第40話 決着
「うおぁ、、アカリ容赦ねぇ、、、」
書斎の机から見守っていた俺はそう呟いてしまった。
最初の小手調べの時からお互いの攻撃が化け物じみていてかなりビビった。
アカリなんか吹っ飛ばされて空まで飛んでいくし、あれ一応俺の体なんだよな?
ほんとに無事体が戻ってくるのかかなり心配だった。
途中アカリがやられたと思った時は死んじゃったのかと思ったし、俺もここに閉じ込められるのかとヒヤヒヤしたぜ。
まあ火の玉状態のアカリが戻ってきた時には「あ、クラーケン終わったな」と口走っちゃったよ。
自然法則を無視しまくってるし、あれがもし地上だったらアカリがその場にいるだけでオセアンの街は火の海だ。
事実、そのあとはひたすらアカリがクラーケンを追いかけ回し、ボコボコにやっつけるという悲惨な状況になっていた。
これ本当は言いたくないけどアカリ、クラーケンを追いかけている時めっちゃ笑顔でした。はい。
【タクミ様!クラーケン討伐完了しました!】
アカリのハキハキした声が聞こえてくる。
机に映し出されている画面を覗くとクラーケンはひっくり返った状態で動かなくなっていた。
いたるところに火傷の跡があるから、相当アカリにやられたんだろうなぁ。御愁傷様です。
【あー、お疲れ様です。怪我などは大丈夫でしょうか?】
【なぜ私に向かって敬語なんですか?】
【それは、、、、】
クラーケンを追いかけ回す姿が怖すぎたとは口が裂けても言えん。
【まあいいです。これで私の出番は終わったのでそろそろ元に戻りましょうか】
【了解。どうやって戻るんだ?】
【戻るのは入れ替える時に比べたら簡単です。私がタクミ様の体から抜けたら自動的にタクミ様の心が元に戻ります。】
【わかった。お願いしていいか?】
【かしこまりました】
その声を聞いた途端俺は意識を失ってしまった。
ーーーーー
モゾ、モゾモゾ
うーん、頭がくすぐったいな、、、zzz
モゾ、モゾモゾ
なんだよこれ、、、zzz
モゾ、モゾモゾ
いい加減にしろ!!!
頭にまとわりついているものをどかしてよく見ると、、、細かい足を猛スピードでばたつかせるダンゴムシみたいなあいつがいた。
モゾ、モゾモゾ、、、シャリ
またお前かよぉぉぉぉぉぉ!!!!
俺が叫んだ直後、ドアを開ける音が聞こえた。
「あ、タクミ起きたん!?うち心配しとったんだよ!!!!」
いきなりエラが抱きついてきた。
うん。状況がさっぱりわからない。
エラから話を聞くと、戦いが終わったあと、エラたちが駆けつけたら俺は気絶した状態だったらしく、慌てて俺をエラの家まで運んできてくれたそうだ。
ちなみに今俺が寝ているのはこの前女子組が泊まった貝殻の部屋だ。
エラパパはあの深海部屋へ連れて行こうとしたみたいだが、エラとエラママが全力で止めたらしい。俺としては助かったが、こいつがいる時点で意味がないな。
「それが今から3日前の話やねん。それからずっとタクミは寝てたんよ」
「3日!?俺はそんなに寝ていたのか!?」
3日も寝続けるなんてどれだけの疲労だったんだ?
【クラーケン相手の戦闘でしたからね。タクミ様の体にも疲労が蓄積してしまっていたようです。もちろん回復魔法等で健康面はありませんのでご安心ください】
【アカリも無事でよかった。怪我とかない?】
【ええ、タクミ様が寝ている間私も休ませていただいたのでもう大丈夫です。】
これで一安心だ。
「そういえば、みんなはどこに?」
「ルーシーちゃんたちは今オセアンにおるよ。クラーケンの素材回収だったり、王都から来た調査員の手伝いとかしてるみたいやねん」
「王都?なんで王都から調査員が来るんだ?」
俺が質問するとエラは呆れたように首を振った。
「タクミって意外とバカやね。クラーケンが現れたゆうたら国の一大事やで!お偉いさんが来るのも当然や」
「なんか大事になってきたな」
「とにかく、今日は大人しく寝とき!明日みんなに来るようにゆうとくから」
「ああ、分かった」
正直まだ体が重いしそうしたほうがいいな。
「最後にタクミ。うちのオトンとオカン助けてくれてほんまにありがとう!タクミがおらんかったら2人とも死んじゃってたかもしれへん、、、」
「気にすることないよ。大したことないし」
ほぼ全てアカリのおかげだからね。
「大したことあるからお礼しとるんやけどね。とにかくゆっくりしてや!」
エラは笑顔で部屋を出て行った。
【タクミ様がいなければ助からなかった。ですか】
【どうした?アカリのおかげだから少し違うのはごめん】
【いえいえ、そこは別にいいのですが、そもそもタクミ様がイカを食べなければこんなことにはならなかったなあと思って】
【イカ、、、、、、あ!?】
すっかり忘れてた!海に潜った初日に食べたな。で、イカを襲うとクラーケンが、、、
【、、、完全に俺とルーシーのせいじゃん】
【どうします?私の魔法をもってすればこの秘密など簡単に】
【それだけは、、それだけは勘弁してくださいアカリ様!!】
【どうしましょうかねぇ、その代わりにうっかり中学3年生のラブレターの方を音読してしまうかもしれません】
【やめろぉぉぉぉ!!!】
俺は一体いくつ弱みを握られればアカリの気は済むんだ!?




