表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大量怪奇少年  作者: リョウゴ
第二怪奇 高校一回目の学祭
14/20

対霊道具(仮)



 そりゃ教室の角が真っ黒に染まってってたら誰もがビビるわ。怖いわこれ。


「逃げることも出来ないんじゃなぁ」


 扉も、紐がしっかり絡みついて、黒くなっていた。紐から色が滲んでいく感じで本当に扉が黒くなってしまっていた。


 さっきの超強光が出るライトを当てるが、どうも効果は薄い。それでも少し避けるのは元になったものが人だからだろう。


 この感じだと、もっと人じみた幽霊なら人が嫌うことをすれば何らかの反応をするかもしれないので、もしかしたらこのライトは無駄じゃないかもしれない。


 取り出したのはお札の束。なんか変な文字が書いてある、安物。しかもペラペラで、投げたりしたら空気抵抗であらぬ方向へと飛んでいくレベル。本当に薄い。


「いよいっしょぉっ!!」


 その束を解いてドアに向かってバラまく。黒いのにギリギリまで近付いたが、どうも攻撃の意志はないのか何もしてこなかった。


 そして御札は効かなかった。そりゃそうだ。加えて真っ黒に一瞬で染まった。


 そりゃ、そうだ。


「ててれてー、スタンガン(改造済み)ー!!」


 次に取り出したのは何の変哲もないスタンガンである。そもそも持ってるのがおかしいが、こう言うの纏めて売ってる個人経営の店が割と近くにあったのだ。


 御札もそこで買ったし、ライトもそこだ。


「説明しよう! 改造は出力を上げることを目的として行われたマジでヤバいスタンガンなのだー、ワイヤー射出できるよ!!」


 因みにこれ、改造済みで売られてました。物騒な店だ。


 無駄にテンション上げてみたけど、無駄に疲れるので止める。スタンガンのワイヤー射出スイッチのロックをはずしてから押す。


「………えい」


 真っ直ぐ黒い紐に飛んでいくが、外れて真っ黒なドアに当たる。それから黒い紐が絡みついて、引っ張ってきた。しかもワイヤーを黒く染めながら。


「えっ」


 動揺しながら電気を流すスイッチを押す。一瞬甲高いバチィッという音が鳴って光り、その光が収まるとワイヤーが真っ赤になっていた。


 黒い紐は地面に落ちて、それから動かないが、黒くなっていたドアはそのままなので、黒霊相手にしか使えない。黒霊が干渉したものに対しては効果無くとも、霊に効くというのなら有用と言えるかもしれないが────


「連続使用したら燃えそう……」


 真っ赤で放熱するワイヤーをボタン一つで回収しながら呟いた。ワイヤーはゆっくり回収されるので掃除機のコード回収の時みたいなあらぬ方向に跳ねるなんていう心配はない。


 て言うかスタンガン熱くなってる、連続使用は良くないな絶対に。


 さて、まだまだ対策として買ったり作ったりしたものはある。


「じわじわ広がってきてるなぁ」


 怖くないかと言えば、確かに慣れてきてしまったかも知れない。何せ黒霊も割とその辺を彷徨いているし、あの時みたいに積極的に害を与えようとはしていないように思えたからだ。


 もちろん、慢心かも知れないが。


「次はーっと」


 白いペイントボール。当たると炸裂して白いインクをぶちまけるやつ。丁重に箱で保管していますよ?


 それをえい────ドアに当てた。


「うわ、一瞬で黒くなった……無駄じゃないかよ……」


「おーっ? 困ってるか?」


「はい、まあ、今すぐどうとかじゃ………って、ええぇ……」


 窓の外から中へ乗り出すように、特殊現象対策課の女性は俺を見ていた。


「なんだ、私いらないか? いらないなら何もしないぞ!!」


「……そこ、安全なんですか?」


「ぜーんぜん? 寧ろお前だとそこにいるより死ぬぞ?」


 じゃあ平然としてるあんたは何なんだ……。特殊現象対策課の人間は化け物なのか……??


「どうしたらいいですかね?」


「殴ったらいいよ! いけるいける!!」


 ……本気で言ってるのかな?


「……疑うのか? この私を?」


「……信じますよ?」


「おー、やったれー!!」


 子供っぽいこの人を一応、一回、信じてみる。


 一応腕立て伏せとか、自主的に出来ることはやっている。自室が高い位置にあるのを利用して、階段で移動したり、だとかもやってる。


 お陰で少しは体力があるつもりだ。こう言うときのために鍛えてるのだが、正直素手であの扉に触れるのは憚られた。


 覚悟は決まった。鞄を背負う。


「……せぇのっ!!」


「おおおおおー」


 気の抜けた応援? の声を上げる女性を出来るだけ無視して、助走を付ける。そして黒い床を飛び越えるように───跳び蹴り。


 ガシャァァー! と音が鳴るが、びくともしない。


 おいちょっと────!?


 目だけで女性を見ると腹を抱えて大爆笑しながら手を滑らせて落ちていっていた。


 黒い紐が、俺の体を絡め取る。手を足を床に縫いつけるように。


 それと同時に、ポケットが光る。


「畜生………っ」


 思わずそんな声が漏れた。使いたくはなかったのだ。あの忠告だけでなく、何か、何か大切な物が喪われていく気がして。


 黒い紐と床がその光に当てられて、剥がれてバラバラになり霧散する。


 この御守りだけは、信用も信頼もしているからこそ、すぐに対処が出来る。俺は起き上がり廊下へと出た──




 ──その先はまた教室。


「ふざけっ………」


「あーバカなやつ笑ったら私も嵌まっちゃったじゃないかーっ! どーしてくれる!」


「てめぇ……」


「あー、わるわるー。私だったら一殴りだった。それだけだよー」


「そうかよ」


 大薙さん、この人に協力してもらうの、無理じゃないですかねー……。


「にしても──あははっ、何もねーって思ってたけど、持ってんじゃーん、良い () () !!」


 一瞬で俺のポケットから御守りを盗みとった女性が、御守りを見てそう言った。


 ─────キレた。


 本気で、自分でも分からない地雷を踏み抜かれた。そう言うことだと、後から思ったが。


(いた)(あつ)っ!!」


 射出式スタンガンのワイヤー射出しながら女性の顔めがけて振り回した。


「……道具、じゃねぇよ」


 当たった瞬間に回収ボタンを押す。遠心力に流されながらも確実に太めのワイヤーが回収されていく。


「い、いたぁ……なにしやが」

「つぎ、あれを道具って言ったら次は、これ本来の使い方をするからな」


「や、やってみろよ」


 逆手に持ったスタンガンを女性の額に当てたというのに、この態度。


 だから俺は


「返せ、それ」


「………ん」


 スタンガンを引いて、何も持ってない左手を女性に向けた。割と大人しく女性は御守りを返してくれた、が。


「あー、いったぁ。腫れてるよ……まったく、どういう育ち方してるんかなー私は年上だよ??」


「少なくとも敬える相手じゃないとは思ってる、あと次はマジで撃つから」


「はははっそりゃこっわ」


 ………何で笑えるのかねぇ。今、俺は笑えないや。




 気持ちを切り替えるように教室を見てみると、黒霊の気配はしない。


「どうするか……」


「んなの、大元を殴ればいーんだよ」


「この人、アホじゃなくてバカで脳筋なんじゃないか」


「馬鹿じゃねーし。オーナギの言う、えっと、、、レトルトグッズが元凶だろ?? だろ???」


「…………」


 ひょっとしてオカルトグッズだろうか。


「なんだそのバカにした笑い!!」


「………そうそう、それだよ」


「話し逸らすなー!! ってあれ? 合ってた?」


「違うけど」


「違うんかー!!」


 適当に対応しながら、考える。教室大丈夫かな……。


 ここに囚われた事は、多分この女性が大元の何かを見つけたらこの事態が終わるって言う事に直結してると、俺は確信している。


 俺とこの人を引き離したのは、土田さんという元凶を知られたら拙いって判断だろうから。まあ、黒霊にその判断が出来るかどうかだけど……。


「まったく、、、かかってこーい!」


 シャドーボクシングをしている女性の動きを見るに何か、本能的に危険を感じられる気がする。例え理性のない者でも。


「話が通じないし、霊は殴ったらいいの一点張りだし、俺はこの事態を穏便に」


「おい、カダ」


「なんですか」


「思い付いた、いいこと」


「………そうですか」


「なんだー、ちゃんと聞けー」


「ドアの向こうに突貫、とかなら嫌ですよ。とてもここ、安全地帯っぽいですし」


「───なんだ、わかってるじゃねーか!!」


「うわぁぁぁぁあああ!!!」


 俺は頭を抱えた。


「よし行くぞ! へーき! いけるいける!!」


 女性は俺を、抱えた。


「マジかぁぁぁ!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ