10話 長い階段
マークルに連れて行ってもらった場所はまた地下。今度は明かりがあって歩きやすかったから良いけど、暗くて何も見えないのに階段とか渡りたくない。
「階段長くない?」
「後五千二百段くらいだ」
「ちょっと休もうよ。というか、全部で何段あるの?なんで数分かるの?」
「全部で七千九百五十段」
ここは人が使っていた施設なの?
残りが五千二百段なら二千七百五十段くらいは降りているって事だよね。
それは疲れるよ。
「このくらいで疲れるとは体力ないのぅ。わしはまだ全然余裕だぞぅ」
「クマのぬいぐるみはずっとぷかぷか浮いてるだけだからね」
「言い方ツッコミは無しかのぅ」
「……」
「……十分くらい休憩しよう」
二千段で十分ってもっと休憩欲しい。ていうか、乗り物欲しい。
あの人はどうやってここを降りたの?まさか歩いて降りた⁉︎
……流石に今の私みたいに歩いて降りているわけないか。何か乗り物とか他の道とかあったんだよきっと。
「クマ、じゃなくてマークル」
「なんだ?」
マークルに聞けば分かる事よね。なんで直ぐに思いつかなかったんだろう。きっと、この階段で疲れてたんだ。
「ここって昔の人はどうやって渡っていた?」
「自力」
「……何時間かけて?」
「早いと五分」
「……どうやって?」
「走って」
「冗談?」
「じゃない。急いでる時は身体強化を使って走っていた」
そういえば、今と違って多くの魔法を使えていたんだった。
「そろそろ休憩は終わりだ」
「えー」
まだ休みたいけど、降りていかないといつまで経ってもつかない。
その後は千段おきに五分休憩をしながら長い時間かけて降りていった。