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第19話 初任務 和夜&騎士

 全体会議の終わった次の日、和夜は憧れの車のハンドルを握った。助手席には騎士。いよいよ初任務だ。初めての本格的な戦いに和夜は緊張していた。が、目的地近くまでの道のりは綺麗な自然の景色が多く、天気も良かったので2人はドライブ気分で向かう。


 目的地に到着し車を止めた。周りは草木が生い茂り人気のない所だった。怪化薬を飲んだ敵は人目の付く所に現れる者、人目の付かない所に隠れる者、人それぞれである。


 2人が行った所では何十人という戦闘員が来ているが全員、命からがら帰ってくる。それには強の舎弟も含まれる。そして、帰って来た者同士が疑心暗鬼になり揉めている者も多い。


 辺りを2人は見回した。

「別々の出入り口から入って倒そうとも思ったけど出入り口が1つしかないかー」

「一緒に入ろう」

「そうだね」

普通に出入り口から2人は侵入した。ドアを押して開けると何もない白い部屋にドアが2つあった。

「まさか・・・この建物マトリョーシカみたいにドアが増えていかないよね?」

「うーん。だとしたら、1つ1つ見ていくしかないね」

「そうだね。二手に別れる?右と左どっちに行きたい?」

「えっ!?単独は流石に・・・」

「それもそっか」

いくら騎士が強いからと言って未成年1人を危ないところに行かせるのは駄目だよな、と和夜は考え直した。騎士はいくら和夜が強くなっていても何かあった時に自分が守れるように一緒に居たいため単独行動は避けれて安心した。その時、ガタっと音がした。

「わあぁぁぁぁぁ」

「和夜ちゃん!?」

突然、和夜の床だけ穴が開き、和夜が落ちたら穴が閉じた。からくりがしかけられていたようだ。騎士は急いで下に行こうと2つのドアを開けると下に行く階段があり駆け下りる。


 騎士が下へ降りるとハーフアップをした女性の後ろ姿を見つける。駆け寄ろうとしたが直ぐに足を止めた。女性が振り返る。

「あっ!騎士くん!ごめんね。急に落っこちちゃって。まさか下に落ちる罠があるなんて思わなかったな。気を付けないと」

「誰?」

「誰って何、言ってるの?和夜だよ」

笑いながら女性は近づく。

「俺の探してる和夜ちゃんじゃない」

「急にどうしちゃったのよ」

「偽物は近づかないで」

女性は歩くのを止めるとポケットから拳銃を出し騎士へ向け、躊躇なく撃った。玉を避けた騎士は素早く女性の手を上から払い、銃は地面に落ちた。

「今までで1番のイケメンだったら楽しもうと思ったのに、なーんで、バレちゃったかなー」

「逆に何でバレないと思ったの?」

そう言った騎士は片手で女性の首を掴み上に上げた。女性は和夜の姿をしていたが首を掴まれ本当の姿に戻った。息が出来ず苦しそうだった。会話が出来るように一旦、降ろしたが手は女性の首を掴んだままである。

「和夜ちゃんはどこ?なんで化けてたの?誰?」

「あたしはドペ。女に化けて油断した所を狙うつもりだったんだよ。後あんたの探している女がどこに行ったかなんて知らないよ」

「そう」

「ねぇ、あんな子より私と」

ドペがそう言いかけた時に騎士は片手の力を強めた。ドペは地面に倒れた。


 和夜は悲鳴をあげながら落ち、気付いたら着地していた。着地の前に腰辺りが掴まれた気がしたが気のせいだろう。着地の時に痛みがなく良かったと思った。足に怪我がないことを再確認しているとドアが開いた。

「和夜ちゃん、落ちていったけど大丈夫?」

「足も痛くないし大丈夫だよ。次は床にも気を付けるね」

「良かった!ここに来る途中、敵を倒して来たし帰ろう」

「嘘ー!?早くない!?・・・そっか。帰るか」

読者様の中では予想した方も居ると思いますが勿論、騎士の偽物です。しかし、和夜は気付いていません。親子揃って鈍感です。和夜は初任務から出番なしか、本当に足手まといになっちゃたよ、トホホ、と思っていた。

「その人は偽物だよ」

「えっ?偽物?」

どこからか知らない男の声が聞こえた。周りを見渡すが騎士の姿をした男しかいない。その男に和夜は包丁を向けられていた。和夜はとっさに構える。包丁が自分に近づいて来た時に言った。

「無敵返し」

すると、包丁は跳ね返り騎士の姿をした男は本当の姿になっていた。

「本当に偽物だったんだ・・・」

和夜は男の姿を見て驚き目を直ぐに逸らす。和夜は血は苦手だ。漫画世界の血はリアルじゃないため、ある程度は平気だったが見たくはなかった。

「騎士くんは直ぐに見破ったのに、和夜ちゃんは分からなかったのかい?」

なぜか自分達の名前を知っている知らない男がいた。その男は紫髪のマッシュで色白、整った顔をし紫スーツを着用していた。騎士とは違うタイプのイケメンだ。だが、和夜からするとそんなことはどうでも良い。ただただ怪しい人である。手だけを構える。

「誰?ですか?」

「さっきも落ちた時、危なかったんだよ。私が触手で受け止めたから良かったけど」

「触手!?」

謎の男の背後から白い触手が出てきた。先端は三角でイカの触手のようだった。

「・・・そうだったんですね。ありがとうございます」

謎の男は登場からずっと口角が上がっている。

「ところで貴方は?なぜここに」

「私もここに居る者に用があってね。君達と同じだよ」

「そうーなんですかー。奇遇ですねー」

和夜は助けて貰ったことに感謝はしていたし良い人そうだと思っていたが少し怪しい気がして疑っていた。本当に敵じゃないよね?大丈夫かな?と思っていた。

「私はそろそろ行くよ。またね。和夜ちゃん・・・次も気を付けてね」

「あっ」

謎の男は瞬きをする間に居なくなってしまった。今の敵だったら逃がしたことになっちゃうけど良い人そうだから大丈夫だよね?敵ではないよね?と不安になっていた。そこへ、近づいてくる足音が聞こえた。

「和夜ちゃん!」

「あっ、多分、本物の騎士くん」

「どういうこと?」

「いやーさっき騎士くんの姿をした敵が居てね。ここに倒れてるんだけど」

「俺も和夜ちゃんの姿をした人を倒して来たよ」

「そっか。帰って長老さん達に報告しようか。居なくなったけど敵か味方か怪しい人が居たから連絡しておきたいし」

和夜が歩き出すと、本物と思われる騎士は後ろから和夜の腰に手を回した。ギョッとして和夜は離れる。本物と思われる騎士は不思議そうな、何ともない表情だった。少し距離を取りながら和夜は車まで歩いた。運転席に座った和夜はシートベルトをしハンドルを片手にギアを握った。その手に助手席に座った本物と思われる騎士は手を重ねる。和夜はまたギョッとして横を向く。

「まさかと思ったけど・・・まだ偽者が居たか」

和夜は手の甲に重ねられた手を冷たく払う。

「えっ、俺は本物だよ」

「騎士くんはそんなにベタベタボディタッチしないよ」

「ただのスキンシップだよ!だって俺達、付き合ってるでしょ?」

運転席側の窓際に肘をつき頬添えをつく和夜は冷静な目をし、騎士を見つめる。

「私が運転するからハンドルを握るのも私。助手席にいる偽者の騎士くんは私に命を預けられているも同然。命のハンドルを握っているようなもの。このまま乗っていたらわざと事故でも」

和夜が言っている途中で偽者は車を降りた。和夜はゆっくり車を降りた。

「くそっ、なぜバレた。さっきまで見分けられなかった奴が」

偽者は本当の姿になっていた。

「姿はそっくりでもその人との関係性を知らないとバレますよ」

「そんなこと!とっくにHPでリサーチ済みだ!」

「じゃあ勘違いしてますよ」

「何をだ」

「別に私と騎士くんは付き合ってないですよ。なんでそう思ったんですか?」

「は!?あんだけ仲良さげにツーショット写真あっただろ!?・・・フェイクか?」

和夜は思った。ツーショットが多過ぎて不安になったけどやっぱり勘違いされたか、するつもりもないが絶対にエゴサしないようにしよう、絶対に怖いよー、と思っていた。

「・・・あっ・・・仲間は何人ですか?」

「仲間だ?全滅だよ。お前がさっき倒したのはゲル。騎士はドペを倒した」

和夜は指を折って数える。

「ひー、ふー、みーで3人?少なっ」

「2人だけで来たお前らに言われたくねぇよ!」

ボソッと言った少ない発言を聞き逃さなかった。

「今まで裏で動いていたお前ら組織の仮リーダー?強って言う男の舎弟も10人以上来たが俺達が化けてやったことで仲間割れを起こし混乱させて・・・面白かったぜ」

和夜は男の話を聞き、とても気分が悪くなった。

「だから・・・帰って来た仲間達は疑心暗鬼になって・・・」

「ドペもゲルも拳銃とかナイフとかちっせえ武器しか使えなかったからなぁ。それでも仲間にしたことは許さねぇ。死ぬ前に俺の名前も教えてやるよ。俺の名前はガーだ」

「ガーさん・・・私は松石和夜と言います」

「知ってるわ!さっきから和夜ちゃんって言ってただろ!」

「ああ、そうでした」

恥ずかしそうに和夜は笑いながら片手を頭の後ろにやった。ガーと名乗る男からはビリビリと音が聞こえ出す。

「俺は2人と違って武器がいらない。手から自由自在に電気が出せるからな。今までお前が倒した奴らは小さい武器を使う奴らだったかもしれないが俺は違う。苦しみながら死にやがれ!」

勢いよく電気が和夜へ向かって放たれた。和夜は構えて

「因果応報の時、無敵返し」

と言った。勿論、電気はガーに当たり悲鳴が響き倒れた。和夜は漫画世界の敵のバリエーションもしかして少ない?この前も電気銃とかの人を倒したし、電気ばっか来るのかな?というかさっき命のハンドルとか変なこと言っちゃったよ恥ずかしーと色々、思っていた。

「和夜ちゃん!ここに居たんだ!」

和夜が向いた方には騎士がいた。和夜は少し警戒した。

「和夜ちゃんを探してたら俺が倒した奴以外に包丁が刺さって倒れている人が居たけど、もしかして和夜ちゃん?」

「うん。包丁は私。跳ね返した」


 2人は車に乗る。エンジンをかけた和夜は考えていた。本当に騎士くんだよね?と不安になっていた。騎士は出発しない和夜を不思議に思う。

「・・・騎士くん。今日の夕飯、オムライスが良いなぁ」

「良いけど、昨日も食べたのに良いの?」

「よし!本物だ」

そう言いギアを動かしアクセルを踏み車は走り出した。騎士は昨日の夕食の話をして分かるかで本物か確認されるの俺?トホホ、と思った。

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