第41話 新たなスタート?
次の日、俺はライアン達と合流するため地上へ向かった。
エラが待ち合わせ場所を教えてくれたのでその場所へと向かう。
俺にとっては4日ぶりの地上なわけだが、オセアンの町に変化は特になかった。アカリのおかげでクラーケンの被害は地上にはそれほどはなかったはずだしね。
「タクミー!!こっちこっち!」
待ち合わせ場所である町の広場へ行くとルーシーが手を振って合図を送ってくれた。
なんか久しぶりにみんなを見たような気がするな。実際そうだけど。
「タクミ大丈夫だった?3日も起きないからみんな心配だったんだよ?」
ルーシーが声を掛けてくれる。
「ちょっと疲れがたまってただけさ。それよりみんなの方は大丈夫だった?」
あれだけ高魔力の衝突があったら周囲に影響があってもおかしくない。
「それはタクミの魔法のおかげで大丈夫だったわ」
そういってソフィアは頷く。俺が気絶した時にも魔法は解けなかったみたいだし一安心だ。
「そういえば王都の調査員が来たってエラから聞いたんだけど」
「タクミが倒した次の日にやってきましたわ。で倒したクラーケンのところへ連れて行ったりしましたの。実物を見たときにはかなり驚いておられましたわ」
と、オリビアが教えてくれた。
「で、昨日タクミが起きたことを伝えたら、すぐにでも話を聞きたいから今日の夜来るって言ってた」
ライアンの話を引き継ぐ形でステラも教えてくれる。
「分かった、今日の夜か」
「ああ。ただその前に僕たちからも聞きたいことがあるんだ」
ライアンが真剣な顔で言ってきた。
「ん?何のこと?」
「タクミがクラーケンと戦っているときに現れた女の人は一体誰なんだ?」
「あ、見て、、、るよね」
みんなにバレました。
ーーーーー
立って話すのもなんだからということで俺たちはオセアンに来たその日に行ったお店に再び入った。
「それで、あの女の人は何者ですの?」
料理を注文したあと早速オリビアが切り込んでくる。
「どこから説明すればいいのかな」
この際、正直に話そうかなとは思ってるんだけどいかんせん話すことが多すぎてどうすればいいのかわからないな。
「タクミがエラちゃんたちを逃したあと、クラーケンの前から突然消えたと思ったらメイド姿の違う人が現れたから驚いちゃったよ。で、あのその人が倒したと思って近づいたらタクミが気絶してたってわけ」
ルーシーから見たらそうなるよな。
【どう説明すればいいと思う?】
【私が姿を現しましょうか?皆様にとっても本人が出てきた方が早いでしょうし】
俺はアカリの提案に乗ることにした。
「とりあえず本人に出てきてもらうね」
「「「本人??」」」
全員が首を傾げた。
「うん本人。名前はアカリって言うんだ」
【出てきて】
【かしこまりました】
その言葉と同時に俺の後ろからアカリが現れた。いつも通りのメイド姿だ。
「ご紹介に預かりましたアカリです。いつもご主人様がお世話になっております」
アカリが挨拶をする。
「「「えぇぇぇぇーーーー!?!?!?!」」」
ーーーーー
それから俺とアカリはこれまでのことを全てみんなに話した。
ある日突然この世界に連れてこられたこと。その日に古本屋で買った本が突然喋ったこと。
アカリがルーシーを助けたこと。(これは俺も初めて知った)
アカリに頼んで色々な魔法を使っていたこと。
そしてアカリが俺と入れ替わってクラーケンを倒したこと。全てを話した。
「、、、ってわけだ」
話し終えるとみんなが沈黙してしまった。
やっぱり失望させちゃったかな。今までやってきたこと全部俺じゃなくてアカリのおかげだったわけだし。
「みんながっかりしたよな。もし迷惑なら俺このパーティーやめるから」
「ちょっと待ってなんでそんなこと言い出すの?迷惑なわけないじゃん!」
ルーシーが慌てて俺を止めた。
「え?」
だって俺の魔法じゃないんだぞ?
「タクミの話を聞くとアカリさんは魔道具ってことでしょ?そしたらその功績は所有者であるあなたのものなのは当然じゃない」
ステラの言葉にみんなが頷く。この世界の考え方としてはそうなるのか。
「でも、、、」
「皆様がおっしゃられているように私は魔道具の一種です。それに私を扱うことができるのはタクミ様あなただけです」
「どういうこと?」
「そうですね、タクミ様、私に何か魔法をかけるように言ってください」
なんでそんなことを言うのかわからないが、とりあえず言われた通りにした。
[アカリ、このコップの中の水を凍らせてくれ]
[かしこまりました]
いつものように頼むとアカリは魔法を発動してコップの中の水を氷にした。
「これが一体どうしたんだ?」
「皆さんの反応を見てください」
みんなの方を見ると全員が驚いた顔をしてアカリではなく、俺の方を見ていた。
「タクミ今なんて言った?」
ソフィアが質問してくる
「何ってコップの中の水を凍らせてって言っただけだぞ?」
俺は首を傾げた。
「そう言ったのか。僕にはさっぱりわからなかった。」
ライアンが納得したように頷く。
「やっぱりタクミってすごいんだね!!」
ルーシーが明るく褒めてくれる。
[これが答えです。魔法陣も日本語で組み立てられているように、私の魔法を使えるのは日本語を話せるタクミ様だけなのです]
確かに自然に理解できるから意識してなかったけど、この世界言語が違うんだった。
[だからこの力はあなたの物だと思っていただいていいんです]
その言葉で俺は胸のつかえが取れた気がした。どこか他人の力のように思ってたけど、自分の力だと思っていいんだな。
「みんなありがとう。これからもみんなのために頑張るよ」
そう言うとみんな笑顔で頷いてくれる。話してよかった。
そして、なぜか俺にはここが冒険者としての人生のスタートだと思えた。
ここでの話はパーティーの中での秘密にしてもらい、話にひと段落ついたその時、アカリが日本語でとんでもないことを言い始めた。
[これでタクミ様のことを皆さんにたーくさんお話しできますね。フフフフフフ]
[お前いきなり何言ってんの!?]
爆弾発言に俺は思わず大声を上げる。
「今アカリさんなんて言ったの?」
ルーシーが禁断の質問をした。その質問はしちゃいかん!!!!
「それはですね、タ」
「はいストーーーーーップ!!!!」
「えーータクミのケチ!!」
「この話だけは教えるわけにはいかない」
「いいもん!あとでタクミがいないところで直接聞くもん」
「はい、あとでガールズトークに花を咲かせましょう!あと呼び方はアカリでいいですよ、なんならアカリンとかあだ名でも!」
「、、、お前俺の魔道具なんだよな?」
「、、、なんの話ですか?」
「裏切りやがったなこの野郎!!!」
「タクミ!アカリお姉様にそんな口を聞いてはいけませんわ!」
なんとオリビアまでアカリの味方をし始めた!
というかお姉様ってなんだよ!
結局心配事が増えただけじゃねぇか!




