切り斬りマイライフ2
上手いこと毎日投稿できてます。(о´∀`о)
本作はスプラッタ系ラブコメになっております。
神父は西東とアコを自室に案内した。
神父の部屋は甘ったるいお菓子の香りと、イケメンのオタクを思わせるアニメグッズやフィギアが棚に綺麗に陳列されていた。
「さあ座って、西東さん、今、珈琲を入れますから。それから本題に入りましょう」
「あ、神父様、私が入れますよ!西東の分も入れてあげるね。待ってて」
アコはそう言うと珈琲を作りに走っていく。
へぇ、アコも普通に女の子らしい所もあるんだな?
「西東さん?アコはいい娘でしょ?少しやり過ぎな所もありますが、アコはいつも真っ直ぐなんです。なので嫌わないであげて下さい」
神父はそう言うと優しく微笑んで見せた。
「確かに、かなりやり過ぎな所もありますが、会ったばかりですから、じっくりアコさんを知っていこうと思います」
そう西東が言うと神父は西東の手を握り感謝を表した。
「西東さん、本当にいい人なんだね。嬉しいよ!今まで2回もバラバラにされてこんなに、前向きな返答をしてくれたのは西東さんが始めてだよ」
神父の言葉に西東が待ったをかけた!
「あの!今なんて言いました。他にも僕みたいな、被害者が居たんですか!」
その質問に神父は真っ直ぐに西東を見つめた。
「安心してください!西東さんがパートナーになった時点で、次の被害者は自動的に事故扱いで復活しますから大丈夫です」
「それって!どういう事ですか」
西東が大声をあげると神父は訳を話し出した。
天界のお仕置き人は職務遂行時に誤って一般人を巻き込んでしまう場合がある。
その際に張本人とパートナーの血液を使い復活の手続きを行うのだ。
そして、報告する際に張本人とパートナー両方から話を聞く必要がある。
一般人を巻き込んだ際の状況や、悪意があったのか等、様々な必要事項をパートナーが答えなければならない事もあるそうだ。
「ついでなので、此のまま、天界の仕組みと流れもお教えします」
神父は淡々と天界の仕組みを教えてくれた。
元々、天界は人間を正しい方向に導く事を目的としているらしい。
しかし、人間達の暴挙は天界でも目に余ると判断され、数十年前から“お仕置き人”制度を導入したのだ。
ーーお仕置き人。
お仕置き人とは、言わば神の意思により悪人と判断された者に7回の死と地獄を与えると同時に、天界が8回の蘇生を行う。
お仕置きリストに記入されたものは、死を経験して復活を繰り返す。
地獄に送られた者は、際の記憶や痛みは残らないが、悪事に対する無意識の抵抗感が芽生える。
それでも、悪事に手を染めていく場合は、寿命が削られ、死期はが早まる。
死神と間違われやすいが、お仕置き人は死神とは、違い命を刈り取る事を目的にしていない。
あくまでも天使としての職務を目的に動く、天の使いなのだ。
ーー転生。
命を自ら絶った者は、地獄に転生される。
生涯を全うした者は、天国に転生される。
事故や理不尽な理由、人助け等により命を落とした者は、異世界に転生されるか天国に転生されるかを選ぶ権利を与えられる。
罪を重て死んだ者は、地獄の最下層に転生を強行される。
ーー神父。
全ての天界人の長であり、全ての人間の悪事を書きとめたリストを最終的な確認して、最終決定の“判”を押す存在。
その職務を行う天界人達の監視役も職務に含まれている。
ーー
神父から説明を聞いていると、アコが珈琲を入れて戻ってきた。
「随分、時間が掛かりましたね?アコ」
アコは神父の言葉に頭を下げた。
「実は、活きが良すぎて、中々砕けなくて!でも頑張って珈琲にしきました」
アコが神父に手渡した珈琲は、多分、珈琲ではない。
そして、西東の前に出された其れは、カップから断末魔を叫んでいた。
「アコさん…… 珈琲が叫んでるんですが?」
西東の言葉に神父も頷く。
アコは腕を組み自信満々に答えた。
「普通の珈琲を神父様と、新しいパートナーの西東に出すわけにはいかないでしょ」
二人の苦笑いをよそにアコは喋り続けた。
「だから、地獄の友達に貰った、地獄の珈琲豆を砕いて入れたの、少し刺激が足りなかったから、冷凍マンドラゴラも入れてみたの、見た目はあれだけど、美味しく飲んで欲しくて…… お節介だたかな」
少し悲しそうにそう語るアコ。
「いただきますよ、アコさん…… 」
西東は勇気を出してカップに手を伸ばした。
カップから「命を大切にしろ!若いんだはやまるなぁ」等と声がする。
しかし、嬉しそうに見つめるアコを前に西東は覚悟を決めた。
「いただきます!」
飲んで見ると、とても美味しく深みのある珈琲だった。
それと同時に、西東の魂が体から抜けた。
「え!西東!どうしたの西東ーー!」
慌てるアコと僕の勇気を称える神父の姿が見えた。
僕は今日、珈琲を飲んだだけで死んでしまいました。
はぁ、多分、アコさんの料理には期待できない。
色んな意味でスプラッタ♪ヽ(´▽`)/