愛しい日々をあなたに 〜魔法省特務課の事件簿〜 賑やかな暮らしになる予定〜
ハルジオが本省に戻ってくると聞き、レガルドはとある提案をアパートの大家であるミス・ポワンフルにした。
「……お前さん、本気かい?」
ミス・ポワンフルが渡された書類から顔を上げてレガルドに言う。
「ああ。改修費用は全てこちらが出す。いずれうちが退去した後は家族世帯に貸し出しすればいい。悪い話じゃないと思うが?」
「確かに大家としては美味しい話だけどさ……ホントに費用は出さなくていいのかい?」
「もちろん。こちらの都合でさせて貰うんだから許可さえくれればそれでいいよ」
「わかった、いいだろう。アタシもね、スミレや子ども達と離れたくはないからね」
「ありがとう、ポワンフルさん。いつも妻や子ども達を見守ってくれて」
「なぁに、アタシがしたくてやってる事さ。スミレは娘、子ども達は孫みたいなものだからね」
「え?俺は?」
「アンタは昔から変わらずヤンチャなただのくそガキさ」
「酷ぇな。でも確かに違いない」
「これでハルジオも嫁を連れてアパートに戻って来るっていうんだから驚きだよ。賑やかになって嬉しいものさ」
「そうだな。長生きしてくれよ?」
「若造が。アタシゃまだまだピチピチだよ」
レガルドがミス・ポワンフルに提案した内容は、
アパートの二階部分の二部屋を一世帯として改修させて欲しいというものであった。
蕾と楓が大きくなり、今の2DKでは手狭となった事と更に妻の菫が三人目を身籠った事でこの改装に踏み切ったのだ。
家を購入する事も一瞬頭を過ったが、菫も子ども達もミルルがアパートに越してくるのを楽しみにしている。
その姿を見ているとここから出て行くのは可哀想だと思ったのだ。
それならふた部屋をひと部屋にして4LDKにすれば子ども達が大きくなってもまぁなんとかなる。
本当は三部屋をひと部屋に…と言いたいところだがそれでは二階部分をほとんど占拠する事になってしまう。
将来自分たちがアパートを出た時の借り手の事も考えると、現実的ではないと思ったのだ。
ミス・ポワンフルの承諾も得たのでさっそく菫に報告するととても喜んでくれた。
「嬉しいわ。いつかはこのアパートを出なくてはと思っていたけれど、出来る事ならばポワンフルさんとお別れせずに此処で暮らし続けたいもの」
「じゃあ決まりだな。明日、さっそく業者に改装の手配をするよ」
「ふふ楽しみ」
菫はそう言ってまだ平らな下腹部を撫でた。
奇しくもハルジオの妻のミルルも妊娠が分かったとの事。
リー家の第三子とバイス家の第一子が同じ年で誕生する事になった。
そしてしばらくしてハルジオとミルルは王都へと、アパートメントポワンフルへと移り住んできたのだった。




