【ウチのギルドから聖女が出たってよ】
お読み頂きありがとうございます
今執筆中の「第一王子」と同じ世界の別の時代、別の国のお話です。
第一王子の護衛騎士が変態行動に走りそうなのでガス抜きに執筆始めました
※注 BL寄りです
お楽しみいただけましたら幸いです
ep1 生贄皇子(笑)
バルコニーから入る風にかすかに庭のくちなしの花の香が乗る初夏の朝、聖女様との初対面だと、朝から風呂に突っ込まれた。
…庭かと思ったら風呂場の香だった。
何故か朝風呂にくちなしの花が浮かび、くちなしの香料で髪を整えられ、肩甲骨辺りまで伸ばした銀髪を緩く三つ編みに乙女の如くリボンを編み込まれ(何故金のリボン?)白に金モールの飾りのついた礼服(俺、こんな礼服持ってたっけ?)を着せられの…。
今、王宮内の応接室の続き部屋でドナドナ待機中。
三日前、予言の聖女が見つかったと知らせが皇宮に届き、皇王に謁見するための予定が急ぎ組まれたが。
皇太子だけじゃなく俺とも謁見するということは…。
政略結婚のためのお見合い。
多分これ、このまま聖女との政略結婚のための婚約になだれ込むための衣裳なんだろうだろうと愚行する。
皇太子は既に結婚している。
第二皇女は教会の巫女座として教会にいる。(結婚予定なし、巫女座は未婚の皇族女性が務める)聖女の次に位が高い教会内の巫女や神官のまとめ役。
第二王子は婚約者と共に隣国に留学中 ちくしょうラブチュッチュしてるんだぜ あいつら仲いいからな。
そして俺 第三皇子、アントニオ ガヴァナー ウインズ 16歳 再来年学園卒業予定 婚約者なし(笑)。
俺の下に第四皇女、第五皇女がいるが12歳と10歳なので政略結婚の対象外。
因みにこの国、同性婚可。
もう少し自由でいたいと婚約者選定をサボっていた弊害が最悪のカタチになってやってきた。
ウインズ皇国は農産物は時給自足で地産地消を旨とし、大した産業は無かったが風光明媚な観光地で有名な国である。
人々は温厚で多少平和ボケの感はあるが勤勉で、朗らかな国民性は周辺国から脅威も野望も感じないと、多少舐められ感があるが概ね好意的に受け止めてられている。
そんなウインズ皇国の一大産業が神殿とダンジョンと聖女。
特に聖女は魔物のスタンピードを押さえ、居るだけで作物の実りを豊かにし、癒しにより人々の病や怪我や流行病に対応出来るチート能力者、鎮座益しましているだけで神殿の権威が上がりぃの、お布施の金額もうなぎのぼりに増える いいことづくめ。
そんなチートな聖女は神殿の予言によるご指名制度て選ばれる。
聖女の来し方行く末些末な事より
他者の介入不可侵。
神の愛し子の行く手を阻むべからず
神殿に詣でる信者のお布施。
瘴気祓いや魔物討伐、病の平癒豊穣祈願。
神殿ともいい関係を築いている国への収入は馬鹿にならない桁である。
国に居着いて貰うため、世帯持ちの場合は家族ごと神殿が囲い込み、独身者の場合は皇家が囲い込む そのための政略結婚、そのための皇子、皇女。
予言の聖女が見つかったとの連絡はあったが、容姿年令職業の情報は入らなかった。
何処かで情報が止められたのか? 止めなければならないような事情があったのか、謎のまま俺が生贄に決定してるっぽい。
それでこの白の衣裳?。
俺は新郎か! と、一人ツッコミを入れている所に俺の専属侍従、片眼鏡(通称)が、ノックと同時に入室した。
お前なあ、ノックの意味考えろよ…。
俺は行き場のない一人ノリッツコミをイケメンポーズに切り替える。
沈黙。
…こんな時は笑えばいいと思うよ…。
二人の間に天使が通り過ぎる。
多分大渋滞している。
「お客様が応接室でお待ちです」。
慇懃に頭を下げる片眼鏡(学生時代からのあだ名、命名オレ!)
「お客って予言の聖女?」
「……」
「皇王との謁見は終わったの?」
俺は出席しなくても良かったのか? いなくていいなら自室に帰りたい。
「私は顔出さなくて良かった?」
呼ばれて来たのに…俺の扱い軽いなあ。
「……」
「……」
「何か情報をください! 美人だとかキュートだとか熟女とか!!」
俺はなりふりを忘れた、皇子の対面も忘れた。
「……対面した時のお楽しみということで」
片眼鏡 にやり。
なんだよ! お楽しみに出来る程のイイ女子なのか? ちがうだろ! 学生時代、隣のクラスの女生徒に校舎裏に呼び出された時も同じようなこと言ってたなああああああああああ? 思い出した。
おい。
あの時はピンク頭のイカれた脳内お花畑ヒロイン女で何故か魅了の能力持ちの生贄にされたな?。
あのピンク頭、周りの貴族子弟を魅了し、俺も魅了してほかの皇族への足掛かり(俺への扱い!)にし、皇国乗っ取りまで画策していたらしく…この片眼鏡、俺の事ピンク頭の囮にしてピンク頭とその一党のしかけた魅了による皇国簒奪阻止計画を立てやがった…。
…ホント大変だった 。
おかげで怪しいカフェに連れ込まれ、一服盛られ、押し倒されて馬乗りにされたところで片眼鏡と皇室警備隊の乱入により救出された。
オレが。
片眼鏡の謀略にはまったピンク頭とその郎党は一網打尽にされ、それぞれ処罰された。
片眼鏡よ…お前は優秀で学生時代から兄上の側近にとスカウトが来ていながら冷や飯食いの三男の俺の側近になってくれたことは嬉しく思う、が! 俺を利用するのヤメテくれ。
苦情は何処に陳情したらいいのだろう?
と愚考してたら目的地到着。
…目的地、皇宮殿 第一応接室。
一番格式ある重要警備対象の為の部屋。
皇宮の煌びやかな応接室には宰相と皇太子、その真ん中に黒いデカいのがえらそうにふんぞり返っていた。
そっ閉じ。
回れ右して元の場所に帰ろうとした俺を片眼鏡が止めた。
「聖女様がお待ちです」
いや? 女性は老若、控えの侍女以外いなかったよ?
「ヘヤマチガエタンジャネ?」
変な汗出てるせいかカタコトの俺。
「聖女様がお待ちです」
こいつ二度繰り返しやがった。
「セイジョサマハイナイヨ?」
「聖女様がお待ちです」
三度言ったなお前。
片眼鏡、俺の肩を掴みそこを起点に180度回転させて扉の前に。
俺付きの護衛騎士二人が示し合わせたように観音開きの扉を開ける お前ら、俺が逃げないように示し合わせていたな? ぐぬぬぬ!
扉の向こう。
さっきはソファに座っていた3人 宰相、黒いの、皇太子の兄上が立ち上がって待ち構えていた…圧がぁ! 圧が怖いよぅ!!
宰相と兄上はともかく真ん中の黒いのの威圧が凄すぎて腰がひけていたら片眼鏡がぐいぐい両肩を後ろから押してくる。
前になんか出たくないよう!(泣)
察するに真ん中の黒いデカいのが聖女か?
…デカいよ 官僚の中でも背が高い宰相よりでかい。
並ぶと兄上が一番小さい…にいちゃん… 因みに俺の方は兄上よりさらに背が低い ショタ身長。
黒いのはイケメンというより美丈夫と表現した方がいい男前。
黒の短い髪に黒の軍服…モノは皇王の御前に出ても恥ずかしくない一級品だが、デザインが見たことない。
ボタンの位置にベルトのバックルの小さいのが付いていて着替えが面倒そうな見たことないタイプの軍服。
ブーツも揃いのバックルの付いた奴 極めつけは首回りの高そうな黒のファー、足首までの黒のマント。
何処の国王だよ! 皇王より立派だよ! 大丈夫かよ父ちゃん、聖女に簒奪される皇国なんてしゃれにならん!
それくらい聖女という名称が迷走している…聖なる人が男なら聖人でいいんじゃね?
「こちら予言の聖女、マッティア・アブン・ダンティ様 S級冒険者 南のロコロドンド領の領都の冒険者ギルド所属、32歳 独身」。
「もっと詳しく言えばロコロドンドの西の砂漠のアブン族の出身 アブン族族長の次男坊」。
宰相閣下に続き、兄上も情報ブッコンで来た。
ロコロドンドの西の砂漠のアブン族、一人でもドラゴン退治が出来るという伝説のの最強民族 強さを誇る戦闘民族の頂点の息子。
嫌あぁあああああぁぁあ!
俺の心は雄叫びで満たされ、行き所が亡くなった感情が足元にストンと落ちた。
ロイヤルスマイル降臨。
皇子教育の賜物である建前と本音分離!…コツは肩の上に小鳥を乗せるように自分の感情を切り離す。
「ウインズ皇国 皇王フェデリコ三世が第三子、アントニオ ガヴァナー ウインズ です 聖女様」
(16歳 再来年学園卒業予定(笑)未成年ショタ枠です)
淑女をダンスに誘うようなにっこりロイヤルスマイル。
しかし肩の上に分離した本音は…。
くっそぉぉお! ショタ枠美少年ビジュアルの容姿が憎い。
皇国の成人は女性はデビュタントの年の16歳 男性、貴族の場合は参政権を持つ18歳お酒は男女共20歳から。
皇族内でも厳しいと有名なマナー教師仕込みの左手で胸を抑えて30°の礼。
デビュタントのダンスのお誘いのご挨拶は女性にしたかった…(泪)。
「紹介に預かったマッティア・アブン・ダンティだ」
黒いイケメンがギロリと俺を見据える、いやぁぁあ!
「S級冒険者 南のロコロドンド領の領都の冒険者ギルド所属」
ずいっと俺の方に寄ってきて腕組みしながら品定め それ、さっき宰相から聞いた。
聖女サマに上から下までジロジロ観察されてる俺、今サンマの気持ち 鮮度の品定めされてるのか? コレ。
顔はロイヤルスマイル、背中はイヤな汗びっしより…今朝風呂入ったばかりなのに…。
「小さいな、ちゃんと喰ってるのか?」
はい?
「12歳位か? 俺は24だ、こんな貧相な子供を婿になんぞ貰えない」
ち…ちいさい? 貧相? こ…子供?
間にこそっと入ってるパワーワード。
婿。
婿 オレが嫁を貰う……?。
いや、わかっていた わかっていたんだけど…。
この黒くてデカイのと結婚すんのか政略結婚…。
嫁に貰って…。
「なんだ?」
「いえ、強そうですねぇ…ははは」
多少若すぎても年取っていても女の人が良かった…。
でも、聖女って…言ってたよね?
オレが嫁に貰うのですよね?
「あのー不躾な質問ですが…聖女認定されたら教会に入られるのでしょうか?」
「何故?」
ギロリと睨まれた!
厚が怖!
初夜に首取られる!
…初夜。
「あの、私が婿に行くのなら」
何故か一呼吸置いてしまった。
再び息をする。
「失礼な事をお聞きして申し訳ありませんが…女性「「男だ」」で……」
被せてきた!
「生物学的にも男、此処は男しかいないな、脱ぐか?」
複雑そうな留め具を秒で外してくる。
オレより立派な胸筋が凶器!
「きゃあ!」
「乙女か!」
ノリツッコミも漢らしかった。
オレの後ろで吹いてんじゃねェよ、片眼鏡!
聖女、マティちゃん、本当は皇太子のにいちゃんと同じ24歳、何故か皆32歳とか言ってくる謎は次回、まだまだ続くので、よろしくお願いします〈片眼鏡:談〉




