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第37話 想い

 イカイケメンに触手を頭に巻かれ終わった後、和夜は安静にベットで横になっていた。暴れる心配はなくなったので拘束はもうされていない。ベットの横でイカイケメンは立って和夜を見つめる。

「もう少ししたら和夜ちゃんは楽になるよ。もう無理に感情を抑えなくて良いんだ」

和夜はイカイケメンを睨む余裕すらなく唸っていた。イカイケメンは目の前に手紙を出して見せる。

「これは君のお父さんに出す手紙だよ。和夜ちゃんはお父さんのことを心の底から尊敬しているけど、そんな人と敵対するようなことになったら嫌だろ?それに、和夜ちゃんの計画の邪魔しに来たら厄介になる。だから、和夜ちゃんの所へは行かずに私をひたすら探すように誘導してあげる。思う存分、嫌いなヒーロー達に自分の強さを思い知らせれば良い。私はこの場所で和夜ちゃんの活躍を見守っているからね」

イカイケメンは和夜に今度は顔を近づけて言う。

「今回は委員会の人達にやり返すだけだけど、それが終わったら委員会なんか抜け出して私と一緒に行動するのも面白いだろうなぁ。善悪、問わず気に食わない者が居たら君の好きなようにすれば良い。永遠に楽しめる。私の細胞は再生能力を持ち、不老不死に近い状態なんだ。その細胞が体に入った君も勿論、私同様に若いままだし死なない。私が死なない限りね。だから、安心して・・・これから一緒に楽しもう」

イカイケメンはベットから離れると、手紙を机に置きドアに向かって歩く。

「長時間、何も食べてないからお腹空いてるよね。何か作ってくるよ」

後ろを振り返り言った。

「そうだ、食材がないんだった。何か買って来るから、ゆっくり休んで待っててね・・・確か近くに〇〇スーパーがあったな~」

部屋からイカイケメンは居なくなる。和夜はリゼ、キンバ、強、強の舎弟に対しての復讐心が強くなり頭が可笑しくなりそうだった。それだけでなく騎士への憎しみが増加していた。頭を両手で押さえる。涙が止まらなかった。

「止めろ、止めて、止めてくれ」

唸りながらも強く思った。ベットから転げ落ちた和夜は這いつくばって机に向かう。イカイケメンが伸郎へ書いた手紙を見つけ鉛筆を強く握った。手紙の裏にこっそりメッセージを書く。下記がメッセージの一部である。


 イカイケメンを倒して

 ソイツが居ると私を殺しても意味がない

 人を傷つける前に

 格好悪い、悪い奴になる前に

 止めてほしい

 

 親不孝になるけどごめん

 皆、今までありがとう


 ほぼ殴り書きだった。書き終わると近くにあった封筒に手紙を入れ封をする。目的が終わると急いでベットへ寝っ転がった。イカイケメンにどうにかバレずに尊敬する大好きな父、最強の主人公ヒーローへ手紙が届くことを祈るしかない。幸いにも気付かれなかった。

「あれ?封筒に入れたっけかな。まぁ、良いや」


 伸郎は手紙の裏にある和夜の最後になるであろうメッセージも見逃さず読んでいた。だから、イカイケメンの元へ行くことを優先した。秒で電波の届く場所へ移動し騎士へ電話を掛ける。イカイカメンを探す前に先にしなければいけないことがあった。この頃、騎士はまだ道場に到着しておらず、全力疾走で向かっている時だった。走りながらもスマホが鳴っているのに気づき走りながら出る。

「騎士です!」

「走ってるのか?じゃあ、和夜の所へ向かっているんだな」

「はい!」

「俺はそっちに行けない。イカ野郎を倒さないといけないからな・・・騎士くんには申し訳ないが和夜をお願いしたい。状況によっては・・・敵だと思って、良い」

「えっ」

それだけを告げて電話は切れた。騎士へのお願いを終えたので、伸郎はイカイケメンを探すことを続行した。


 騎士は伸郎からの電話の意味が分からず、つい走るのを止めて立ち止まってしまう。

「敵・・・だと思っていい?」

そう言うと、急いで道場へ行かなければと思い出し走る。道場に着くと扉を開け、和夜を見る。伸郎の言った意味が分かった。これ以上、仲間を傷つける前に、誰かを傷つける可能性がある前に、和夜が和夜でなくなる前に止めて欲しい。場合によっては今まで敵を倒した時のように和夜にも同じように扱って良い。そういう意味だということを悟った。


 騎士は迷うことなく決心した。絶対に元の和夜ちゃんに戻って貰うということを。 

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