散鬼の思い
遊園地の敷地内はまるで迷路のようになっており、アコとケルルロッテ、そしてクーウェンとサザナミ、カラマに別れて左右から中を調べることにした。
アコとケルルロッテの前に再度、散鬼のクルノが現れる。
「やあ、お仲間、残念だったね。諦めて天界に帰ったらどう?」
「黙れ!西東は何処だ!早く西東を返せ」
アコの言葉にクルノが遊園地のベンチを指差した。
其処には西東が寝かされていた。
「御兄さんなら、今は寝てるよ?さっきまで僕と遊んでたから疲れたのかな?」
「それ以上、西東の事を語るな!」
「はいはい、まぁ君達を天界に送ってから、またゆっくりと遊ぶんだけどね!天界に行かなくても復活する天界人なんて面白すぎるし!」
そう言うとクルノは西東の方に移動した。
そして、西東の心臓に何かを突っ込んだ。
「はい!完成、今から御兄さんは、僕の物になりました!」
そう言うと西東が急に起き上がり、アコ達の方に歩み寄る。
アコは西東が目覚めた事を喜んだが、ケルルロッテはそうではなかった。
直ぐに薙刀を構えると、西東とクルノの両方の動きに警戒している。
「流石だね?能天気な天使と違ってちゃんと状況を理解してるんだね」
「悪趣味ですわね、西東様を生き人形にしましたわね!」
ケルルロッテは、クルノが
西東の心臓に何を入れたのかを考えていた。
そして、クルノの言葉や行動から推測を幾つかたてた。
その中で一番最悪な物が生き人形である。
散鬼の血液を西東に送り込む事で西東の血液をクルノの血液で汚染していった。
本来なら致死量の血を抜こうが拒否反応が有ろうが西東は勝手に復活する。
クルノは其れを知り西東の血液を完全に塗り替えていった。
今の西東は、クルノの思いのままに動く操り人形であった。
「さぁ、御兄さん、取りあえず!あの赤髪から殺して、好きな人に殺されるなら本望でしょ!アハハ」
そう言うと西東は走り出しアコの周りに結界を壁の様に作る。
アコの癖を知り尽くした西東は、アコがどちらに避けるかを推測し確実にアコを追い込んでいく。
「西東…… 嘘つき、でもいいよ、いっぱい今まで殺してきちゃったもんね。私の事を殺したいなら殺しなさい」
その言葉に西東の足が一瞬止まった。
其れを見たクルノは、呆れた顔を浮かべた。
「はぁ、詰まんない!もういいや、二人とも死んじゃいなよ!」
クルノはそう言うと西東とアコに斬りかかろうと距離を縮める。
そしてクルノが二人まとめて切り裂こうとした瞬間、西東がアコを突き飛ばした。
西東一人がクルノの一撃を食らい吹き飛ばされる。
それと同時にアコがクルノに斬りかかる。
クルノが攻撃を避けようとした瞬間に足が動かないことに気が付いた。
西東の結界がクルノの片足に貼られ身動きが取れなくなっていたのだ。
「クソ、何で!」
次の瞬間、クルノの目の前にアコ必殺のチェーンソーが炸裂した!
「ギャアァァァ」
クルノが何とか結界を壊そうとするが既にクルノに其ほどの体力は残っていなかった。
アコの一撃は、クルノの体を深くえぐり、クルノ自身今意識を保つのが精一杯であった。
「お前ら、絶対に許さないからな!」
「まだそんな口が聞けるのね!2度と喋れないように口を開きっぱにしてあげるわ!」
アコが再度チェーンソーを構える。
しかし、クルノはある者を待っていたのだ。
其れはショクの存在である。
「まてよ、御兄さんがどうなってもいいの?僕を倒しても御兄さんは、助からないよ」
その言葉にアコが一瞬止まった。
「なら…… アンタを切り刻んで!口を割るまで再生させて!再度切り刻むまでよ!」
其れを聞いた瞬間、クルノの額から汗が流れ落ちる。
自分と同じタイプの存在だと本能で理解したからだ。
そんな時、クルノがショクの気配を感じ取った!
そしてショクが徐々にアコ達の元に近づいていく。
しかし其れを通り越して西東の方に向かっていったのだ。
「く、やめろ!ショクその人に手を出すな!」
「イタダキマス!」
クルノがダメだと思った瞬間、ショクが四角い結界に包まれ身動きが取れなくなっていた。
「流石に、食べられるのは御免だ」
西東がボロボロの状態で立ち上がった。
そして西東は、ゆっくりとクルノの方に近づいていく。
「散鬼、ずっと僕を守ってくれてありがとうな」
アコを含め皆が驚いた顔をする。
「どういう事ですの!西東様」
西東が拐われた日、クルノ以外にショクも居たのだ。
ショクは西東の匂いを気に入り、西東を食べようとずっと狙っていたのだ。
しかし、其れをクルノが自分の物だといい、コガノエやショクの目を欺くためにあえて西東を殺し続けたのだ。
そうでなければ、ショクの餌食になっていただろう。
「御兄さん、喋りすぎだよ…… 男は無口な方が格好いいのにさ」
実際、散鬼のクルノは自分が倒した相手を皆、天界に送っていた。
初めから天界人を消滅させる気など無かったのだ。




