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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第46話 帰ったらたっぷり長湯しますの!

 「寒い!寒いですの!王の新たなる(アウスツィヒ・マハト)装い《・ディヒ・シュターカー》!40%《フィアツィヒ・プロツェント》、開花《ブリューテ》!」

 「ならなぜ脱ぐ!?」

 まじか、落ち着け!

 「そして、こうですの!」

 「ちょっ!さむいさむいさむい!早く閉じてください!」

 

 外に出て装甲車の扉を締めた途端、ルテが急に服を脱いだと思ったら私のマントとコートを開《はだ》けさせました。

 でもって、その内側に入り込むと私に正面から抱きついてコートのボタンを重力操作で器用に閉じていきます。

 「これで、わたくしの魔法を強化しつつ温まれる最高の作戦ですの!」

 「……これ、裸の王様の寓話霊装《メルヒェン》的に大丈夫なんですか?ちゃんと効果発揮してます?あと、外から見ると物凄くマヌケな姿だと思うんですけどそのへんも大丈夫ですか?」

 

 私の問いに、ルテはしばし沈黙し……。

 「……どうやら失敗したみたいですの。出力が上がった感覚がなくて、メリーの温かさが伝わってくることしか利点はありませんの」

 ですよねー……。

 ト書きさんにも

 【これは流石に脱いでない判定になる】

 って言われてますし。


 「むぅ、流石に諦めますの。参の魔王とわたくしは相性が悪いってメリーが言ってた意味、今実感致しましたの」

 諦めたルテは私から離れて服を戻します。

 ……それでも寒そうですね。

 流石に極点も真っ青な気温にされてたらそりゃそうなんですが。

 ちなみに、セイラさんの運転してきた装甲車はエンジンを切った瞬間再点火出来ない状態になるので当然ずっとエンジンつけっぱなしです。

 というか、車内の暖房が命綱みたいなものですからね。


 さて、そんな寒さの中でまともな戦闘は出来ないので……。

 「とりあえず、寒さをなんとか緩和しましょう。この状態で高速飛行なんてしたら凍死しかねませんからね」

 なんとか、身体を温めましょう。

 とはいえ、話は簡単なんですよ。


 「では、今回の飛行はメリーに任せますの。わたくしは暖房と攻撃を担当致しますわ!」

 「はい、重力による補正は無いので落ちないようにしっかり抱きついてくださいね?」

 とりあえず、私がまだ戦闘機動に耐えられる筋力じゃないので空を飛ぶのは当然として……。

 「メリーを抱き上げるのは得意中の得意ですの!」

 「それを得意って言っちゃうのはどうかと思うんですが……。というか、抱き上げる?」

 ルテには、暖房を担当してもらうことになりますから。

 ……ところでルテさんや?

 どうして私、またお姫様抱っこされてるんです?


 ……まあとりあえず、移動しないと始まらないので流体操作で飛びましょう。

 まずは、私とルテを囲む《《殻》》となる層を作ります。

 後はその、殻ごと浮かせばいいだけですね。

 いやあ、猛吹雪と言えるほどに強風で助かりました。

 風の勢いをそのまま利用すれば私の流体操作の出力を押さえられますからね。

 なお、飛びたい方向の空気は邪魔にならないように薄くしてあります。

 

 で、ルテの暖房なんですが……。

 「メリー、日焼け止めは塗りましたの?」

 「塗る塗らない以前に目と鼻しか外気に触れてませんが!?いや、塗りましたけど!」

 「なら安心ですの」

 猛吹雪によって薄暗くなっている周囲が更に暗くなります。

 代わりに、私達の周辺は雲間から覗く天使の階段のように太陽の光が集まって……。

 はい、どうせ魔王が倒されるまで戦闘するのは私達だけなので、太陽光を独占して私達だけぽかぽか陽気の中戦おう戦法ですね。

 流石に魔王周辺の極低温状態には対応できませんが、周辺で存在楔《ザイン・ケイル》を破壊して回るだけならギリ耐えられそうな体感温度になりました。

 それではとりあえず準備が整いましたし、初の撃退が目的の魔王戦、行ってみましょうか!


☆


 ト書きさんの【←こっち】という指示に従って飛んでしばし。

 魔王の姿が見えてきました。

 というか、当然なんですが魔王の周囲の空気は液体になって魔王周辺に海を形成しているのでとても見通しが良いんですよね。

 空気が無いなら何があるのかって?

 【この辺から、第参世界の大気】

 ええ、はい、魔王の世界の空気があるらしいですよ?

 ……いやそんな設定知らないんですが?第参世界って何!?

 というか、つまりそれは魔王の数だけ世界があるという事なんです!?

 って、よく考えれば侵略してきてるってことは元の世界があるってことですよね!

 どうなってるんですかト書きさん!!!

 【ここに書くには長すぎる】

 おいぃぃぃ!


 「メリー、どうしましたの?」

 「……いえ、後で色々確認しないといけないことが出来ただけです。ルテは気にしないでください」

 とりあえず、今は参の魔王撃退が優先ですね。

 何より、あちらもこっちに気がついたみたいで攻撃が飛んでくるようになりましたし!

 

 私が識っている参の魔王の攻撃は、空間凍結・気温の急低下による氷壁、液体窒素壁生成・足元の《《海》》を操っての近接攻撃 の3つです。

 で、最も食らってはならないのは空間凍結で、無視して良いのは近接攻撃の《《海》》操作ですね。

 なんなら、空気中の水分は既に雪になっているので氷壁は生成できず、遠隔操作で発生させる液体窒素の壁は《《液体》》なので私の流体操作の適用範囲内です。

 つまり、魔王の撃破を目指さない限り空間凍結にだけ注意しておけば致命傷は無いということですね。


 で、破壊目標の存在楔《ザイン・ケイル》ですが……。

 「鏡よ鏡、今発生している参の魔王の存在楔《ザイン・ケイル》はどこですか?」

 鏡に映し出されたのは、まあそれなりに広範囲に林立する氷の柱の1本。

 ……あの、場所はわかるんですが見た目が似すぎててどれが本体なのか見分けがつかないんですが!?

 こういう時はト書きさんに……。

 【地味に、本物の存在楔《ザイン・ケイル》だけは魔力で創られてるので自然解凍されない】

 って、肝心な時にどうでもいい情報流してるんじゃないですよ!


 しかしながら、よく考えたらそもそも何の目印も無しに氷っぽいモノを破壊しまくるしかない他の王と違って範囲がかなり限定出来ただけでも大幅に楽が出来てるんです。

 これ以上よくわからない右目(チート)に頼るのは流石に怠慢が過ぎるということでしょう。

 ここから先はルテにお願い、ですね。


 「ルテ、見えますか?あの辺りの氷柱のどれかが存在楔《ザイン・ケイル》です。……範囲攻撃で薙ぎ払っちゃってください」

 「了解ですの!……では改めて、王の新たなる(アウスツィヒ・マハト)装い《・ディヒ・シュターカー》》!2(フュンフウント)5(ツヴァンツィヒ)%(・プロツェント)、開花《ブリューテ》!」

 あ、地味にさっきより脱ぎ度が減ってますよ?

 流石にルテの露出癖も寒さには勝てないということですね。

 それでも、全身を覆っていた防寒具がミニスカになって、上半身を北半球まで露出してるとなれば結構な際どさがあります。

 ……これほんとに25%で済んでます?というか、脱げる場所が恣意的すぎやしませんか!?


 「寒くてメリーの体温が恋しいですの!終わったら全力で温めてほしいですの。人肌で!」

 「……いや、私も寒いので一緒にお風呂ぐらいで許してくださいよ。この気温で抱き合ったって二人合わせて凍えるだけですよ」

 「むー……ですの!」

 ルテさんや、拗ねてもこれはどうしようもないですよ?

 

 「っと、流石に攻撃されますか」

 で、攻撃の為に速度を落とした私達に対して参の魔王、豪奢なローブとマントを羽織った青い肌の魔神が周囲の空気ごと私達周辺の気温を下げて来ますが……。

 「距離が遠いと発動までに時間がかかるんですよね?《《識って》》ます」

 そんな攻撃、見てから回避で余裕です。

 

 「では行きますの!メリーから見せてもらったロボットアニメを参考にしたこの魔法!誘導式多重光閃刃《リフェレンツファート・レーザー》!」

 そして、私が攻撃を回避すると同時にメリーの広げられた手のひらから何本かの光線《レーザー》が目標の上空へと飛び……。

 あ、これ炎となって無敵になるロボの奴じゃないですか!

 目標の直上に到達した瞬間、全ての氷柱に対して枝分かれした光条が降り注ぎました。

 メリーの魔法を真上から受けた氷柱はあっという間に溶解し、溶けた先の地面で再凍結しました。

 流石に目標地点の氷柱全部を破壊したので存在楔《ザイン・ケイル》も残ってはイないでしょう。

 

 しかし、魔法の固有名までつけてるということはこれ、そこそこお気に入りの魔法ですね?

 我が妻ならがいい趣味をしてます。

 ……まあ、猛吹雪の中ですし光線《レーザー》の出力を上げて減衰しても問題ない威力まで魔力を込めなければならなかったというのもあるでしょうけど。

 

 「全目標の破壊を確認ですの!……メリー、寒いので早く撤退しましょう!このままでは流石に風邪を引いてしまいますの!あ、でもメリーが看病してくれるならそれも……」

 「はいはい、バカ行ってないで帰りますよ!」

 「むぅ、結婚してからメリーの対応がしょっぱいきがしますの」

 「ああもう、私だって寒いんですよ!イチャイチャするのはお風呂に入ってから!いいですね!」

 「はいですの!たっぷり長湯しますの!」


 ちなみに、参の魔王はメリーの魔法が発動した瞬間に見切りをつけてさっさと「穴」の中へ撤退していきました。

 出現時に一緒に出てきた雑魚共はそのままに。


 ……あれ?もしかして「穴」を自由に出入り出来るのは魔王だけだったりします?


☆★☆★☆★☆


ということで、対参の魔王戦でした。

ホーミング・レー↑ザー↓

ちなみに、バスタービームはマイナス1億度なので炎となったガンバスターに掛かれば参の魔王も蟻以下の存在です。


それはそうと、9月ってこんなに涼しい時期でしたっけ?

なんか、ここ数年の記憶では10月半ばぐらいまでなんだかんだクーラー欲しいなって感じだった覚えがあるんですが……。


そんな感じで、次回はコメントログ回ですね。

更新予定は9月9日……に投稿出来れば良いんですが、ズレて10日になる可能性もあります。

最近ちょっと忙しいのでペースが乱れがちです。

次回もどうかよろしくお願いします。


次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。




最新話までお読みいただき、感謝致します。


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