第26話 釣り上げた!
ザバッ!!
ピチッ、ピチッ、、、
オリビアによって釣り上げられた魚が宙ぶらりんになる。
「なにこの魚?」
ソフィアが訝し気に質問する。
「、、、アンコウだな」
茶色と黒の間の色に平べったい体、ヌメヌメしている表面と大きく開いた口からして俺から見ればアンコウそのものだった。
てか、よく釣り針がその口に引っかかったなと思う。
「なんか気持ち悪いね」
ステラが恐る恐るアンコウを人差し指で触る。それに合わせてアンコウもピクピクと動く。うん、俺から見てもいい動きではない。
「こんな見た目だけど俺のいた国では高級魚だから」
アンコウ鍋と言えば温まる冬の鍋の代表格だ。
「じゃあこれ食べようよ!」
ルーシーが高級魚と聞いて反応し始めた。食べ物に関するセンサーはほんと凄いな。
「俺には捌けないから港へ行って捌いてもらおうか。オリビア、アンコウ船に下ろしてもらってもいい?」
「分かりましたわ!」
そういって船の中央部にアンコウを下ろそうとしたその時。
「ん?なんか下にもう一匹魚がいないか?」
ライアンが異変を察知する。
「本当ね。黒い影が見える」
真っ先に確認に入ったステラの指を指した方向を見ると確かに黒い影が見える。アンコウよりも大きくないか?
黒い影は徐々に大きくなり俺たちの船にどんどん近づいてくる。船に衝突すると思い、慌てて水流魔法で船を動かそうとしたその時!
バッシャーーン!!!
船の真横から飛び出した何かは水から飛び出した勢いを利用してオリビアから釣り竿をひったくった。
そして水面から顔だけ出すと、、、、人間の少女の顔だった。
「あんたら!!!!うちの可愛い可愛いポポちゃんに何するねん!!!!怪我したらどないするねん!!!」
おまけにいきなり大きな声で怒鳴ってきた。
「「「「に、人魚!?!?!?」」」」
ーーーーー
「なにポポちゃん返してくれるん?それはおおきに!うちの大事な大事な非常食やねん!ってペット食べちゃあかんやろ!あはは!おあとがよろしいようで。ほなさいなら!!!!」
「「「「待て待て待て待て!」」」」
あまりのマシンガントークに圧倒されていたが慌てて6人で引き留める。てか帰ろうとしたし。
「ああ、名前言うの忘れとったな。うちな、人魚のエラっていうねん!え?エラ呼吸だからかって?誰がエラ呼吸やねん!ちゃんと肺呼吸しとるわ!」
(((そこは水中なのに肺呼吸なんだ、、)))
こんなノリツッコミ?で現れたのは彼女の自己紹介にもあったようにエラという名前の人魚で今は俺たちの船に上がっているので全身がよく見える。
茶髪の長い髪が腰の付近まで伸びている快活そうな少女だ。歳は15歳ぐらいに見える。
そして腰から下が魚の下半身になっている。何の魚かは分からないが青緑の美しい色が反射してとてもきれいだ。
「ポポちゃん連れて海の中散歩しとったらな、たまたま道端に綺麗なサンゴを見つけたん。で、それに見とれてたら急にポポちゃんがいなくなっててん。慌てて探したってわけや。いやー、お兄さんお姉さんたちが優しい人でよかったよかった」
既にポポちゃんと言われているアンコウは俺が釣り針を外して船の周りをウロチョロ泳いでいた。
これで大怪我?していたらエラになんて言われたか分からないから一安心だ。
「エラはこの辺に住んでいるのか?」
俺はエラに気になったことを質問した。
「うん、住んでるよ。ここの下の方」
そういってエラは下に向けて指を向ける。
「今、私たちこの辺りで魚が取れなくなった理由を調べているんだけど何か知らないかしら?」
今度はソフィアが質問した。この質問は水中に住んでいるエマに質問するのが一番早い。もしかしたら答えを知っているかもしれない。
「それはうちらがみんな食べてるからやと思うよ。最近ここに引っ越してそれ以降ぎょうさん魚捕っとるし」
はい、まさかの原因そのものでした。てか人魚って魚食べるんだね。まあ人間が同じ哺乳類の牛や豚を食べるようなものか。
「なんでそんなにお魚いっぱい食べたの?あたしだってそんなにいっぱいは食べられないよ!」
こらルーシー!食い意地を張るんじゃない!
「なんでってそれは150人の人魚でここに引っ越したからや。みんなで三食おやつに魚食べとるんよ。魚少なくなってうちらもどないしよう思てたんや」
エラは困った表情をした。いや、少なくともおやつは減らそうよ。
「うーん、難しい問題だね」
ステラの言う通りエラたちがここにとどまっている限りオセアンの漁業資源が戻ることはなさそうだ。とはいえ何の理由もなく追い出すわけにもいかないし。
「そもそも何故ここに引っ越して来たんですの?」
引っ越したのにはそれなりに理由があるはずだ。
「それはやな、、、、たまたまや。たまたまこの辺りが綺麗やから引っ越して来たんや!」
今何か言いかけたように見えたが気のせいだろうか。
「そうや!せっかくだしみんなうちの村にこーへん?うちが案内したげる!」
「いやでも」
「ここから水深400メートルぐらいのところにあるからすぐやで!じゃあうち先行くからすぐ追い付いてや!」
「ちょっと待って!!」
俺がそういい終える間もなくエラは海に潜っていってしまった。あいつ俺たちが肺呼吸なの忘れてるだろ。でもエラも肺呼吸って言ったな。紛らわしい!
「で、どうやって追い付くの?」
ステラをはじめとしてみんなが俺を見つめてくる。困ったときのタクミってわけだ。いいだろう。
【で、どうやって追い付くの?】
ならばこっちも困ったときのアカリだ。
【みなさんに防水魔法、水呼吸魔法、水圧無効魔法をおかけします。つきましては、】
【許しません】
【チッ】
俺はまだあのことは根に持ってるからな。
【かけ終わりました。いつでも海に潜れますよ】
【ありがとう】
きちんとお礼は言う。そこは別問題だからね。
「みんな!もう魔法をかけたからこのまま海に飛び込むぞ!」
俺はみんなに準備が完了したことを伝えた。
「え!?わたくし泳いだことがありませんわ!」
オリビアが心配そうだ。
「大丈夫だ!泳げなくてもどうにかする。」
そういうとみんなも少し安心したように頷く。
「それじゃあ行くぞ!3、2、1、GO!」
俺たちは一斉に海に飛び込んだ。




