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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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1102/1103

休日の学校にて 5

「ようこそ、僕の学校へ」


 当然そこに陽菜(ひな)さんはいましたわ。やはり何度見てもその美しさに見惚れてしまいますわね。


 王子様という言葉がこれ程似合う方、わたくしは陽菜さんしか存在しないと思ってます。創作世界の王子様方よりも王子様ですわよ。


 例えばそうですわね……なんか王子様ですわ!


「ごきげんよう、陽菜さん。今日は出迎えてくれませんでしたわね」

「ああすまない、君を驚かせたくてね。今日は東崎(とうざき)先輩にお願いしたのさ」


 千春(ちはる)さんがグッとサムズアップしてきましたわ。それはそうとして、わたくしを驚かせたいと? 既に驚きましたわよ?


「学校銘板ですか?」

「違うさ。これを見てほしくてね」


 そう言うと、陽菜さんは席を立って私の下へ来てくれました。多分この部屋、陽菜さんしか使わないから座る場所が無いんですのね。驚きましたわ。


 陽菜さんは全部で三枚の写真を見せてくださいました。


「まずは一枚。この噴水、来るときに見たかい?」

「ありましたわね。それがどうかしましたの?」


 確かに綺麗な噴水でしたけれど、噴水は見慣れているのでスルーしましたわ。バンジージャンプ部に気を取られていたというのもありますし。


「これを見てほしいんだ」


 そう指さしたのは噴水の中心部分でした。


「拡大写真がこれさ」


 噴水の中心部分、そこは破損の跡とでも言えますでしょうか。石造りの噴水ですからそうそう壊れることはないはずなのですが、砕けた跡のような、例えば石柱が崩され、倒れた断面のような物。


「珍しいですわね。陽菜さんがこういった物を壊れたままで置いているのは」

「そう、珍しいんだ。なぜなら、この噴水は爆破された石像の次の姿だからね」

「へっ……?」


 爆破?


「爆破って……?」

「石像をも砕く爆発さ」

「順を追って聞いても……?」


 校内で爆破騒ぎなんて、とても不味いのでは……? 有史以来の大問題ですわよね……? どうして陽菜さんはこんなにも落ち着いてなさるの?


「そうだね。校舎を建て替えた時に、僕は愛しの人の石像を建てたのさ」

「愛しの人……?」


 愛しの人? 愛しの人って、愛しの人のことでしょうか? え? え?


「すると次の日、知らない間に爆破されてしまっていてね」

「愛しの人? ちょっと陽菜さん?」

「何度も建て直しても爆破させられていてね。近くに先輩方がいて、何度か皆さん巻き込まれてしまっていて、もう石像は諦めるしかないなと思って噴水にしたのさ」

「陽菜さん⁉ 愛しの人ってだれですか⁉ わたくしというものがいながら! 他の方に現を抜かすなんて!」

「そよ風姫(かぜひめ)、僕は気づいてしまったんだ。君の言う通りだったよ、お金で解決できないこともあったのさ!」

「頭がこんがらがってきましたわ‼ 話が噛み合っていないですわ‼ 千春さん――いない‼ ですわ‼」

「そよ風姫、君には感謝しているよ」

「どうして落ち着いていられますの⁉ わたくし頭が真っ白ですわ‼」

「そういう時は、走り出すのさ」

「走ってきますわ‼」


 ………………………………………………どうしてわたくしは走っていますの⁉


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