第83話「転・タンポポ」
世界種ザナドゥが鏡映しに反射したのは死神だった。
「コイツが視えない間、ノートで悪さしてたのか?」
GM姫が疑問に思ったが、桃花は心揺らいだ後、冷静に分析する。
「いや、こいつは今さっき話してた〈殺す・死ね〉を恐らく反射しただけだ。そもそもこいつは〈何でも〉反射出来る、まずその〈何を反射させるか〉の主導権を握らないと……」
桃花の目に神界に居るはずの視えない死神が視えたとしても、それは能力のごく一部だろう。問題は何をアナログ的にもデジタル的にも反射させるかの命令権だ。
それを自身の手でコントロール出来ない限り、本能と感情のままにそのまま、それこそ無感情でこのカラスは鏡映しにしてしまう。
桃花はその辺のタンポポとその綿毛達を取って世界種ザナドゥに見せる。
「じゃあ世界種ザナドゥに命ずる、この1輪のタンポポを千本とかに反射して見せて。別に万華鏡でも何でもいいけど、デジタルでもアナログでも良い。重要なのは死神からタンポポに切り替わるかどうか」
元ネタはここ、光の守護者を途絶えさせてはならない。
カラスのザナドゥは「カァー!」と、解ったー! と言って早速、その反射作業を始めた。
「さて、ザナドゥの結果は後で解るとして。次は黒煌颯護と白玲渚の神経問題だ」
GM天上院姫が進行する。
ブロードこと颯護と、レイシャこと渚の薬と神経問題について言及する。
恐らく、薬を服用して言動として「役に立っていない」とか言っているが。それは神経との対話が上手く出来ていなかったからだと思われる。別に毒でもないし列記とした薬なのだから、話せば解るはずだ。整骨院の医者との会話もそう、要するにコミュニケーションのズレ。
問題だったのは渚が〈元祖神経使い〉だった所を忘れていたところだと思う。あと、その能力を出来ることを信じていなかった……というか空想だと思っていたこと。
風と神経の対話という珍しい現象かもしれない。
故に必要なのは颯護と渚の対話だ、ただしこの場合、お見通しというか内容が筒抜けなため物語作りとは非常に相性が悪いし〈作劇なため〉、なので舞台裏の本音が万が一にも消えたら困るので。この2人の会話はアナログのノートで書けば良い。
着飾らない混じりっけなしの本心で、ノートに書き連ねて置けば、それは純粋無垢な本心による対話なので嘘や誤解は生じにくい。何より消えないし、例えPCが古くなって総入れ替えしてもノートなら残る。情報の長期保存という意味でもそのほうがよかった。なにより、これは風と神経、颯護と渚の2人だけの対話なのだからその方が良い。
「という訳で、颯護の神経管理を渚が操作するというという名目で白玲渚には〈無条件神経補佐〉のスキルを与えます。自分の体との相談はそっちのノートでやって」
GM姫はそのように言う、こういう表現をしているが、簡単に言うと「イチャつくならノートでやって」という意味である。本心過ぎて作劇にならない。
《白玲渚は〈無条件神経補佐〉のスキルを得ました!》
「ところでさ、この令和って、命令の令と和ってことだよね? そもそも命令してる気が無いんじゃが……?」
マスターは確かに支配者の意味だが、別に支配はしていないし、従者と使者の関係もない、かなり平等だ、序列などない。ことを姫は言うのだが。
「いや、創作ではそうなんだけど現実ではアレなんでしょ……」
と、貴族なにそれ美味しいの? といった風である。
「まあ、なんというか命令出来る立場にあるというのは何となく察してきているというか……」
かと言ってそれをゲームや法的システムでどう表現するかは微妙な所である。
もちろん、和の発想を拡めるという発想自体は全然正しいのだが……。他人が勝手に拡めるのは想定外だったので。汚染想子とは違う所ではあとは思う。
何にしても、爵位による上下や、職業の階級による上下の〈命令〉については考えたこともなかった。
「とはいえ、令和8歳の子供に何を命令するねんって話なんじゃけどね……」
生んだ覚えすらないのに何を命令するねん、という話ではある。まあある意味自我が芽生えてきたとも言うが。
「まともに動けるのが平成世代ということになるけど……そもそも、平成生まれは日本だけに当てはまる訳で、海外は違うよね暦?」
タイは民国115年、仏暦2569年、太陽ヒジュラ暦〈イラン暦〉とか色々ある。
で、周りを見渡してから立ち止まって考えて、ディズティニー、運命から始まったのならと思い姫は。
「ふむ、宇宙刑事がここは任せてくれとお願いするのなら。この件……じゃあテイルズで始まったならデイルズで決着を付けよう。桃花、それまで29番で心揺らがないで」
と、桃花にまた制限をかけた。
「了解、ちょっと時間かかりそうだしね」
桃花もこれを了承し、ここで区切ることにした。過去に何かあったんだ、しかもかなり根深い……今はそれしか解らない。
次章――テイルズ編へ。




