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第29話 解決の糸口

「それで君たちは今どんなクエストをしているんだ?」

 食事が落ち着いてきたタイミングでエラパパが俺たちに話を振ってきた。


「実はこういう依頼がありまして、、、」

 俺たちはオセアンで魚が捕れなくなってきたこと、その原因が人魚の人々がここにかけた魔法にあることを説明した。


「なるほど。そのようなことが起きていたのか。地上人には迷惑をかけたな」

 エラパパが申し訳ないという表情をする。


「そうねぇ、、私たちがここに引っ越してこなければこんなことにはならへんかったものねぇ」

 エラママも頷く。


「そもそも、なぜここに引っ越して来たのですの?」

 オリビアが質問した。エラは教えてくれなかったからな。


「なんだ、エラ。お前この人たちに話してなかったのか。話したくないのも無理はないが。実は私たちは前の村にいたときクラーケンに襲われたんだ。そこから逃げるためにこの場所までやってきた」


「「「クラーケン!?」」」


 俺とルーシーを除いた4人が椅子からひっくり返りそうなほど驚いた。水中だからひっくり返りはしないけど。


「そんなに驚くことなのか?」

 確かに俺も超巨大なイカだとは知ってるけど、そんな驚くことだっけ?


 結局ダイオウイカみたいなものだろ?


「タクミは知らないかもしれないけど、私たちにとってクラーケンは伝説上の魔物の一つよ。『イカンを食べたらクラーケンに敵討ちされる』って言い伝え知らない?イカンを食べたらクラーケンが復讐しにやってくるから食べちゃいけないって」

 ソフィアが教えてくれた。


「そもそも本当にクラーケンっているんですね。僕は想像上の魔物だと思っていました」

 ライアンも実在するとは信じていなかったようだ。


「本当に実在する魔物だ。私たち人魚族は海の中でも最速の種族の一つだからクラーケンから逃げることはできた。しかしもう二度と会いたくはない」

 エラパパが嫌そうな顔をする。


「ソフィアが言ったようにな、人魚の間でもイカンだけは食べちゃいかん神聖な生き物やねん。だからみんな見つけても絶対に食べないようにな」

 エラがとてもまじめな顔で警告してきた。


「、、、、そのイカンってどんな生き物?」

 俺はエラに恐る恐る聞いてみた。


「なんて言えばええやろ、白っぽくて、10本足のある魚だと思ってればええよ。紛らわしいタコルっていう8本足の赤い魚もおるけどそっちは関係ないから食べてもええで。うちも大好きやし」

 という答えが返ってきた。


 ここで俺は隣に座っていたルーシーと顔を近づけた。


「あたし達、さっき食べたよね?(ボソッ」


「ああ、塩焼きにして食べた。(ボソッ」


「なんで教えてくれなかったの!(ボソッ」


「俺のいた国にはそんな伝説なかったんだよ!お前こそなんで教えてくれなかったんだ!(ボソッ」


「あたしの出身がド田舎の森なのは知ってるでしょ!海の言い伝えなんて知らないよ!(ボソッ」


「、、、とりあえず黙っておこうな。(ボソッ」


「うん、あんたこそ誰にもしゃべらないでよね(ボソッ」

 そして俺はルーシーと握手をした。



「さっきから何喋ってるの?さてはイカンがどんな味か想像してたんでしょ。食べちゃダメだからね」


 ステラが説教をしてきた。食べてなかったら文句も言えるのだが既に事後なので何も言い返せなかった。


「話は戻りますが解決策はありませんか?」

 俺は話を本筋に戻した。


「方法はあるわよ。ここが安全だと思って魚たちが逃げてきたのなら、ここが危険な場所やって思わせればええんよ。魚を驚かせたりしてね」

 エラママが提案する。


「でも、そうすると、、」

「ああ、タクミ君の思っている通り私たちが魚を取りにくくなる。とはいえ人魚族はどんな場所でも魚は捕まえられるから大したことではないよ」


「その通りや!例えるなら今までイルカに乗って5分で着く場所にクジラに乗って10分かけていくようなもんや!気にせんくてええで!」


 エラがフォローしてくれる。めちゃくちゃ分かりにくいけど。そもそも人魚には自分の足(ヒレ?)で行くほうが早いはずだからね。


「「「ありがとうございます」」」

 俺たちは全員で頭を下げた。


「なに、礼をされる程の事じゃないさ。ただ、君たちにも手伝ってもらえるとうれしいな」


「はい!頑張らせていただきますわ!」

 オリビアが左腕に力こぶを作る仕草をした。


「はは、頼もしい。そうしたら明日から手伝ってもらおうかな。今日はもう日が傾いてきたからね」


 こうしてエラパパとエラママの提案で明日から人魚の生活区域にいる魚を減らす作業をすることになった。


「そうだ!もし良かったら今日泊まっていかへん?部屋ならあるで!」

 エラが勧めてきた。


「ごめんねエラ、私たち一度地上に戻って依頼主に報告しなきゃいけないの」

 ソフィアの言う通り一度船に戻って漁協のメンデルさんに報告しに行かなければならない。


 このまま泊まってしまったら遭難したと思われるからな。


「そしたら、明日泊まりにこーへん?」

 エラが食い下がる。


「明日なら大賛成だ」

 俺も海の中で泊まるのには興味がある。


「ほんと!?ありがとう!約束やからね!」

 エラが満面の笑みになる。


「うん!約束だよ!!」

 エラとルーシーは指切りげんまんをする。


「それでは今日のところはお暇させていただきます」

 俺たちは帰る準備を始める。


「ああ、また明日よろしく。そうだエラ、船まで送ってきてあげなさい」

「はーい!」


 それから俺たちは行きと同じようにエラに船まで案内してもらった。


 ーーーーー


 ザバンッ!


 海から上がってくるともう夕日が半分地平線に飲み込まれているところだった。


 久しぶりの空気に俺たちは深呼吸をした。やっぱり空気は美味しいなぁ。


「それじゃあまた明日なー!バイバイ!」

 エラが手を振って海に潜っていった。


「さて、陸に戻ろうか」

 アカリに再び水流魔法をかけてもらうと俺たちは岸へと戻っていった。


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