表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春短歌〜言葉にできない気持ちを、私たちは三十一文字にする〜  作者: 老川
一年生二学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

隣立つ

 その日の放課後、文化祭準備が一段落した頃、私はまひるの元へ向かった。


「少しだけ、時間ある?」


 短く告げるだけで精一杯だった。


 クラスメイトたちが帰り、夕陽が差し込む教室にまひると二人で向かい立つ。まひるの顔に視線を向けても、そっと視線を避けられてしまう。二人の間に沈黙が落ちた。小さく息を整えた後に、必死に言葉を絞り出す。


「この間は、ごめんなさい…」


 喉が張り付き、思うように声が出ない。足は震え、気を抜くと立っていられ無くなってしまいそうだった。逃げ出してしまいたいと思う気持ちを必死に押し留め、言葉を続ける。


「まひる。これ、読んでもらいたい…」


 –––––隣立つ友のなき間にふと気づく彼女の照らす私の心


 今日のために用意した便箋に、書き留めた私の気持ち。必死に絞り出した私の言葉。それをまひるに受け取って欲しかった。


 まひるは私の差し出す手紙を受け取ってくれた。そこに書かれた文字を見て、少しこちらに視線を向ける。何か言いたそうに口を開いて閉じて。それを何度か繰り返してから、小さくため息をついた。


「…ほんと、不器用だよね」


 そういって諦めたように小さく笑ってくれた。でもその目は夕陽のおかげか少し赤く見えた。


 それから私たちは二人並んで教室を出た。最寄り駅までの並木道を足並みをそろえて歩いていく。二人で一緒に歩くのは久しぶりだった。


 二人の間に会話はなかった。私たちの関係は全く元通りというわけでもないと思う。けれど、こうして時間をともに過ごせるだけで嬉しかった。


「…また明日の朝ね」


 別れ際、まひるは小さな声でそう言った。今はそれだけで十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ