~序章~ 出逢った運命に感謝できない……
書いてしまいました!
純粋スプラッタ系ラブコメ!
街中をキャリーバックを片手に走り抜けていく女、其れを後ろから追う複数の男達、しかし、彼女は笑っていた。
「今日も人助けが出来た。私は神父様の言葉を信じて良かった」
そう言いながら、笑って走る。
彼女は、前切アコ。
年齢、16歳。
身長、152センチ。
体重、測らない主義。
スリーサイズ、自称アイドルと同じくらい。
スタイルは良く、健康的とは言えないが綺麗な白い肌をしている。
髪は外国人の母の影響か、生まれつきの赤毛。
胸が寂しいこと以外は美少女である。
性格は…… 傍若無人でありながら、人助けを一方通行で行うのが好きな困ったちゃん。
そんな彼女は一人の男に路地裏に追い込まれた。
「やっと!追い付いたぞコラァ!」
そう怒鳴り声をあげ殺伐とした眼をした男がナイフをポケットから取り出す。
そして、片手でズボンからスマホを取り出した。
「今から仲間呼んで!生まれた事後悔させてやっかんな、動くなや!」
そう言い男は女を横目にスマホで仲間を呼ぼうとしていた。
何故、彼女がこんな事になっているのか?
ーー15分程前
公園で数人の男に殴られ血を流す青年を アコ が見つけた事から始まる。
男達は必要に青年に暴力を加えていく。
「なんで!これっぽっちしかないんだよ?足りねえだろうが!」
男達は青年に現金を持ってくるように強要していたが、青年が言われた額を持ってこれなかった為に報復していたのだ。
青年の名前は、西東大輝
年齢、18歳。
身長、162センチ。
やせ形。
黒髪に眼鏡。
とりあえず冴えない感じの青年であった。
そんな、大輝を見ていたアコに気付いた男の一人が声をあげた。
「何みてんだよ!泣かすぞ」
アコは少し悩んだが人助けをしようと決めた。
男達を無視して大輝に向かい歩き出した。
そして、大輝の側にしゃがむと大輝に喋りかけた。
「私はアコ、あんた助かりたいの?」
大輝もその場にいた男達もその質問に驚いた。
「聞いてるんだけど、日本語わかる?助かりたいの?」
「出来たら、でも危ないから逃げなよ、僕の問題だから」
大輝は切れた唇から血を流しながらアコにそう言った。
「わかった。名前は?」
「え、西東 大輝……早くいきなよ」
そんなアコの周りには、既に男達が囲むように立っていた。
「話は終わったのかよ!大輝君、誰だよこのペチャパイ?」
その言葉にアコは反応したが我慢した。
アコの怒りゲージが80まで上がって止まる。
大輝は必死にアコを逃がしてくれと頼むが男達の一人が、そんな大輝の顔面を蹴り飛ばした。
「うわぁぁぁぁ!」
男の蹴った足が大輝の眼鏡を砕き、大輝の眼球に眼鏡の破片が突き刺さり、大輝の眼から血が流れ出した。
「うわ!ヤベェ、遣りすぎだ!」
そんな状況かでも、大輝はアコに向かって「逃げろ」と口にしていた。
アコはその光景を見て、その場にしゃがみこんだ。
普通ならショックで腰が抜けてしまうような光景だったのだから男達もアコの行動に違和感など無かった。
しかし、アコがしゃがみこんだ状態で、顔をあげた。
「感謝しなさい。貴方達みたいな、救い様のないゴミの為に私が神に祈ってあげたんだから」
その言葉に男達はアコをにらみ付けた。
そして、大輝の顔面を蹴り飛ばした男がアコに近づいて行く。
「お前さ?女だからって大丈夫だとか思ってんの?マジにやっちゃうよ?」
「おおお!ケンちゃん、男女差別しない主義だからな。あはは、ヤバイんじゃない?」
男達は好き勝手に喋っていたがアコには、関係なかった。
そして、男がアコの間合いに入ってから2歩目の足が地面についた瞬間。
男達の笑い声は無くなる。
アコは手に持っていたキャリーバックを地面に置くと服の中からナイフを取りだし、其れを両手に握り、男の両足首を切断した。
男は何が起きたかわからないまま、前に倒れ込む、そんな男の首目掛けて二本の刃が襲い掛かる。
アコに降り注ぐ男の血液、地面に不自然に転がる男の白いスニーカーに染み込む色濃い赤色の化粧。
「あぁ、暖かい、こんなに冷たい人間の血液がこんなに暖かいなんて、神様の悪戯としか思えないわ」
そう言うとアコは、キャリーバックを持ち走り出した。
「運命が導いたなら、また逢うこともあるわ、またね。西東」
その場にいた全員が動けなかった。
そして、アコが離れてすぐに男達は我にかえる。
「うおぉぉぉぉ!ケンちゃんが」
「あの女、ケンちゃん殺しやがった」
「追うぞ!すぐに仲間集めろ!ケンの敵討ちだ!ぶっ殺してやる」
一人が大輝を指差し口を開く
「こいつどうする?」
「ほっとけそんな奴!いくぞ」
ーー現在
「女見つけたぞ!場所は」
男が電話を掛けているとアコが走り出してきた。
男が焦って一歩後ろに下がった瞬間、手首に握られたスマホが地面に落下する。
正式には、手首と共に落下した。
「手が!俺の手が!」
男は今まで経験したことの無い痛みと流れ出す大量の血液にどうしていいかわからず、只ひたすらに血を止めようと慌てていた。
其れを見てアコは男に質問をした。
「助けてあげましょうか?痛いでしょ?」
男は涙ながらに口にした。
「助けてくれ!」
アコは笑顔を浮かべた。
そして、男の心臓を突き刺しナイフを刺したまま回転させた。
男はアコを見て何か言いたそうだったが、上手く喋れずにいた。
「貴方の願いは聞き届けたわ、痛みから解放されるわ、既に痛覚も麻痺したでしょ、神様の元で感謝しなさい」
ナイフを抜こうとしたアコの後ろから別の男が走ってきたのだ。
アコはナイフを直ぐに抜こうとしたが、刺した男が最後の力でアコの手を掴み離れない。
「死ね!くそアマが」
アコは直ぐに片手を掴んでいる男の片腕を切断したが、もう一人の巨漢の男はすぐそこに迫っていた。
アコはキャリーバックを直ぐに開くと中からチェーンソーを取り出した。
そして、走ってくる男目掛けて斬りかかろうとした。
しかし、男はアコのチェーンソーより先にアコに到達しようとしていた。
男もチェーンソーを前に止まれば死ねとわかっていた。
だからこそ先にアコを押さえつけようとしたのだ。
しかも、男の後ろにはもう一人、人影が駆けつけてきた。
その人影が全力で走ってくる。
アコは流石にヤバイと覚悟を決めたが状況は違った巨漢の男の足が一瞬止まったのだ。
アコはチェーンソーの紐を引き一気に振りぬいた!
アコの超振動チェーンソーの前に男は真っ二つになったのだ。
しかし、その後ろには、西東 大輝の姿があったのだ。
「アンタ!なんで私に切られてるのよ、ダメよ!死んだらダメよ、今、西東に死なれたら困るの聞いてる?ちょっと西東ーー!」
次に西東が目を覚ましたのは光の世界だった。
「あぁ、僕、死んだんだな、悲しい人生だったな、親の遺してくれた遺産のせいで不良にたかられて、最後まで遣り返せないままか」
そう言い西東は空を見上げた。
「最後に人助けが出来たんだよね、まぁ、人殺しの女の子を助けたんだけど、人助けにはいるのかな?」
そんな事を口にした僕の前に男が現れた。
「入りますよ、貴方の行動は勇気ある行動であり、私達は貴方の行動を予想出来ませんでした。そのせいで死なせてしまい申し訳ありません」
「その言葉に救われました。そのせいでって、まるで神様見たいですね?」
西東の言葉にニッコリと微笑む男は頷いた。
「はい。私は貴方の言う処の神様と言う存在です。此処では神父と呼ばれています」
そう言われても西東は、余り驚かなかった。
「西東さん?リアクションくらいとって下さいよ、寂しいじゃないですか」
「あ、すみません。余りに急だったので」
「それもそうですね?普通は死んだら直ぐに天界からアナウンスが流れて『貴方は死にました』って通知がいきますが、西東さんはイレギュラーでしたから、アナウンスが登録されて無かったんですね。すみません、此方の部屋へどうぞ」
そう言われ通された部屋の中には、でかい窓があり、部屋の中央に白いテーブルと椅子が2つ。
そのテーブルの上にティーセットが置かれ、注ぎ口からは微かに湯気が出ている。
椅子に座ると神父がカップに御茶を注ぎ入れる。
「砂糖は一つで大丈夫ですか?」
「あ、はい大丈夫です」
西東は、御茶を飲みながら神父の話を聞く事になった。
どうでもいい事だが、神父が砂糖を8個入れるのを見て西東は、神父がかなりの甘党なんだなと思った。
「本題に入ります。西東さん!貴方は死んだまま天国にいきますか?それとも、天界の使者として地上に帰りますか?」
余りに急だった。
「神父さん?普通の復活は無いのでしょうか?」
神父はニッコリと笑い答えた。
「ないです」
「あはは…… そうですよね、そう上手くはいかないですよね」
落ち込む西東に神父は申し訳なさそうに謝罪をした。
「すみません、どんな理由が在ろうとも、死ぬ日以外に死んだ人をそのまま、蘇生することは出来ないのです」
神父が天界のルールを教えてくれた。
1、寿命を全うした場合は蘇生できない。天国に向かう。
2、天界のお仕置きリストで処刑された者は地獄を経験後に地上に8回転生される。
3、若くして寿命を迎え死んだ者は異世界で復活する権利をえる。
4、その他の理由の死を迎えた場合は神父がどうするかを決める。
5、天界のミスで死んだ者は天界人として生活するか、天国に行くかを選んでもらう。拒否権なし!
其れを聞いて西東は思った事を口にした。
「神父さん、最後だけ理不尽じゃないですか?様は口封じですよね」
「がはっ」
神父が吐血した。
「し、神父さん!大丈夫ですか」
慌てる西東。
「大丈夫です、すみません。確かに口封じかもしれませんね、ですがある意味チャンスなんですよ?西東さん!貴方が天界人になると言うことは神の使いになると言う事なんです」
「はあ?」
「貴方の行い次第で神になれるとしたらどう思いますか?」
神父の言葉にドキッとした。
「僕が神に…… 無理です!」
神父の二回目の吐血。
「西東さん、ならば?死を受け入れますか?」
西東は悩んだ。
だが、やはり死ぬのを認めたくなかった。
幸いなことに、天界人になれば天国にはエスカレーター式らしい。
ならば急がなくてもいいだろうと結論が出た。
「神父さん!僕、天界の使者になります。よろしくお願いします」
神父は嬉しそうに笑った。
そして、数枚の書類を取り出した。
簡単なサインで構わないと言われ西東は書類にサインをしていく。
全てのサインが終わると神父が手を『パン』とならす。
そうすると扉が開き。
アコが入ってきたのだ。
「西東さん、今日から貴方のパートナーの前切 アコさんです。永遠の16歳であり、天界のお仕置き人です。今日から西東さんにも、お仕置き人として頑張って貰いますのでよろしくお願いしますね」
そう言われ西東は頭を悩ませた。
そんな西東にアコが笑いかける。
「西東!今日からよろしくね。前切 アコだよ。一緒に頑張って悪人を叩ききろうねぇ」
そう言い無邪気に笑いかけられた笑顔はまるで天使の様だった。
こうして、西東 大輝 と 前切 アコ のお仕置きライフが始まったのだ!
始まっていいのか?
不定期で更新予定です。