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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第61話 魔王でキャンプファイヤー

 さしあたって必要なのは、ちーちゃんが魔王との距離を詰めて神器・蜥蜴丸を目覚めさせることですね。

 あの巨体に刀1本でどれだけ効果があるのかは不明ですが、手数が増えることが悪い結果に繋がるなんて事はそうそう無いハズです。

 というわけで、ちーちゃん抱えてダーッシュ!

 しかし、さっきもちょっと思いましたがちーちゃん軽すぎませんか?

 もっと食べて成長に必要なお肉をつけてほしいですね!

 ……あの汚姫様に作成を依頼した寓話兵装《クライナー・メルヒェン》があれば、成長も出来るようになるはずなので。


 途中、私をターゲットにした巨腕による物理攻撃も飛んできましたが……。

 「姫の茨僕《ドールレースヒェン・ファミリアー》!絡みつけっ!」

 この大量の茨を生み出す寓話霊装《メルヒェン》は何も、私の動きをトレースして拡大するだけの装備じゃないんですよ!

 そして、茨に絡みつかれ動きを止めた腕に……。

 「メリーを先に狙うなんて、許せませんの!」

 重力加速を重ねに重ねて突っ込んできたルテの一撃が突き刺さります。

 崩壊……とまでは行きませんでしたが、高速再生でもしないとあの腕は使い物にならないでしょう。


 そして、そのまま駆け抜けて肆《よん》の魔王の不気味な顔面が迫ってきたところで……。

 「おかーさん!ここで大丈夫!……蜥蜴ま、わぷっ!」

 ちーちゃんが自分から私の手を振り切って脱出し、神器の名を叫びます。

 ……なお、お姫様抱っこから脱出する際、普通に着地失敗してごろごろ転がっちゃってたのは見なかったことにしてあげましょう。

 よし、これで私の両腕が自由になりました。

 これだけ近くで相手の顔面が拝める距離となれば、八極拳を少々かじった身なればやることは決まってますよね?

 ちなみに、李書文師父曰く「|八極に劈掛を参ずれば 神鬼も怕れる《八極拳と劈掛拳両方極めたら超最強卍!》」らしいですよ?

 

 ということでぇ!

 「裡門頂肘《りもんちょうちゅう》!」

 再度、姫の茨僕《ドールレースヒェン・ファミリアー》で両腕形成し、近間から走って接近する勢いを利用し左肘を跳ね上げます。

 狙うはあの汚いツラの顎……なんですが、よく考えると脳みそがちゃんと形成されてるかわからない相手に顎狙いって効果あるんですかね?

 ……気にしたら負けですね!少なくとも打撃ダメージは入るんだからそれで良しとしましょう!って事でぇ!

 「外門頂肘《がいもんちょうちゅう》!」

 続けて、顎に強烈な衝撃が入り怯んだ魔王の脇に今度は右の肘を叩きつけます。

 あの図体では今まで逆に近接格闘による攻撃を仕掛けられたことが無かったのでしょう。

 叩きつけられる重量級の衝撃に魔王が動揺している様が見て取れます。


 そして、動揺してしまえば攻撃の手が緩むのは当然で……。

 攻撃密度が下がれば空中で水晶体《砲台》の相手をしてるルテとティアリスさんがイキイキし始めるのもまた、当然なのです。

 「あら?ダンスの相手はメリーさんだけではなくってよ。気をそらさないでくださいましね?」

 そういってかっ飛んできたティアリスさんが豪快なサイズの血の斧を水晶体にたたきつけてぶっ壊し。


 「急いで全部壊さないと、メリーが見せ場を全部持っていってしまいますの!」

 と、水晶体そのものに着地したルテが光を重力で曲げることで超密度にした明らかにヤバい玉を足元に叩きつけ、その周囲を豪快に灼き爆ぜさせました。

 ……いやあの、今の魔法は流石に初めて見ましたよ?どうやってるのか詳し……あ、現状に二重バフ状態でやっと発動させられた魔法とかですかね?

 光を重力で鋭角に曲げてるあたりだいぶヤバい出力してますからね!


 とまあ、そんな感じで水晶体の破壊は完了。

 魔王の両腕も使い物にならず、足も影に食われて動かせません。

 これは流石にチェックメイトですかね!

 当然、私も油断をせずに茨の巨腕にて殴る蹴るなどの暴行を引き続き続けています。

 八極拳使ってるなら猛虎硬爬山使えよ?

 あんな、描く人によって内容の変わってるよくわかんない技なんて使えませんよ!

 シナリオライター時代に色々調べたけど結局実態が出てこないんですよあの技!

 なお、貼山靠については私の寓話霊装《メルヒェン》習熟が甘くまだ腕までしか拡大再現出来てないので今回は使えません。

 あれね、最低でも肩、可能なら背中までの再現が出来ないと効果がないんですよ……。


 さて、あとは私の打撃とルテとティアリスさんの魔法にて削り切るだけ……!

 あ、ちーちゃんが接近できたお陰でアクティベートできた蜥蜴丸くんも顔面周辺を飛び回りながらサクサク斬りつけてくれていい感じにウザそうです。

 例えるなら、両手が塞がれてる状態で顔の前を飛び回るスズメバチ!

 ……いや、くっそ怖いですねそれ。

 

 まあ、水晶体も両腕も実は固まっただけの暗黒物質なのでそこそこな速度で再生はしてるんですが……。

 「再生能力持ちは、完全に治る前に壊したほうが効率的だってメリーに教わりましたの!」

 「間に異物を挟んでおくのも有効でしてよ?」

 と、上空のチートコンビに好き勝手やられてどうしようもなくなってます。

 後はトドメに何か大技があれば良いんですが……。

 こう、見て分かる通り私はサポート重視の構成なので大火力ブッパには対応してないんですよねぇ。

 ……大質量の茨なっこーで殴りつけるのはそれなりに高火力なのは認めますが、継続的に高火力が出せるのと、溜め撃ちで超火力が出せるのは違うんですよ!


 シナリオ(でんぱ)では、ちーちゃんが片腕を相手の眼に突っ込んだ状態で我が身を省みない最大火力の狐火で焼き払ってましたが、こんな相手にわざわざそんな大怪我をする必要は最早無いので……。

 あ、待ってください。

 最大火力の狐火……。

 確か、ちーちゃんの狐火には付加効果として「邪悪を滅ぼす」みたいなフレーバーテキストが書いてあった記憶があります。

 ゲームシナリオ内では結局、ちーちゃんがまともな魔力制御を身に付けられなかったので出番が無かった設定なんですが。

 ……この邪悪って、魔王相手に特攻入ってたりしますもしかして?


【魔王相手というか、ちーちゃんが邪悪だと思ってる相手全部に特攻】


 強くないですそれ!?

 まあ良いです、そういう事ならトドメはちーちゃんに任せてしまいましょう!


 「姫の茨僕《ドールレースヒェン・ファミリアー》!完全顕現!思いっきり巻き付けぇ!」

 用意するのは、《《薪》》となる大量の枯れ茨。

 いや、その、姫の茨僕《ドールレースヒェン・ファミリアー》で召喚できる茨って、茨であることを守れば形態や状態を好きに指定できるんですよねぇ。

 なので、今回は枯れ茨として顕現してもらいました。

 

 そして……。

 「ちーちゃん、魔王へのトドメに興味はあったりします?」

 「ええっ!?」

 導火線への着火用ちーちゃんですね。

 「大丈夫大丈夫、ちょっとこの伸びてる茨に火をつけるだけですから。怖くないですよー」

 「メリーさん、その言い方なんか変態っぽい……」

 なんかベルさんに突っ込まれましたが、変態っぽいとはなんですか変態っぽいとは!

 せっかくなのでちーちゃんに魔法を使う爽快感を学習してもらおうとした親心的な何かの結果ですよ!


 ……あとはまあ、このまま撲殺すると絵面が酷いのでなんとかこう、派手にキめたかった感というか。

 「えとえと、これに私の魔法で火をつければいいの?」

 「そうです。それでこの茨ごと魔王を燃やせば討伐完了。魔王2体目討伐の祝勝パーティーです」

 「じゃあ、やる!えっと……、端っこ握って……んぬぬぬぬ!っ!ついた!」

 

 ……まあ、魔力制御がまだまだ甘くて、握ってる指2本からめっちゃめちゃでっかい炎が伸びて火傷しちゃってますけどこれはしょうがないところですね。 

 そして、伸びた炎は魔王を覆う茨全体に燃え広がり……。

 ……これで殺しきれなかった場合が怖いですね。

 枯れ茨、常時追加していきましょう。


 そうして、盛大なキャンプファイヤーと化した肆《よん》の魔王はおよそ1時間後に完全消滅しました。

 魔法の鏡に問いかけても返事が帰ってこなかったので間違いなしに討伐完了です!

 

 なお。

 「これで魔王2体目……。なんだか、苦戦らしい苦戦が無くて実感がありませんの」

 「同意でしてよ。……多分、誰かさんが何か、《《ズル》》をしているからだと思うのですけれど」

 「メリーさんだよねぇ、どう考えても。この調子で魔王全部倒しちゃうのかな?」

 「チート乙」

 「おかーさんが頑張った結果だもん。きっとそんなに変なことはしてないよ!」

 と、私の評価がおかしなことになっていました。

 

 【さもありなん】


 なぁんでぇ!?

 得心ゆかぬです。

 


☆★☆★☆★☆


はい、2体目の魔王討伐完了です。

こっそり第1形態に戻って死んだふりして、ほとぼりがさめた頃に帰宅されても困るので入念にグリルして死亡確認しておきましたとさ。

デカかったお陰でHPが高く、少々処理に手間取りましたが快勝ということで。


狐火、特効は入りますが盛られる威力がそんなでもないのでバランスが取れてる感じです。

制御できるようになったら、多分もっと強くなるとは思いますが暫く先の話ですかね。


ということで、次回からコメントログ回ですね。

更新予定は……10月15日の木曜日20時とさせてくだしあ。

ちょっと水曜は事故りそうな予感がするのですじゃ。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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