第14話 告白
怪化薬打倒委員会に勧誘されて数日後、伸郎と和夜は2人だけで来てほしいと不死長老から連絡があり家へ行った。庭の見える畳の部屋にお茶が出され飲みながら話をした。
「本当に組織へ入ってくれてありがとう。今日は渡したい物があってな」
と不死長老は言い、あるカードを2人に渡した。
「おっ、委員会に入っていることを証明するカードか?」
「その通り」
伸郎はまた、ある部分に気付く。
「ナンバー1」
「私はナンバー2ってある」
「その番号は伸郎くんはリーダーだからナンバー1。和夜くんは補佐役だからナンバー2。まぁ、騎士くんも同じなんだがね。どっちが2でどっちを3にするか迷って・・・とりあえず、どっちも2にしてしまった」
「そうなんですね」
和夜が笑いながら答えた。そして、不死長老は別の場所へ案内をした。案内されたのはなぜか廊下だった。
「そのカードをここに当ててみてくれ」
試しに伸郎が廊下の壁にカードを当てた。すると黒いドアが現れた。
「伸郎くん、試しにドアの前に立って見てくれ」
伸郎がドアの前に立つとドアが一瞬、光り自動で空いた。2人はこれを見て
「おおお、かっけぇ」
とわくわくしていた。不死長老は説明をした。
「怪化薬打倒委員会の建物、実はわしの家の中から入ることが出来る。他にも入れる場所はあるが2人は家の場所的にここから入る方が早いだろう。中に入るにはカード認証、指紋認証、顔認証を突破しなければならない。指紋はカードを当てた時に瞬時に読み取られている」
「スゲー」
「うん!」
2人は目を輝かせて答えた。
「あっ、家にもしも、わしが不在の時はインターホンにカードをかざすと家の中に入れるから万が一の時はそうして欲しい」
「はい!」
と2人は言った。3人は庭の見える畳の部屋へ戻った。
「最後に一応、これも渡したい」
と言って渡されたのは身分証明書だった。
「あっ、21歳になっている」
と年齢の部分に和夜が気づいた。
「その通りだね。作り方はちょっと言えないがちゃんとした身分証明書だから堂々と使える。ちょっとしたプレゼントだよ」
「今の見た目で50歳以上は無理があるようなぁ」
「大丈夫。方法はある。怪化薬打倒委員会は今まで裏で動いていたんだが伸郎くん達のように圧倒的な強さを持つ素晴らしい人達が集まってくれた。これから少し表立って動こうと思う。そこでHPに伸郎くんについて是非、載せさせて欲しい。そこに年齢と顔写真が載る。若い見た目の理由は伸郎くんが人を若返らせる能力を持った者と戦った影響で今の姿になったという理由はどうかね?」
「何かそれっぽく聞こえるな」
「そうだろう。だから、疑われても身分証明書とHP、そしてわしがいる。大丈夫だ」
2人は本当に大丈夫かと心の中で思ったが漫画世界だしと思うようにした。
「ありがとうございます。これがあれば酒もたばこも堂々と買えるしパチンコにも行ける」
「真っ先にそっちを言うんじゃないよ」
伸郎の発言に和夜はツッコミ、3人は笑った。その後、不死長老は心配そうに和夜に言った。
「だが、もし・・・必要がなかったら処分して欲しい」
和夜は不死長老が心配していることが分からなかった。
「マンくんから聞いておる。騎士くんは和夜くん達がこの漫画世界に来たこと、年齢を知らないと・・・」
と不死長老が言い、和夜はハッとなった。
「正直、騙している気分で嫌だったので全部、話します。騎士くん以外にも友達には話しておきます」
と和夜が答え2人は上手く行ってほしいと願った。すると、急に不死長老の背中から白い光の玉が出てきた。
「お前らは後、高校に行かなくても良い。KKDの仕事へ集中しろ」
マンだった。また急に現れるものだ。
「あっ、今まで嘘ついてたことになるけど大丈夫かな」
「そこも心配はない。怪化薬打倒委員会を裏で支えてきたわしが潜入捜査の一環でとか上手く言っておくから高校からお咎めはない」
「良かった。ありがとうございます」
和夜は家に帰り騎士に2人だけで話がしたい、会える時を教えて欲しいと連絡をした。今でも大丈夫だと返信が直ぐに返って来たので今日中に会う約束をした。先に騎士だけに伝えようと思った。嘘をつき続けることも嫌だったが打ち明けるのも怖かった。違う世界から来たことをそもそも信じてくれるだろうか、年齢を偽っていたことに騙されたと思われるだろうかととても不安だった。本当は成人した自分が高校生のふりをして高校生とべったり一緒に居て、家まで毎日送り迎えをして貰った罪悪感。落ち着いて家に居ていられず予定の時間より1時間以上早く公園に着いてしまった。この公園は2人で買い食いの帰りによく来た場所だった。意外に人が居ないので落ち着ける場所だから選んだ。実際に待っている間、誰も人は来なかった。
ブランコに座り、ずっと考えていた。何て言おうか。スマホで時間を見た。待ち受けは南にからかって撮られた騎士とのツーショット写真だった。騎士くん、撮った写真を南ちゃんから貰った直後に待ち受けにしていたなぁ、私も調子乗って真似しちゃったけど、と思い振り返っていた。そんなことを思う内に公園に着いてから30分は経過していた。まだ待ち合わせ時間まで30分以上はあるがあの人の声が聞こえた。
「早いね」
騎士だった。和夜も人のことが言えないが騎士がこんな早く来るとは思わず驚いた。
「騎士くんも早いね。私はちょっと早く来すぎちゃって」
「俺も」
そう言うと騎士が隣に座る。数秒の沈黙。和夜は深呼吸をし勇気を出して話し出した。
「隠してたことがあって。信じづらい話なんだけど今いる世界じゃない、遠い違う次元の世界から来て訳あって高校に通ってた。本当は、私は、21歳の社会人なんだよ」
全てをなるべく短く分かりやすいように頑張って言った。騎士の返答が怖かったが
「うん。信じるよ」
即答だった。しかも純粋な笑顔で本気でそう言っていて安心した。
「年齢とか嘘ついててごめん」
「別に謝ることじゃないよ。俺は気にしない」
「そう言ってくれてありがとう」
嫌な空気にも関係にもならずホッとした和夜は胸を撫でおろした。この後2人は夕食を一緒に食べに行って帰った。分かるだろうが騎士はいつものように和夜を家まで送った。
今度は南、茅野、メガネ、黒葉の4人に打ち明けた。騎士も一緒に居てくれた。非現実的な話だが全員、信じた。見事に信じた。
「年の差なんて関係ないわよ」
「嘘つく人じゃないって分かっているし」
「気にしない!」
「私を守ってくれた恩人に変わりはないわ」
という感じだ。騎士は和夜にいつもの爽やかスマイルで言った。
「やっぱり大丈夫だったね」
「うん」
「良かったな」
急に現れた。急に現れるといえば。
「うえええ!?マン先生!?良いんですか!?出て来ちゃって」
「コイツ等に知られる分には別に問題ない。お前等、余計なことは他の奴らに漏らすなよ。世間には潜入捜査で年齢を偽っていた設定にするんだからな」
「言われなくても漏らさないわ。あなたが和夜さんに特別な奥義を与えたのね。ありがとう」
黒葉が答えた。
「別に面白そうだったからだ。」
と言って去った。この後、敬語にするべきなのかの話になったが和夜本人ががタメ口が良いと言ったので今まで通りになった。黒葉の和夜さん呼びは最初で最後だ。




