第9話 協力者
朝食を済ませ、浩史たちは引続き魔物狩りに出かけ、俺はメイン端末で入口前の草原もホームの敷地に設定し平らにして、草原の中心にビーコン、ビーコンを中心に半径10mにLEDライトを1周設置してヘリポートを作り、ヘリポートに攻撃ヘリのヴァイパーを転送させ、カモフラージュネットを被せてホームに戻る。
時間が空いているのでバナナを持って鳳龍店へ行き臨時開店をすると、しばらくして大きめの壺を持ったお客が砂糖を買いに来た。砂糖は大と小の2種類で計量して売ることにして、大が金貨1枚、小は大の半分なので大銀貨5枚。
「この壺に入るだけ砂糖をくれ」
壺には大5杯が入ったので「金貨5枚になります」
「これからも定期的購入したいので店に届けて欲しい」と言って金貨5枚を渡されたので了解する。
店に同じサイズの壺があるので場所を覚えるついでに取りに行くと外観からして高級料理店の様だ。前に配ったお試しの小瓶を知り合いから貰い料理に使って気に入ったので、毎月1日に砂糖を入れた壺を届けて空の壺を回収する事をオーナーと話して決まったので鳳龍店に戻る。バナナが数本売れたがお客は少なかった。
時間になったのでアレクシスを迎えに行き、少し早いがドアをノックすると「お待ちしていました」と出迎えてくれたアレクシスさんと挨拶を交わして、鳳龍店まで魔法に付いて幾つか聞きながら歩いて行き店に入る。
「このブレスレットと目隠しを付けて下さい」と付け外しを見せ、両方を装着して貰ったら転送装置でホームに転送し、ヘリポートに向かう。
カモフラージュネットで隠したヘリの前でマイマスクを外して貰うと「ここはどこですか?」とキョロキョロしながら聞いてくるアレクシスさん。
「場所はお教え出来ません」とカモフラージュネットを外しながら答える。
「これが異世界の証拠ですか?」
「そうです。これは異世界でヘリと呼ばれ空を飛びます」
「これが空を飛ぶのですか?」疑いの目でヘリを見ている。
来るまでに飛行魔法や物を浮かす魔法に付いて聞いてみたがナミル王国には存在しない。
「もうしばらくしたら日が沈みますので実際に飛ばして見せます」
「日が沈まないと飛べないのですか?」
「飛ばせますが目立ちますので」
暗くなるまでヘリの中を見たり、メインローターを動かし少し風を出してみせたりして時間を潰し、机と椅子を出して休憩する時にペットボトルの炭酸飲料を出して異世界の飲み物と説明して飲んで見せるとアレクシスさんも少し口に含み飲んでいる。
「甘くて美味しいのですが」余り気に入らない様だ。
父親の代から異世界について調べているが進展はないし、文献が少なく研究が進まない。召喚魔法も魔法師ギルドの協力が得られなく進んでいない。
話を聞いていると日が沈んだのでヘリに乗り込み海上に出る。
「凄い!!」を連発している。
しばらくは海上を飛び回り込んでグロスターの街を上から見せ、また回り込んでホームに戻りヘリポートに着陸してヘリをホームに戻した。
「何をしたのですか!?」
「元の場所に戻しました」
浩史に連絡し、今から異世界研究のアレクシスを連れて行くので、子供達を部屋から出ない様に言って貰いヘリポートからホームに戻る。岩場のホログラムを通過する時も驚いていた。
「今、岩を通り抜けたのですが、どうなっているのですか?」
「異世界の技術です。異世界では科学が大変進歩していますが、魔法は使う事さえ出来ません」
エレベーターで地下1階に行き、多目的ルームに案内をする。
「あなたは何者ですか?」と聞かれた時に浩史が来た。
「弟の松岡浩史です」
浩史を紹介し席に着きアレクシスさんにレモンティーを勧めてみる。
「他にも異世界の研究者を知っていますか?」
「ネイビスファー共和国に2人、ファンドラ国に1人、手紙で情報交換をしています」
「その方達を紹介して下さい」と焦らず静かに話す。
「紹介するのは構いませんが、どこまで話していいのでしょうか?」
「その方達は信用できるのでしょうか?」
「信用は出来ますが、全員が研究者です。研究結果は発表します。多少待ってもらえますが」
「ここまでの異世界の乗り物や文化について、私達と判明する情報を伏せて貰えれば公開しても構いません」
「ここまでの?」
姿勢を正して「ここからが最も重要です。私と弟は異世界の人間です」
「兄貴?」と浩史が話すの?と驚いている。
「元の世界に戻る方法を探しています。協力してもらえますか?」
「こちらこそ是非よろしくお願いします」と立って頭を下げているアレクシスさん。
俺も立って頭を下げて「よろしくお願いします」浩史も慌てて立ち上がり頭を下げる。
座り直して「こちらからのお願いですが、今は2つあります。1つ目が召喚魔法・帰還魔法の方法や情報、2つ目が異世界人の情報、異世界の人間は私達の他にもいる可能性が高い」本だけが召喚された?
「エイゴの文献ですか?」
「元の世界の本です」
アレクシスさんが少し考えて「魔法の件は、ファンドラ国が一番進んでいるのでファンドラ国の研究者に頼んでみます。異世界人の方は、今まで通りに情報は探しますが、余り期待をしないで下さい」
「その方法で構いません、一度、3名に連絡をして協力を得られるか確認をお願いします」
「早急に手紙を出してみます」
「こちらの装置をお持ち下さい。ボタンが押されたらアレクシスさんを訪ねて行きます」
初めは通信機を渡そうと思っていたが、通信機はゲームユーザーの全員が体内に埋め込んでいる設定だったので、ショップでも工作室で作成しようにもデータがなかったので諦め、少し大きいがビーコンにした。
少しの間、質問攻めにあったが、時間も遅いので自宅まで送り届ける。ホームから鳳龍店への転送には唖然としていた。
ホームに戻ると浩史が待っていた。
「異世界人ってばらしても良かったの?」
「早く協力して貰った方がいいだろ?魔法はこっちの人達を頼るんだし、裏切られたら相応の報復をする」
「わかった。明日も子供達と魔物を倒しに行くから、おやすみ」と自室に行った。
もう少し協力者が欲しいが秘密も守らないと、王様に協力を頼んだ方がいいのか?でも頼むなら魔法が進んでいるファンドラ国だな。どんな国だろ?ナミル王国を出てファンドラ国に移った方がいいかな?ファンドラ国の情報を集めないと何も判断出来ない。
明日は鳳龍店の営業日。用意をして寝る。