第7話
その次の日、輝夜は学校を休むことにした。
本当は谷本先生の告別式に行きたかったのだが……谷本先生を死に追いやったのが自分だと思うと、参列する資格がないような気がしたからだ。
昼からひっそりと、近くのお寺へ行ってみた。谷本先生の告別式のあるお寺ではないが……。せめて、先生のご冥福を祈り、自分のせいで亡くなった命に対して謝罪をしたかった。
小さな山の上にあるそのお寺は、ひっそりとしていて、平日の今頃の時間帯には誰もいないようだった。
その後、まっすぐ家に帰るのもためらわれて、輝夜はなんとなく誰もいないお寺の裏側に回ってみた。
するとそこには、同い年くらいの男4人のグループが座り込み、タバコを吸ったり、ビールを飲んだりしながらくつろいでいた。制服を着ている者もいる。学校は休んだのだろうか。
ややこしいことには関わらないでおこう。輝夜は踵を返した。しかし、不良グループの一人が輝夜に気づいた。
「女の子一人、珍しいねー。一緒に遊んでいかない?」
「あの、もう私帰りますから」
「そんなこと言わずにさあ。男4人で退屈していたんだ」
一人の男が輝夜の腕を引っ張り、輪の中に連れ込んだ。
「可愛いね。どこの学校?」
「私、本当に帰るので……」
「そんなこと言わずに、いっしょに楽しもうぜ」
そう言った男が突然輝夜を地面に押し倒した。
「いやっ!」
輝夜は抵抗するものの、男4人に押し付けられ身動きが取れない。
服を引き裂く音が聞こえ、輝夜の裸の体に忌まわしい手が触れるのを感じた。
「やめてっ! 大声出しますよ!」
「どうせ、こんなとこ誰もこないって」
男たちはニヤニヤ笑いながら輝夜の体中をまさぐった。
「いやーーーっ! やめて! ロードっ!」
ロードの名前を呼んだのはほとんど無意識だった。
だが、その名前を呼んだ瞬間、4人の男は輝夜から離れ、バタンと倒れた。
「大丈夫か!?」
紫仙先生姿のロードが現れた。
手を差し伸べられ、恐る恐る立ち上がる。
「怪我はないか?」
「私は大丈夫です。でもこの4人の人は…」
「俺が殺した」
「…………!」
助けてもらったとは言え、あっさりと人を殺すロードのことはまだ輝夜には怖かった。
「どうせ、この4人は、数日中にバイクの暴走事故で死ぬ予定だった」
付け足すようにロードが言った。
「先生…授業中だったんじゃないですか?」
「授業よりお前のほうが大切だ。ほら。ハンカチ」
ハンカチを差し出されて初めて、輝夜は自分が泣いていることに気づいた。
「怖かっただろう。すぐに気づいてやれずに悪かったな」
紫仙姿のロードが輝夜の頭を撫でた。急に涙が溢れ出てきて、輝夜は紫仙の胸元で泣いた。紫仙は輝夜が泣き終わるまで優しく抱きしめてくれていた。
引き裂かれた服が見えないよう、紫仙のスーツの上着を借りて、家に帰った。紫仙が家まで送ってくれた。
「……ありがとうございました」
礼を言うのも、ロードに抱きしめられて泣いたのも我ながら不本意だったが、輝夜は一応助けてもらった礼を言った。
「大切な俺の婚約者だからな」
そう言って、紫仙姿のロードは輝夜の頬にキスをした。思わずドキッとしてしまった。
「俺は学校へ戻るが――何かあれば、すぐに俺を呼べ」
紫仙の姿が消えた。




