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異世界に来た陰キャだが何するんだよ  作者: ジンシマ


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俺の名前と新しい居場所

冷たい空気と、湿った岩の感触。 「ん……? ここは、洞窟か?」 小葉島こばじまは目を覚ました。体を確認するが、特に変わった様子はない。しかし、震えるほどの寒さが彼を襲う。 「なにか着るものは……」 そう呟き、辺りを見回したその時だった。

「わっ! びっくりした!?」 目の前にいた少女が、飛び上がるほど驚いて声を上げた。 「あぁ、ごめんごめん。私の名はリーガス・アレナ。よろしくね! というか、なんでこんな所にいるの?」

小葉島は戸惑った。ここは自分の知る世界ではない。咄嗟に「別の世界に来たんだ」と理解した彼は、いっそ名前を変えてしまおうと考えた。 (好きなゲーム『ケリシアの秘密』の、ンガラってキャラの名前を借りて……) 「何モジモジしてんのよー!」 「あ、ああ、ごめん! 俺の名前は……ケリシア・ンガラだ!」

「ケリシア・ンガラ? 変わった名前ね。よろしく、ンガラ!」 女子と話す習慣のなかった彼は、アレナの屈託のない笑顔にどう答えていいか分からず、「お、おう……」と短く返すのが精一杯だった。

アレナに連れられ、俺は「旅人用の宿屋」に到着した。そこで待っていたのは、アレナの母親である女主人だ。 「ここは宿屋だよ。アレナは私の娘なんだ。ワッハハハ!」 豪快に笑う彼女を見て、俺は失礼ながらも(このお母さんの顔から、どうしてこんなに可愛い娘が……?)と驚きを隠せない。

「何よその顔。……あぁ、ところで、お父様はいらっしゃらないんですか?」 俺の問いに、女主人の表情が少しだけ翳った。 「夫はね、試練に挑んで死んでしまったのよ」

彼女が語るには、この世界には「神の使い」になるための過酷な試練があるという。ンガラの元いた世界では考えられないが、夫は1万2826人もの参加者の中で15位まで上り詰めた強者だった。しかし、その時悲劇が起きた。

「悪魔属性の魔獣、サタンオーガが現れたのよ」

神を邪神として忌み嫌うその魔獣は、必殺の魔法『デビル・サンダー・ストーム』を放ち、ンガラの父を骨すら残さず消し去ったという。 「なるほど……それはお気の毒に……」 ンガラは、この世界の厳しさと「属性」という概念の存在を初めて突きつけられた。

無知な俺のために、女主人はこの世界の属性について教えてくれた。 水、氷、風、雷、炎、溶岩、大地、魔、聖、悪、リーフ、メタル、ベノム、天使、悪魔。 そして、そのどれにも属さない「無属性」。

「属性はそれぞれ進化するんだけど、無属性だけは例外よ。使い手は少ないわ。なぜか、み。んな殺されるか失踪してしまうから……理由は誰にもわからないの」

(怖すぎる……闇が深そうだ……) 俺は背筋が寒くなるのを感じた。

とりあえずの居場所を確保するため、俺は宿屋で働き始めた。 「洗濯か……前の世界じゃバイトなんてしたことなかったけど、案外楽しいな」 慣れない手つきで作業をしていると、隣でアレナが手をかざした。すると、濡れていた服が一瞬にして乾いていく。

「アレナ、それは?」 「これ? 水属性の魔法『ウォーターオペレーション』よ。水分子を操作して、服から水分を抜いているの」 「へぇー、便利だな……。俺もできたりするのか?」 「水の精霊に認められれば、できるはずよ」

魔法。その響きに、俺の心は踊った。 「だったら、その精霊に合わせてくれ!」 「いいけど、洗濯が終わってからね!」

異世界での生活は、まだ始まったばかりだ


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