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ルールは……守ってるけど……

「西東さん?おーい西東さんってば」


真っ暗な室内、明らかに自分の部屋でないことは明白だ。


更に上には大きな穴、そこから手を振る神父が見えた。


「御早う御座います。西東さんお久し振りです、元気にしてましたか?」


「ええ、とりあえず、其れより此れは何ですかーー!」


「此れは試験ですよーー!」


「試験って半年くらいに1回でしょーー!最近やったじゃないですか!」


「あれは…… まぁ!ラッキーだと思って受けてください」


いい加減だな……まぁいいか。


「わかりました、其れで何をすればいいんですか?」


西東がそう神父に聞くと西東の後ろから足音が聞こえてくる。

“カツッカツッ”と新品の靴の音が鳴り此方に向かってくる。


其処には猫男が立っていた。

紫の毛が印象的、まるで猫の妖精の様に見える。


「やあ、今回の試験官のダンバルです。今回は西東さんの為に特別な試験を用意しました」


そう言うと暗い室内に光が灯り始める。

何処までも続く光の列に圧倒される西東を更に驚かせたのは照らし出された空間。


西東が下を見ると空間を埋め尽くさんと張り巡らされた複雑に要り組む迷路があった。

迷路の所々に四角い建物があり扉に閉ざされ上からは確認出来ない。

そして、迷路の先に一本のフラグがあるのが見える。


「広い迷路?」


西東の言葉にダンバルが指を左右に動かす。

「チッチッチッ!迷路ではなくダンジョン!此れから採用する予定の新しい試験の試作品みたいなものだよ!凄いでしょ?僕が作ったんだ!」


子供が新しい玩具を自慢するように楽しそうに話している。

ダンジョンのステージや内容を先に説明してくれた。

西東のように回数制限のある結界を使う天界人に対しての配慮である。


試験を受ける天界人のランクによってゴールが決められ、その位置にフラグが設置される。

ステージの最後に『キューブ』と呼ばれる四角い建物があり中に試験用の獣が入れられている。


ステージは全部で5ステージあり進むにつれて難易度が上がる。

結界をどれだけ温存しながらゴールであるフラグを取るかと言う試験である。


「さあ!西東さん早く試験の第一号になってください!しかも西東さんの試験結果が次回の試験の基本になるので頑張って下さい」


ダンバルの胡散臭いような、悪戯な笑みを作りながら西東を見つめている。


「1つ質問があるんだけど?」


「何ですか?西東さん攻略法は言えませんよ?」


「あ、いえ、ルール的にクリア方法は何でもありですか?」


「ええ、構いません?ただ、少し僕のダンジョンを侮りすぎじゃないですか、少し遺憾いかんです」


「あはは、すみません、ではフラグを取れば終わりですね?」


「はい!フラグがとられた時点で試験クリアです。ですが初の試験なのでフラグはラストのキューブの先にあります、まずクリアは無理ですよ」


西東が試験を開始する為に下に降りる。


壁の高さは五メートル程あり、天界人の強化された筋力をもってしても簡単には登れない。


西東が高さを確めると直ぐに結界を発動する。


「西東さん?結界の無駄遣いは感心できませんね?試験なんですよ」


「大丈夫です。其れより本当にフラグを取るだけでいいんですね?」


「心配性ですね?そうですよ!他にはとくにルールはありません!ギブアップは認めてあげますよ」


確認が終わり西東が再度ジャンプする。

すると壁の丁度、中間地点で西東が結界の上に立っていた。


「えぇぇぇ!そんな方法知らないよ!」


ダンバルが叫ぶのを無視して西東はそのまま壁の上に立つと壁の上を一気に走り出す。

キューブの上を飛び越える際に再度結界を使い更に進んで行く。


「神父様!あんなのあり、ズルいよ!キューブの中に入ってないし!」


「うーん?でも、フラグを取ればいいとダンバルも言ってたし?仕方ないかな」


そんな神父とダンバルの会話を他所に西東は次々とキューブを越えていく。


そして、フラグをアッサリと手に取った。


「あぁぁぁぁぁ!」

『フラグロスト。試験終了デス』


西東は無事に天使のじょうにあがり、試験は終了した。

この試験結果はインプットされ、全てのキューブとステージクリアが最低条件に追加されたのだった。


「西東さん…… やってくれましたね、今回から導入で次の試験まで使われるんですよ!」


「あはは、すみません。ダンバルさん」


ダンバルは青ざめた顔をして帰って行ったのであった。

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