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公爵家の転生侍女ですが、どうやら私はヤンデレ悪役令嬢に娶られて王妃となるようです……なんて?  作者: 禍成 黒いの


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第1話 炎に巻かれて死にました

 「あっつい!」

 階段を伏せの姿勢で登りながら心の底から叫んだ。

 なーんで、火事になんて巻き込まれるかなぁ!

 這いずるように階段を登って、段差の空間に残された綺麗な空気を吸ってなんとか生き延びる。

 ……今何階だっけ?

 まあ、屋上まで辿り着いたとしてそのまま炙られて死ぬ未来しか見えない気もするけど、こちとら好き好んで死にたいわけじゃないので。

 こちとらまだアラサーの健康優良女子なんじゃい!

 こんな所で死んでたまるか!

 屋上へ向けて階段を這いずりながら、こんな状況に追い込まれるまでの推移を思い出す。


 最初は、なんだったか……。

 三徹して意識の朦朧としてたデバッグ担当が急に窓に駆け寄って叫んだ事だったと思う。

 「魔法少女と炎の精霊が戦ってる!」とかなんとか言って。

 そんときゃ、三徹の影響でなんかよくわかんないものでも見えてんのかなぐらいに思ってた。

 ……炎の精霊云々は多分、火事の事だったんだろうなって今ならわかる。

 魔法少女はまあ、幻覚でしょ。


 で、その後は早かったね。

 なんかあっという間に煙が充満して火災報知器が鳴って。

 完成したシナリオデータを速攻でUSBメモリに避難させて非常階段に走って。

 ……で、なんでか非常階段が崩壊して。

 私はシナリオライターだったから、自分の書いたテキストデータさえなんとかなればーぐらいの考えでさっさと職場を脱出したから良いけどさ。

 他のみんなはどうしたんだろうね?

 ……この階段に誰も追いついてきてないトコから想像は付くけど、考えたくない。

 

 なーんで、もうちょいでマスターアップって時にこんなさぁ!

 これは名作ができた!って思える作品だったのに!

 というか、消防はなにやってんのよ!サイレンの音が遠いんですけどぉ!?

 しかもなんかスマホの電波止まってるし!何なの!?通信障害!?こんな時に!?

 ……正直、恨み言でも吐きながらじゃないとやってらんない。

 やってらんないというか、すぐそこまで迫った死の恐怖で動けなくなっちゃいそうだから。

 

 くっそぅ、乙女ゲーに見せかけて攻略対象が全員悪役令嬢な百合ゲー、絶対ウケるはずなのに!

 この手に握った超絶会心の出来のシナリオが世に出ない可能性を考えるともう、はらわたが煮えくり返る。

 この怒りを生きる原動力に、なんとか屋上に辿り着いて消火を待つんだ!最悪、なんとか隣のビルとかに飛び移って生き延びる!

 そんな事を考えながら必死に階段を這い登る。


 ……ただ、世の中そんなに甘くなかったみたいで。

 

 必死に這ってた階段がヤケに熱い、このままじゃ床に触れてるだけで火傷する!なんて思った瞬間に足元が崩れた。

 当然、私の身体は炎に包まれた階下に真っ逆さま。

 運良く……いや、ここは運悪くかな?

 落下の際に上手いこと瓦礫のスキマに入ったみたいで大きな外傷とかは負ってないみたい。

 ……だから、焼けた空気が肺に流れ込んで呼吸が出来なくなる苦しさと、炎に包まれて全身が焼ける苦痛を全部味わうことになってる。

 

 あついあついあついあついあついあついあついあつい!

 

 脳みそはもうその単語でほとんどが埋め尽くされてる。

 くっそぅ、私の人生これで終わり!?まだなんかあるでしょ、ほら!

 ……それが、私の記憶にある最期の思考だった。

 焼ける身体と酸欠で意識が途切れる……。

 ただ、なんか、その瞬間に声が聞こえた気がし……。


──『見つけましたの!わたくしの最愛のひと!』

  『ああ、もう離しません!御主人様!』

  『ずっと一緒にいるって言った。ずっとって言った!』

  『今生も、次の生でも、幾度輪廻してもわたくしめと一緒に!』

  

 ……あの、なんか台詞やけに重くなぁい!?

 

☆★☆


 とまあ、そんな感じの前世の記憶をたった今思い出しました。

 どうして思い出したかって?


 ……私が書いたシナリオで一番気に入ってた悪役令嬢(ヒロイン)が目の前に居るからだよ!!!!






☆★☆★☆★☆


ということで、新作でございます。

転生物とか初めてですので、色々至らぬ点はあると思いますがなんとか面白く仕上げていこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。


本日、4話まで公開しております。


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