西東が殺された……
皆様、 絶賛夏風邪パラダイスな作者です。
真夜中に変な胸騒ぎがして西東は目を覚ました。
窓を開け、街の方角を見ると天界へと光が延びていく。
「あれは、お仕置き成功の光柱じゃないか?」
西東は慌ててお仕置きリストを確認するが名前は減っていない。
急ぎ西東はアコを起こしにクローゼットを開く。
そして、爆睡のアコを起こすと直ぐに無差別攻撃を交わし更にアコの一撃を防ぎつつ、アコの石頭にお玉で一撃を加える。
「いったいぁぁぁい!」
アコを起こす今一番のやり方だ。
「西東は鬼か!私が気分よく寝てるのに無理矢理 襲い掛かるなんて!鬼畜め!」
「いきなり斬りかかる!アコには言われたくないよ!それより光柱が一気に四本も天界に飛んでいったんだ」
それを聞いたアコは直ぐに起き上がった。
「それを早く言いなさいよ!西東、直ぐに向かうわよ!」
部屋から走り出そうとするアコを西東が全力で止める。
「なにするのよ!西東」
西東が眼をそらしながら、小声でアコに言う
「流石にその格好で外はまずいから…… 着替えて」
アコは冷静に自分の今の姿を確認する。
パジャマ下半身よし!パジャマ上半身…… ボタン全開、他にも見えちゃいけない物がオープンに!
「西東…… やっぱり、そう言う事だったのね!このケダモノがァァァ!」
「ギャアァァァ」
最高に切れのいい一撃が西東に炸裂し、西東が復活後に光柱の上がった付近に向かう。
「流石に何もないわね?西東、そっちはどう?」
「此方も駄目、何もないや」
アコと西東が必死に手掛かりが無いか探していると聞き覚えのある声が西東とアコの名を呼んだ。
「西東様?それにアコじゃない、何故こんな所に御二人がいらっしゃるのです」
ケルルロッテは驚いていた。
しかし、驚いたのは御互い様である。
真夜中の街に光柱が現れたのを天界が察知した。
誰がお仕置きしたか分からず、一旦は粉々にされた残骸を復活させる為に天界は必死に作業に追われていた。
次の犠牲者が出る前にお仕置き人を特定するようにと、ケルルロッテが天界から派遣されたのだ。
日本に要るお仕置き人の数は23人パートナーを入れれば46人、二県に一人は、お仕置き人が要る計算になる。
そのうち、確認がとれないお仕置き人が4人、皆パートナー持ちだ。
しかも4人のパートナーを含む8人は、皆、西東とアコと同じエリアであり、ケルルロッテは二人に家で待機するように言った。
「西東様、御自宅まで、護衛出来ずに申し訳ありませんわ、無事に帰れるよう祈っています」
そう言うとケルルロッテは直ぐに走り去っていった。
仕方なく帰ろうとした時、アコの動きが止まり、チェーンソーを直ぐに構えた。
西東も直ぐにアコの目線の先を確認する。
街中に立つ神社の鳥居の上に座る黒い人影、頭には角が2本。
細身の体に似合わない大きな金棒を片手に握りながら月を見ながら酒の入っているであろう、瓢箪を口元に運び、喉を潤しているようであった。
「今宵は月が格別に綺麗だ!そうは思わないかい?お仕置き人さん」
次の瞬間、アコが先に動いたように見えた。
実際は鳥居からアコに向かい黒い人影が突撃してきたのだ。
「やるねえ?他の連中は一撃で粉砕できたのになぁ!」
“ ガギンッ ” と何度もぶつかる金属音、西東はその火花が散るのを眼で追うだけで必死であった。
しかし、次の瞬間、西東の脇腹にチクリと何かが刺さり其れは次第に激痛に変わっていく。
「ぐぁッ」
西東が自身の脇腹に眼を向けると細い腕に握られた小刀が突き立てられ、ゆっくりと脇腹をなぞるように動かされていく。
「ギャアァァァ!ハァハァ……ぐぁ……」
「アハハ、天界人だか、なんだか知らないけどさ?弱いのが弱いのを狩るとか意味わかんないんだよね?」
西東は激痛の中、質問をした。
「ハァハァ……お前は誰だ」
喋る度に西東の脇腹からは出血し、既に西東の意識を限界にきていた。
「私は、散鬼だ。お仕置き人にお仕置きしてやろうと思ってな!」
名前を聞いた西東は、自身の周りに結界を一斉に発動した。
其れを慌て避けようとした散鬼の手を確りと握る西東。
「多分、痛いから覚悟してね!散鬼」
次の瞬間、結界の多重爆発が発動する。
次から次に結界を掛けた西東の意識が無くなると同時に制御出来なくなった結界が爆発していった。
アコが西東を慌てて集めた。
しかし、散鬼の遺体はおろか、光柱すらも上がらなかったのだ。
異変に気づきケルルロッテがアコの元に駆け付けると、バラバラになった西東を集めながら涙を浮かべていた。
「西東が、私以外に殺されたの…… 西東って私しか殺せないって思ってたのに、お腹斬られて血がいっぱい出でてて…… 私、西東を助けられなかったの…… 悔しいよ、西東が殺されたのが悔しいよ……」
アコは、西東が復活するまでその場を離れなかった。
そして、完全に復活した西東の肉体をケルルロッテとアコが自宅まで運んだ。
西東は次の日の夕方まで眼を覚まさなかった。
そして、眼を覚ました西東は隣で泣きつかれて眠るアコを見て一言「心配かけてごめんアコ」と言うと頭を撫でたのであった。




