休日の学校にて 5
「ようこそ、僕の学校へ」
当然そこに陽菜さんはいましたわ。やはり何度見てもその美しさに見惚れてしまいますわね。
王子様という言葉がこれ程似合う方、わたくしは陽菜さんしか存在しないと思ってます。創作世界の王子様方よりも王子様ですわよ。
例えばそうですわね……なんか王子様ですわ!
「ごきげんよう、陽菜さん。今日は出迎えてくれませんでしたわね」
「ああすまない、君を驚かせたくてね。今日は東崎先輩にお願いしたのさ」
千春さんがグッとサムズアップしてきましたわ。それはそうとして、わたくしを驚かせたいと? 既に驚きましたわよ?
「学校銘板ですか?」
「違うさ。これを見てほしくてね」
そう言うと、陽菜さんは席を立って私の下へ来てくれました。多分この部屋、陽菜さんしか使わないから座る場所が無いんですのね。驚きましたわ。
陽菜さんは全部で三枚の写真を見せてくださいました。
「まずは一枚。この噴水、来るときに見たかい?」
「ありましたわね。それがどうかしましたの?」
確かに綺麗な噴水でしたけれど、噴水は見慣れているのでスルーしましたわ。バンジージャンプ部に気を取られていたというのもありますし。
「これを見てほしいんだ」
そう指さしたのは噴水の中心部分でした。
「拡大写真がこれさ」
噴水の中心部分、そこは破損の跡とでも言えますでしょうか。石造りの噴水ですからそうそう壊れることはないはずなのですが、砕けた跡のような、例えば石柱が崩され、倒れた断面のような物。
「珍しいですわね。陽菜さんがこういった物を壊れたままで置いているのは」
「そう、珍しいんだ。なぜなら、この噴水は爆破された石像の次の姿だからね」
「へっ……?」
爆破?
「爆破って……?」
「石像をも砕く爆発さ」
「順を追って聞いても……?」
校内で爆破騒ぎなんて、とても不味いのでは……? 有史以来の大問題ですわよね……? どうして陽菜さんはこんなにも落ち着いてなさるの?
「そうだね。校舎を建て替えた時に、僕は愛しの人の石像を建てたのさ」
「愛しの人……?」
愛しの人? 愛しの人って、愛しの人のことでしょうか? え? え?
「すると次の日、知らない間に爆破されてしまっていてね」
「愛しの人? ちょっと陽菜さん?」
「何度も建て直しても爆破させられていてね。近くに先輩方がいて、何度か皆さん巻き込まれてしまっていて、もう石像は諦めるしかないなと思って噴水にしたのさ」
「陽菜さん⁉ 愛しの人ってだれですか⁉ わたくしというものがいながら! 他の方に現を抜かすなんて!」
「そよ風姫、僕は気づいてしまったんだ。君の言う通りだったよ、お金で解決できないこともあったのさ!」
「頭がこんがらがってきましたわ‼ 話が噛み合っていないですわ‼ 千春さん――いない‼ ですわ‼」
「そよ風姫、君には感謝しているよ」
「どうして落ち着いていられますの⁉ わたくし頭が真っ白ですわ‼」
「そういう時は、走り出すのさ」
「走ってきますわ‼」
………………………………………………どうしてわたくしは走っていますの⁉




