14 家族というもの
話し終えた時、家族は言葉を失っていた。
けれど次の瞬間。
「ルアお姉様ぁっ……!お姉様のことを、どうして忘れちゃったの……?寂しかった、すごく寂しかったよぉ……!もう絶対、忘れないから!」
「ルア、身体は大丈夫か?痛くないのか?……皇太子のことは、それで本当にいいのか?」
私は小さく頷いた。
胸が、ズキンと痛む。
「ルアリナ……ごめんなさい。母である私が、あなたの辛さに気づけなかった。何かを、ずっと忘れている気がしていたのに……」
「すまない……娘が苦しんでいる時に、そばにいてやれなかった。……それ以上に、お前のことを——忘れていたなんて……」
「……ごめんね。ありがとう、みんな。大好きよ」
ああ、もしも記憶を戻すときに、忘れていた事実も一緒に消していたら、もっと楽だったのかもしれない。
でも、それでは意味がない。
こうして、心から迎えてくれる家族がいてくれてよかった。
私たちはそのあと、他愛のない話に花を咲かせた。
「ルアの魔法は美しいな。世界中の美しいものを集めたらこうなるのか?」
「お兄様ったら大げさ。でも、私は女神の生まれ変わりだからね」
私は笑う。
この魔法は、自分でも綺麗だと思う。
「それで、どうするの?また、戻っちゃうの?」
「ええ。私はもっと魔法を上達させなきゃいけないから」
ミアの言葉に、頷く。
「そう……でも、定期的に帰ってきなさい。本当は毎日がいいくらい」
お母様は少し寂しそうに、けれど優しく微笑みながら私を抱きしめた。
「はい。できるだけ帰ってくるわ」
「お姉様……。でも、もう二度と、忘却魔法はかけないでね?」
「ええ、約束するわ」
私はミアをぎゅっと抱きしめた。