第21話「王国軍近衛師団」
先頭にいる男の顔には見覚えがある。
確か、王国軍近衛師団師団長のバドール・エルドリッヒ将軍。
彼は僕を見ると、眉間にシワを寄せながら話しかけてきた。
「……貴様は、勇者パーティーのデント・アルフォートだな?」
「うん。そういう貴方は、バドール将軍」
「何故貴様がここに……勇者達は、魔王討伐にため魔界へ旅立ったと聞いたが?」
「ああ、そのことか。実は、もう魔王を倒しちゃって……」
「何だと!?」
「それで、今はランド達とは離れて、今はここにいる三人と行動している」
「むっ……。そこにいるのは、エルフだな? おい、一体どういうことだ?」
バドール将軍の鋭い視線が、僕達に突き刺さる。
「バドール将軍も、エルフの里を侵略するためにやって来たの?」
「……何の話だ?」
「いえ、さっき王国軍の兵士たちがそう話していたからさ」
「あの馬鹿者共め。軍の秘密をペラペラ喋りおって……」
バドール将軍が、忌々しげに舌打ちをした。
そして、僕達の方へと近づいてくる。
「どうやら、勘違いをしているようだな」
「勘違い……?」
「そうだ。我々は、崇高な理念の元に動いている。侵略行為は、あくまで目的の一つに過ぎない。我々の目的は、この王国の繁栄に繋がる。そのためにも今回の計画は、是非成功させなければならないのだ」
「なるほど。……でも、エルフの里への侵攻することには変わりないんだよね」
「大義の為だ。仕方あるまい」
バドール将軍は、悪びれた様子もなく言い切った。……どうやら、話し合いは無駄のようらしい。
「……そっか。じゃあ残念だけど、邪魔させてもらうよ。リディアの故郷を荒らすわけにはいかないからね」
「なに? ……デント・アルフォート。国王直々の命令を受けた我々の邪魔をする気か」
「うん」
「ならば、お前も敵だ!」
そう言うと、バドール将軍は腰に差している剣を引き抜いた。
それに続いて、部下達も武器を構える。
「……子供だからといって油断するなよ。あれでも勇者パーティーの一員だからな」
「「「「はっ!」」」」
「では行くぞ! ……突撃!!」
バドール将軍の合図で、兵士達が一斉に僕に向かって襲いかかってきた。
僕はリディアを守るように立ち塞がる。
「かかってこい。全員返り討ちにしてやる」
こうして、僕とバドール軍団の戦いが始まったのであった。
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