そちらも西東を倒せたら!神父に頼んで昇格させてやるぞぇ。どうじゃ?」
その言葉に二人が乗り気になる。
そしてヒサギも手をあげる。
実を言えばヒサギも二日目の試験の脱落者であった。
西東は已む無く中庭で三人と戦うことになったのだ。




