表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/89

アコはお仕置き人をやめる?

「西東、私ね……天界の仕事を止めようと思うの」


いきなりだな?なんかあったのか。

「どうしたんだ、いきなり?」


「私、才能ないもん…… いつも西東の御給金から私がやり過ぎた分削られるし……迷惑しか掛けてないもん」


実は昨日が僕とアコの給料日だったのだか、お仕置きをしていなかった事とアコの暴走による僕への殺戮が重なり、アコの給料はゼロ円。

僕は削られても問題ない額なのだが、アコは凄く気にしていた。


そして今、アコがまさかの転職発言をしている。


「因みに?アコ次に働くとしたら何処で働く気?」


「みて西東、新しくオープンするファミレスがあるの、学歴不問で初心者大歓迎って書いてあるし試して見ようと思って」


「わかったよ、でも無理はしないでね?」


「いいの?」


「やってみたいならやってみるしかないじゃないか、アコに合う仕事だといいね」


アコは直ぐに電話をかけ面接日が決まる。

面接は明日に決まりアコに頼まれて面接に着ていく服を選ぶ。


アコは凄く楽しそうに服を合わしては西東に感想を求めていた。

面接に着ていく服が決まる。


「西東?変じゃないかな?」

「大丈夫だよ。むしろファミレスの面接だから明るく元気な印象が一番だと思うし」

アコは西東の言葉に笑みを浮かべつつ早々と眠りについた。


次の日は、生憎の雨であったがアコは西東が選んだシンプルなスカートと落ち着いた服装に身を包み、面接に向かう。


面接場所のビルまで西東がアコを送り外でアコの面接が終わるのを待つことになった。


アコの面接が始まる。

面接官はいかにもと言いたくなるくらいきっちりとスーツで身を包んだ年配の男性だった。

「まず、前切 アコさん、他に仕事をした事はありますか?アルバイトとかの経験があれば教えてください」


「アルバイトとかは、ないですが天界でお仕置き人をしてました」


面接官が首を傾げる。


「それはどんな仕事なのかな?」


「簡単に言えば、悪党を倒して天界に送り真人間になるように導く仕事です」


「君ねぇ?不謹慎じゃないか、面接する気無いなら帰ってくれ、時間の無駄だから!君は不合格だ、面接は終了だ!帰りなさい」


そう言い立ち上がる面接官。


「まって!私は本当に面接に」

「クドイ!面接に冗談や嘘は要らないが一番要らないのは妄想だ!君みたいな子いるから迷惑してるんだ!私がどれ程苦労するかわかるか?」


「嘘なんか言ってない!妄想なんかじゃない!私は本当に」


「もういいから!離せ、そんなチャラチャラしたスカートで面接に来るくらいの常識しかない奴は要らん」

そう言うとアコの手を振り払い面接官は退室していった。


「嘘は……ついてない……チャラチャラなんかしてないじゃない……西東……」


アコが扉を開けて外に出てくる。

直ぐに傘をささないアコを見て西東が駆け寄る。

上を向きまるで雨を自ら浴びるように立っているアコ。

服は雨で一瞬でずぶ濡れになり、朝の明るい雰囲気はアコにはなかった。


「駄目……だったのか?」

西東が少し申し訳なさそうに小声でアコに喋りかける。


「……だって、言われた」

激しい雨にアコの声がよく聞き取れない。

「私は嘘つきなんだって……チャラチャラしてるんだって……迷惑なんだってさ」


そう言うとアコはびしょ濡れの頭を西東の胸にあてた。

西東の胸には、雨以外にも水滴が溢れ出した。


西東はアコの頭を撫でると傘を手渡した。


「少し待ってて、直ぐに戻るから」


西東はそう言うと扉を開けて中に入り面接官を捜した。

幸いにも中には面接官しかいないとビルの受付のお姉さんが教えてくれた。


面接官は休憩室の中で煙草を吸っていた。

西東が中に入りアコの事を聞く。


「たく、最近のガキは面接に落とされたら彼氏登場か?本当にふざけた時代だよ」

そう言うと男は再度、煙草に火を付ける。


「嘘つきと言ったんですか、チャラチャラしてると言ったんですか!」


西東は普段見せないような怖い顔で面接官の男に問いただす。


「何が悪人退治だ!スカート何かで面接にきて妄想話をするような女にそんな女の為に走り込んでくる彼氏まったく、迷惑極まらない」


西東は片手の指を動かし面接官の男の回りに結界を作る。

そして男が煙草の火をつけて煙を吐き出した瞬間に前側にも結界を貼る。


目に見えない結界の中で煙草を吸い続け煙を吐き出す男の頭上には火災報知器があり、煙は結界の中から出られず徐々に天井に上がっていく。


そして火災報知器が作動する。


ジリリリリリリリリリ!


慌てる男の頭上からスプリンクラーの水が勢いよく流れ出る。

結界の中に部屋の火を消すために貯えられた大量の水があっという間にたまり男の鼻ギリギリまで水位が上がる。


外が騒がしくなり、下を見ると消防車が2台程来ているのが確認できた。


部屋の扉から出た西東は自分にも結界を貼る。

見えなくなった西東の横を消防隊員が走ってくのを確認すると男の結界を解除した。

男は「溺れるぅぅぅ」とじたばたと床で足を動かしている所を消防隊員に発見された。


西東はアコの隣に行くと結界を解除した。

「アコ、どっかでご飯にしようか?お腹すいた」

「西東、この騒ぎ、西東がやったの?」


「内緒、でも否定しないよ」


そのあと二人はファミレスで御飯を食べた勿論、面接したのとは、違う系列のファミレスだ。


因みにこの事が問題になって借りるはずだった店舗のオーナーさんは、近隣からもう反対を受けてファミレスの計画は白紙になった。

代わりにその場所にはリサイクルショップが入りアコのお気に入りになっている。

アコもお仕置き人を続ける事になり全てが丸くおさまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ